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九州探検隊を通して九州の魅力を発信し、街が活性化する支援を

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福岡県福岡市で百貨店を運営する「博多大丸」の村本光児氏は、宣伝会議が主催した「アドタイデイズリージョナル2024 in 福岡」にて、九州の魅力を発信し、街と共生を目指し発足した「九州探検隊」というプロジェクトについて講演した。現在博多大丸が抱える課題や九州探検隊の狙い、具体的な活動例などを紹介。

博多大丸が抱える課題

村本氏は、百貨店が現在抱える売上高と顧客に関する課題について言及。まず売上高は、1991年の約10兆円をピークに減少していき、2020年のコロナ禍には、約4兆円まで下落。現在の売上は約6兆円と復調が見られるが、ピーク時の売上に戻すのは困難という。

顧客に関する課題は高齢化が進んでいるということだ。2021年の調査では、自社カード利用者は約4割が65歳以上だった。長く生き残るためには幅広い客層での売上が必要になるが、今後も高齢化が進むとされており、厳しい状況だ。

写真 イベント セミナー アドタイデイズリージョナル2024 in 福岡
博多大丸の村本氏。九州の魅力を発信し、街と共生を目指し発足した「九州探検隊」というプロジェクトを推進している。

百貨店には「呉服問屋から洋服や西洋のものを扱う百貨店に」、「下足入場から土足入場」など革新的な変化があったが、直近ではそういった革新的な開発ができず、プライベートブランドや通販事業などに挑戦したが、収益向上には繋がらなかった。また価格政策においても足元の売上を取る為ポイント販促やセール施策に走った結果、価値あるものを価値ある価格で売る事を怠ることとなりGMSや専門店に顧客を奪われる事になった。マーケットの変化に対して、百貨店の変化対応が遅れてしまっているという事が大きい。

九州探検隊は地元に着目したプロジェクト

日本の未来を考慮すると、分散や衰退が進む福岡などの地方都市はその地域ならではの戦略を考える必要がある。マーケット対策ではなく地域商社、地域代理店として地域ブランドを創出する活動をしていくことにしたという。

九州探検隊は博多大丸の創業65周年の事業として社員が発案し、2018年6月に発足した地域社会と共生していくためのプロジェクト。目標を「街との共生のシンボル」とし、各地域の事業者や生産者と、物産・観光・SDGsを中心に活動をしている。現在は九州・沖縄の119市中115市とアンバサダー締結し、「生産者や生産物の発掘や発展の支援」、「生産品を日本・世界へ発信する」「物の流通の循環が円滑に進むように支援をする」などの行動理念を掲げている。

写真 イベント セミナー アドタイデイズリージョナル2024 in 福岡
目標を「街との共生のシンボル」とし、各地域の事業者や生産者と、物産・観光・SDGsを中心に活動をしている。

九州各地の地域課題と向き合い、共に解決をし成長を目指す共創プロジェクト

九州探検隊の基本事業は催事・イベント、ギフト、捗外営業、オンライン販売、自社ホームページ作成など多岐にわたるが、以下では新たな事業領域として取組んでいる「自治体との共生プログラム」「SDGs」「クラウドファンディング」の3つを紹介する。

スライド 事業のご紹介
各地域が強化していきたい事や悩み事をサポートするプロジェクトとして自治体との連携も強化している。

自治体との共創プロジェクトとは各地域が強化していきたい事や悩み事をサポートするプロジェクトだ。具体的には、地域の食に関する魅力を紹介するエリア特化型物販催事の開催、地域産品のブランディングやマーケティングなど伴走型支援、道の駅などを強化したい場合「食品表示についての基礎知識編」や「衛生・景品表示」などの各種研修プロジェクトなどがある。事例として紹介された「都城メンチプロジェクト」では、宮崎県都城市と連携協定を結び、「都城メンチ」を地域代表の看板商品に導くこと、地域産品を目的にした観光需要や消費につなげることを目指した。2023年には、paypayドームへのブース出店や大丸福岡天神店の「熱いぜ 宮崎展」や名古屋松坂屋への催事出店などに取り組み、売上・消費の拡大を実現した。またインスタグラムの立ち上げや運用、HPの一部リニューアルなどから認知度を向上させ、ファンづくりの取り組みをした。

地域の環境問題や事業者への支援も積極的に

SDGsの取り組みでは、長崎県の対馬市と包括連携協定を結び、社会問題の解決を目指している。「日本一海洋ゴミが流れつく島」といわれる対馬市の抱えるゴミ問題に対し、海洋ゴミをアップサイクルし、クリスマスツリーのオーナメントとして利用したり、廃棄プラスチックやペットボトルキャップをアップサイクルしてアートを作る活動、学校や地域で海洋ゴミを減らすための教育プログラムの開催などといった活動が行われている。

スライド 未来共栄プロジェクト(座組み)
トークン型クラウドファウンディングの仕組みやSDGsへの課題解決を通した事業を推進している。

またクラウドファンディングの取り組みでは、トークン発行型クラウドファンディングを提供する「フィナンシェ」と提携してクラウドファンディングの支援を開始。第一弾企画では絶滅危惧種であるチョウザメを養殖し、キャビアの製造に取り組む「キャビア王国」を支援した。その結果、コミュニティメンバー約1400人、トークンの売上総額は1000万円を超えたという。

「九州探検隊はこれからも、様々な九州の地域課題と向き合い課題解決を一緒に図ると共に、未だ知られていない九州の魅力を発信し、九州・天神の街と共生していきたい」と語った。

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