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広報力と現代のマーケティングの知識の掛け合わせで、より伝わる広報に進化させたい

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広報、マーケティングなどコミュニケーションビジネスの世界には多様な「専門の仕事」があります。人事異動も多い日本企業の場合、専門職としてのキャリアを積もうとした場合、自分なりのキャリアプランも必要とされます。現在、企業のなかで広報職として活躍する人たちは、どのように自分のキャリアプランを考えてきたのでしょうか。横のつながりも多い広報の世界。本コラムではリレー形式で、「広報の仕事とキャリア」をテーマにバトンをつないでいただきます。
奈良クラブ広報・営業担当の木田 奈都子さんからの紹介で今回、登場するのは学校法人近畿大学・経営戦略本部広報室の土山真佑実さんです。

学校法人近畿大学
経営戦略本部広報室
土山真佑実氏

新卒から10年、広報を担当。様々なスポーツのメディア発表を中心にPRに取り組むほか、オープンキャンパスや入学式などのイベント企画運営を行う。

 
Q1:現在の仕事の内容とは?

本学は、学校法人として幼稚園から大学、研究施設まで、法人に所属するあらゆる部署に広報担当者がいます。広報室はその広報担当者とメディアの間に入り、主に取材対応やプレスリリースの作成を行っています。

本学には幅広い分野の専門家がいますので、テレビ局や新聞社からニュースの解説として有識者コメントの依頼が毎日あります。日々1分1秒と締め切りに追われるメディアの皆さんのためにも、的確な分野の教員を探しスムーズにつなぐ役目を担っています。

他にも音楽プロデューサーのつんく♂さんに総合演出いただいている入学式の演出や当日の取材誘致・対応、オリンピック・パラリンピック、プロ野球ドラフト会議後会見、大相撲の角界入り会見などスポーツシーンでの会見の運営進行、オープンキャンパスの企画運営 、社内誌や広報誌の企画制作、TikTok運用を担当してきました。

さらに、企業CMやアーティストのMV撮影の誘致も積極的に行なっています。自分が関わったCMがテレビやSNSで流れているのを見た時は、とても嬉しかったです。

Q2:これまでの職歴は?

学生時代に、部活動を取材してスポーツ新聞を作る部活に所属しており、報道と広報という立場を経験し、その中で広報の魅力にとくに楽しさを感じていました。ちょうどその頃、母校の広告やテレビの報道を見て、大学としてではなく、一企業としておもしろいと思い入社しました。

新卒で広報部(現在の経営戦略本部広報室)に入社後、自分の強みを模索し、スポーツ分野に特に力を入れて率先して取り組みました。10年間広報の仕事に携わるなかで、オリンピック・パラリンピックなどのスポーツシーンで中心となり会見準備や報道対応をしてきました。

特にリオデジャネイロパラリンピックで競泳日本代表として出場した一ノ瀬メイさんとは、新入生として入学式で新入生宣誓をした時から引退するまで専属で担当をさせていただきました。私は新卒で入社しているのでアスリートマネジメントの経験はありません。そのため、日々の取材対応を積み重ねていく中で、メディアの皆さんが求めていることと、選手のメンタル面や練習状況などバランスを見ながら、よりよい方法を考えるようにしていました。対応が困難な状況でも「どうすればできるか」と常に前向きに調整することで、お互いにbetterではなくbestな形になるよう工夫していました。

Q3:広報の仕事で、強く意識したこととは?

初歩的なことだと思いますが、広報はたくさんの人の努力や結果があって初めて成り立ちます。PRをするにしても、広報室でゼロから作り出すこともありますが、多くは教職員や学生らが作り出した商品やイベントがあって初めてPRができます。その前提があることを念頭に置いて取り組むことが大切だと思っています。

また、広報の最も大きな仕事はメディアリレーションです。メディアの皆さんは日々、猛スピードで多種多様な内容を取材されていますので、少しでも力になれることはないかと常に考えています。私の場合は、「最近、こういうのもあるんですよ」と世間話で+αの情報をお伝えしています。メディアの皆さんが必要なタイミングで「そういえば、あの時のアレ」と思い出していただいたり、日頃から気軽に相談していただけるような広報スタッフでいたいと思っています。

また、これらの日々の積み重ねにより、メディアに取り上げていただくことが、近畿大学のブランディングにつながり、在籍する生徒や学生、教職員の満足度向上の一助にもなると考えています。

Q4:広報としてのキャリア形成で悩みとなることは何?

広報人は人間関係の形成とフットワークの軽さが大事だと思っています。個人的なことですが、私自身昨年末に出産し1児の母となったことで今後それらが難しくなるのではないかと不安を感じています。女性の働き方の改革は進んできていますし、子供がいても社会で活躍されているロールモデルになるような方もたくさんいらっしゃいます。

自分のやりたいこととできることのギャップをいかに工夫して埋めていくかが鍵になると思うので、自分自身に対しても「どうすればできるか」を考え続けてbestな答えを見つけていきたいです。

Q5:広報職の経験を活かして、今後チャレンジしたいことは?

今後は、プロモーションやマーケティングについて専門的に学び、広報力と掛け合わせてパワーアップしたいと思います。

仕事に慣れてくるとつい効率化という耳触りのいい言葉に変えて同じことを繰り返しがちですが、果たしてそれで良いのか、さらに良い方法があるのではないか、ひとつひとつ考えていく必要があります。近年、デジタルの急速な発展やコロナ禍を経て私たちの生活も大きく変わりました。そのため、これまで以上に『さらに良い方法』を考えパワーアップすることが大切な時代になってくると思います。

私は、これまでの経験で培った広報力に加え、今の時代にあったプロモーションやマーケティングの知識を得ることで、より伝わる形に変えて、広報力の幅を広げたいと考えています。

【次回のコラムの担当は?】

バトンをお渡しするのは、フジ・メディア・ホールディングス広報IR部 部長の辻貴之さんです。東京三菱銀行で約10年にわたり、ベンチャー支援や政府系金融機関での大型融資組成、本部での審査業務などに携わられ、2006年1月にフジテレビへ。新卒採用やスポンサーとの番組・イベントなどの企画調整、ロンドン駐在、FMHとフジの経営企画等を経て、2022年6月から経営企画を兼務しつつ広報IR部へ。今までのキャリアを活かし、テレビ、配信から不動産、ホテルまで多岐にわたる事業について、会社と多岐にわたるステークホルダーとの「辻」=交差点として、コミュニケーションを取り続けていらっしゃいます。

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