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さまざまな視点からのマーケティング戦略で売上アップへ

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沖縄に本社を構えるビールメーカー「オリオンビール」の湖東彰彦氏と、電機メーカー「コニカミノルタ」の浦谷勝一氏は、宣伝会議主催の「アドタイデイズリージョナル2024 in 福岡」に登壇。湖東氏はオリオンビールのブランディング活動について、浦谷氏は脳科学から人間の思考や行動を読み解きマーケティングに生かす方法を講演した。

【オリオンビール講演】オリオンビールが幸福度全国1位の理由とは

広告予算は大手ビール会社の1/100以下でありながら、シェア率は沖縄県内で1位、全国でも5位と高シェア率を獲得しているオリオンビール。日経クロストレンドのビールカテゴリー幸福度ランキングでは大手ビール会社を押さえ、オリオンビールが1位だという。売り上げの約8割が沖縄県内であるオリオンビールが、全国を対象にした幸福度ランキングで1位に輝いた理由は、「県内にいる愛飲者はもちろん、沖縄に訪れた観光客が至福のひとときをオリオンビールとともに過ごすことで、幸せな思い出として持ち帰るため」と湖東氏は言及した。そのためオリオンビールは、沖縄県在住、または沖縄が好きな県外の人をターゲットとして捉え、オリオンビールを通して「心地よい時間や空間を届けたい」と常に考えているという。

オリオンビールの湖東氏。売り上げの約8割は沖縄県内だが、全国を対象にしたビールカテゴリー幸福度ランキングで1位を獲得している。

県内での戦略は、県民を理解することから

沖縄県内のシェア率を維持し、売り上げを減少させないために、「大手ビール会社のやらないこと、自分たちにしかできないことに挑戦した」と湖東氏は振り返る。

まず県民についての徹底的な理解が必要と考え、県民を対象にした大規模な調査を実施。その結果、沖縄県民は苦みが苦手でスッキリとした味わいの軽やかなビールを好むことが判明した。そこでフラッグシップのオリオン ザ・ドラフトのリニューアルを遂行。苦みを抑え、よりスッキリとした味わいに進化。県内では大手ビールブランドを抑えた高評価を獲得し、シェアも一気に向上。また沖縄県内ではカテゴリーNo.1メーカーとして市場の成長を牽引していきたいと語り、そのためにビールに苦手意識を持つ若年層の興味喚起を図るべく、従来のビールとは全く異なるSNS映えするような沖縄の美しい夕陽やエメラルドグリーンの海を連想させるピンクや水色のビールを開発するなどさまざまな取り組みを行っている。

ビールに対し苦手意識を持つ若年層をターゲットに、苦みを抑え、SNS映えするようなピンクや水色のビールを開発するなどさまざまな取り組みを行っている。

観光客へ最高の思い出とともにブランド体験を

また県外のシェア率を伸長させるための取り組みとして、沖縄県に来た観光客へ最高のブランド体験を提供することを目指した。沖縄ではスーパーやコンビニ、一部の自動販売機でオリオンビールが売られ、お土産売り場では豊富なオリオンビールグッズが並ぶなど、沖縄に足を踏みいれるだけでオリオンビールと接触する機会が発生する。沖縄での思い出が自然とオリオンビールのブランド体験になり得るのだという。

沖縄での思い出が自然とオリオンビールのブランド体験になり得る。

また沖縄に訪れた観光客の大半が、オリオンビールの写真やオリオンビールの名前が入ったTシャツを着て写真を撮り、SNSへアップするため、広告費を使用せずとも顧客の力でブランドを知ってもらえるという。

沖縄での至福のひとときを帰宅してからも思い出してもらうために、これからもブランド体験に力をいれていきたいと話を締めくくった。

【コニカミノルタ 講演】脳科学の観点からマーケティングへつなげる

浦谷氏は、人間の思考や行動を脳科学で読み解きマーケティングへ活かすと強調し、AIDMA の5つを解説した。

1つ目は「Attention (注意)」だ。人間が数秒間で処理できる情報は7個程度で、この時「色」「輝度」「形状コントラスト」「動き」「顔」を別々で認識する。中でも人は明るさである「輝度」に敏感であるため、デザインを考える際はなるべく明るく目立つデザインにすると良いという。これは、デザインだけでなく売り場の商品配置の設計においても効果的である。

2つ目は「Interest(関心)」で、関心を持ってもらうためには、デザインをわかりやすくする必要があると浦谷氏は語る。日本の企業は、広告出稿の際に伝えたい情報を全て入れようとする傾向があるが、これでは魅力的な製品やサービスであっても伝わりづらい。情報量の調整をせず広告を出した時と、情報の密度や色の調和性を適切に調整した時では、購買行動に約2.7倍の差が出るという。

次いで3つ目は人が抱く「Desire(欲求)」を刺激することだ。人間は本能的に色ごとにホルモンが分泌される特徴を持つ。 他にも「高いコントラスト値が食欲を刺激する」「コントラスト値を2倍にすると記憶力1.3倍」などが証明されている。

コニカミノルタ浦谷氏。マーケティングと脳科学の関係性を熱く語った。

人間の行動を分析し、重視するポイントを決定する

人間は基本的に予測をして行動をするため、適度な違和感を広告で表現することで、好奇心や探究心を引き出すことができる。この時、予測から離れ過ぎてしまうと理解ができず、かえって興味を失ってしまうため、違和感の度合いが適切であることが大事なのだという。また、コンセプトワードの設定の際にも、消費者の心理や価値観などに焦点を当てた「サイコグラフィック分析」を活用し、ターゲットが連想するキーワードから消費者心理を読み解き、より最適なコンセプトワードを設定することを推奨した。

2つ目は消費者の「action(行動)」につながる取り組み方を紹介。消費者の行動を考える時には、何を理由にその商品を買うのかを分析し、マーケティングに反映させていく必要があるという。例として冷凍食品の大手企業がブランド名を商品のパッケージで大きく記しているが売上に繋がらないという課題を紹介。分析をした結果、消費者は冷凍食品を選ぶ際にブランドは気にしておらず、一番重要視しているのは美味しそうかというポイントであることが判明したという。

このように、脳科学の観点から消費者の分析をし、マーケティングに活かすことが円滑に進むポイントだと浦谷氏は強調した 。具体的成功例として昨年発売のサントリー生ビールがある。同製品はパッケージ開発にコニカミノルタの感性脳工学を取り入れ、当初の売上計画の130%超えを達成した

「脳科学の観点から消費者の分析をすることは、マーケティング戦略において非常に有用である」と語った。
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コニカミノルタ株式会社
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