みずほリサーチ&テクノロジーズ(以下みずほRT)は「解決する頭脳。」をキャッチコピーに⽤いたアウターコミュニケーションを開始し、3⽉16⽇から30⽇まで⼭⼿線トレインジャック広告を展開。併せて東京駅、品川駅での屋外広告、Web動画を公開した。
みずほRTは2021年にみずほ情報総研、みずほ総合研究所、みずほトラストシステムズが統合し設⽴した企業。リサーチ、コンサルティング、IT、研究開発の4つの事業を展開しているが、社名変更を経た企業認知や、名称から事業内容を想起されにくいという課題を抱えていたという。
そこで今回制作したのが、全94ページにわたる提案書「電⾞の中で座るための戦略とアクションプラン」を基点とした広告だ。
みずほRTの舟山隆明氏は「普段の業務と同じように企業や官公庁等のお客さま向けのテーマをとり上げても、関心を持っていただけるのは一部のお客さまに限られることが予想されました。そこで、広告媒体としてのトレインジャックから着想し、『ご乗車中の皆さま』に対する提案書という形式で『座席に座りたい』という身近なニーズをテーマに選び、課題解決の過程を疑似体験いただくことにしました」と話す。
資料には例えば「利⽤区間の駅の階段位置などを確認し、利⽤区間内で降⾞客の多そうな⾞両を選ぶ」、「座席が空いた際に素早くかつ安全に移動できるよう、⼿荷物をコンパクトにまとめておく」といった具体的なアクションプランが記載されている。
また「座れる可能性の⾼い座席を推測するには、例えばエリア別の降⾞者の特徴を踏まえ、座っている乗客の服装などをもとに降りる可能性を推定する」として、エリア別降⾞者の傾向分析も行った。
CDを務めた諸橋秀明氏は、「みずほRTにとって『商品』は何か。それは彼らの知が凝縮した『提案書』なのではないか、とチームでたどり着きました。そこでビール会社がビールを広告するように、みずほRTは提案書を広告しようと最初に決めました」と振り返る。
「実製作面では、提案書のシズルを出すということを強く意識しています。パワーポイントでつくった資料がそのまま電車内や駅で貼り出されている、そんな印象になるように制作作業を進めました。レイアウトやグラフがデザインされすぎてない提案書の生感やリアルさのようなものを出せたのが、話題になった一因かと思っています。提案書のタイトルなど細かいところまでリアル感を意識しました」(諸橋氏)。
スコープの定義や分析のフレームワーク設定、調査の実施、データに裏付けられたアクションプランの提案に至るプロセスは、実際の業務を下敷きにした。一方で、「あえてやや冗長にも取れる資料の熱量や情報量をもたせた」(舟山氏)という。
電車を降りた後も複数回接触による認知増幅を図るべく、東京駅と品川駅では資料が読めるような形で大きく掲出した。同駅はグループも含めた同社社員が多く利用することもあり、社内エンゲージメントを高めるための副次的な狙いもあったと舟山氏は話す。
しかし「ローンチ直後はまったくの無風だった」と諸橋氏。掲出後2日目から、“謎資料”としてインフルエンサーやビジネスパーソンが注目し、SNSで話題に。3日目以降急激に話題量が増え「PR施策やオウンドメディアでの発信も若干チューニングを迫られ、嬉しい悲鳴を上げながらチームで対応しました」と話す。
同社のXアカウントのフォロワー数も約2倍に増えた。舟山氏は「今回、多くの方々に取り上げ、コメントいただいたきっかけは何よりも“資料の熱量と情報量”だったのではないかと考えています。荒唐無稽に見えるテーマですが、チームで何度もディスカッションを重ねました。この資料にかける想いが報われて大変嬉しく思います」と話す。
今回は施策に合わせて、4本のWeb動画も制作した。動画に出演するのは、実際に働いている社員たち。コンサルタント、システムエンジニア、エコノミスト、R&Dスペシャリスト、それぞれのアイデアがひらめく瞬間を職種ごとに描いている。
「今回の分析や戦略はあくまでも『広告』です。キャンペーンをきっかけに、当社の実際の仕事にも興味を持っていただけたら」と舟山氏は語った。
スタッフリスト
- 交通広告
- 企画制作
- 電通、Fabrica、マテリアル
- CD
- 諸橋秀明
- 企画
- 諸橋秀明、徳光一蕗
- C
- 諸橋秀明、徳光一蕗
- AD
- 辻岡翔
- D
- 番匠遼大、藤谷力澄、兵頭美桜
- STPR
- 北島陽介、豆田忠補
- CPR
- 吉井俊太郎、葛生知菜実
- PRプランナー
- 梶原祐彰、澤村亮汰、深井柚花
- AE
- 川畑浩太、近藤佑介
- Web動画
- 企画制作
- 電通、Spoon、Fabrica、マテリアル
- CD
- 諸橋秀明
- 企画
- 諸橋秀明、徳光一蕗
- C
- 諸橋秀明、徳光一蕗
- AD
- 辻岡翔
- D
- 番匠遼大、藤谷力澄、兵頭美桜
- STPR
- 北島陽介、豆田忠補
- CPR
- 吉井俊太郎、葛生知菜実
- PR
- 田中直人
- PM
- 千々岩秀也
- 演出
- 小林洋介
- 撮影
- 田口純也
- 照明
- 西ヶ谷弘樹
- 編集
- 越田聡(offline)、松田宏(online)
- カラリスト
- 高橋直孝
- 音楽
- 野田眞如
- SE
- 安江史男
- MA
- 平田愛
- HM
- 関谷佳代子
- PRプランナー
- 梶原祐彰、澤村亮汰、深井柚花
- AE
- 川畑浩太、近藤佑介
新着CM
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