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生成AIビジュアルのマーケティング活用で外せないリスク対策の勘所とは?

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2024年3月、マーケティングやクリエイティブの未来やあり方について議論する、宣伝会議主催のイベント「アドタイ・デイズ2024(春)東京」が開催。静止画・映像などのデジタルコンテンツを提供するゲッティイメージズジャパンのクリエイティブ・インサイト マネージャー遠藤由理氏と、セールス シニアアカウントマネージャー富安純人氏が登壇し、昨今のビジュアルトレンドやAIによる画像生成の活用法について解説した。

生成AIの忌避感を取り除くために必要なこととは?

静止画や動画、音楽などのデジタルコンテンツのライセンス販売を行っているゲッティイメージズジャパン。「ビジュアルで世界を動かす」をモットーとしている同社では、コンテンツの販売だけでなくビジュアルコミュニケーションにも力を入れており、自社独自のビジュアル調査「VisualGPS」を実施。素材販売ページにおける検索データなどから「消費者が何に注目しているか」といったトレンド分析に取り組んでいる。

過去1年の国内トレンドを見ると、「人工知能」や「チャットボット」「生成AI」などの検索ワードが急増しており、ユーザーのAI技術への関心の高さがうかがえる。しかし、実際にそれらのテクノロジーをビジュアルに反映する事例は少なく、「日常生活におけるAIの活用」などのシーンを描写するコンテンツはほとんど使われないという。国内外問わず、AIテクノロジーに不安を覚える人はいまだ多いようで、遠藤氏は「消費者のテクノロジーへの不安を軽減するため、共感を得られるビジュアルコンテンツの開発が重要になる」と話す。

一方で、言語翻訳や健康管理、顔認証システムといったツールは活用している人が多いことから、AIの使用率が低いわけではなく、多くの消費者がAIだと意識せずに使っているのだと遠藤氏は考察。また、日本の消費者は日常生活をリアルに反映したビジュアルや人とのつながりを描写したものを好む傾向にあることも明らかになっており、「AIが実生活に溶け込み、人とテクノロジーが協力している様子を描くことで、AIがもたらす好影響を消費者に示せる」と説明する。ただし、最新技術を受け入れやすい若年層と比べて高齢者層は、テクノロジーに圧倒されないビジュアルを好む傾向にあるため、ターゲット層に適したビジュアルアプローチが必要だと語る。

最後に遠藤氏は生成AIビジュアルに対する消費者の見解について説明。生成AIのビジュアルは高いリアリティを誇り、見るものに強い没入感や感情移入を促す一方で、AI画像独特の違和感を生み出すこともある。これはビジュアルに込められたメッセージの信頼性にも大きな影響を与える可能性があり、消費者の不信感や嫌悪感にもつながりかねない。特に日本の消費者 は、他国と比べて生成AIコンテンツへの疑念が大きいことが調査で明らかになっているため、倫理的なガイドラインの設定やラベル付けによって、生成AIビジュアルの透明性と真実性を保証することが不可欠だと遠藤氏は語る。

許諾済みのコンテンツを使用した生成AIで、安全性を保証

講演会の後半では富安氏が、企業側の視点でブランドマーケティングにおける生成AIの活用における注意点や、AIを活用する新たなマーケティング手法について紹介した。

AIが生成した画像の著作権については現在でも国内外で是非が議論されており、生成AIの活用は炎上やブランド棄損などの可能性を考慮しなくてはならない。そのため「生成された画像が事前に許諾が得られていると証明できること」が企業のリスク管理として求められている。富安氏は生成AIをマーケティングに組み込むうえで、「学習データ」が最重要ポイントになると主張した。文章や画像の生成元である学習データが、著作権や肖像権を侵害している可能性があるものはリスクが大きい。

しかし、確実に許諾が取れている学習データで生成された静止画や映像で あれば、 広告クリエイティブなどの実務でも安全安心に使うことができる。そこで富安氏が紹介したのが、2023年9月に同社がローンチした「生成AI by Getty Images」だ。

同ツールは同社が専属契約を結ぶクリエイターから許諾を得たコンテンツで開発されており、著作権の許諾取得済の学習データのみをもとにしているという。複雑なプロンプトなどは不要で、ブラウザで検索するときと同じ操作感で、自然言語や単語の羅列を入力するだけで簡単に画像を生成可能。固有名詞や意匠権に関わるプロンプトは自動でブロックされるため、他社の権利に引っかかるような画像は生成されにくい。さらに、リアリティのある風景描写はもちろん「サングラスをかけたアルパカ」といった架空のテーマでも、10秒ほどで生成することができ、独創的なビジュアルでもスムーズに作り出すことができる。また、生成した画像の色彩などを変更できる「部分修正機能」や、画像のアスペクト比を変更して背景を追加できる「拡張機能」も搭載している。

広告ソリューションにおけるAPI連携にも対応しており、国内での活用事例も増加。ローンチから約3ヵ月後には、電通が新たに開発した広告ソリューションにも採用されている。現在は静止画の生成にのみ対応しているが、米国スタートアップ「Runway」と提携し、AI による動画の生成機能も近々追加予定だという。

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