「LIFE」をテーマに、永井一正と永井一史が初の二人展

4月18日から、東京・池尻のOFS GALLERYで「 LIFE と life 」永井一正と永井一史の二人展が始まる。

タイトルにあるように、本展は父・永井一正氏と息子・永井一史氏の親子による展覧会。全く異なったアプロ ーチでクリエイティブの解釈を広げ続けてきた二人にとって初となる。

父である永井一正氏は、1929年大阪生まれ。1960年の日本デザインセンター創設に田中一光氏らと共に大阪から参加。1975年に代表取締役社長就任し、現在は最高顧問を務める。そして、グラフィックデザイナーとして数多くの仕事を手がけながら、80年代後半より動植物をモチーフとした「LIFE」シリーズの制作を開始、2003年より銅版画へと展開している。以降、このシリーズは40年近く続くライフワークとなっており、2020年にはギンザ・グラフィック・ギャラリーにて「いきることば つむぐいのち 永井一正の絵と言葉の世界」展を開催した。

 

一方、永井一史氏は広告会社を経て、2003年にHAKUHODO DESIGNを設立 。広告という領域をベースに、概念をデザインすることに価値と面白さを見出し、ブランディングを中心に仕事をしている。

 

同じデザインというフィールドに立ちながらも、違う道を歩いてきた二人が今回初めて一緒に展示をすることになったのだ。

「実は会社に入って7、8年目の頃、日本デザインコミッティのメンバーだった田中一光さんから親子展を依頼されたことがあったんです」と一史氏。

「でも、当時の僕はまだ実績もないし、ギャラリーでやるほどの力量もなかったので、お断りしました。その時のことが僕の気持ちの中にずっと残っていて…。その後、父の展覧会を手伝ったりしてはいたものの実現には至らずでした。でも今に至って、あ、親子展どうかなと思い、OFS GALLERYに関わる岡室健さんに相談したことから、初めての親子展が実現しました」

企画がスタートしたのは、2023年10月。今年95歳を迎える一正氏だが、企画を話してから1週間後には今回の作品の下絵ができていたという。

「当然のことながら年齢的に体力は落ちているし、手術をしたり満身創痍だったのですが、父の創作に対する思いは途切れていなかった。機会があればつくりたいという気持ちがまだまだあることを実感しました」

長い年月を経て実現に至った親子展だが、そこに何を展示すべきか。考え続けた一史氏が至った結論は、「ザ・ポスターをつくる」こと。そして一正氏の代表作品でもある「LIFE」をテーマとし、自分自身もそれを受け継ぐことだった。

「ギャラリー側からは『永井さんの自己表現的なものを見たい』と言われていたのですが、広告やブランディングの仕事を続けてきた自分には、父のように特別な造形言語があるわけではない。でも、僕の普段の仕事は、今回の展示とそれを見る人や社会のインターフェイスとなるものをつくることではないか、と改めて思い直して。今回の展示で言えば、そのインターフェイスとなるものがLIFEというテーマでした。僕がこのテーマを受け継ぐことで一つの流れができるし、父がLIFEに込めた思いや考え方を自分なりに咀嚼することで、父と共通するものと共通しないものが出てくるのではないかと考えました」

1951年にグラフィックデザインをはじめた一正氏は、抽象的で宇宙を感じさせる空間を表現した制作を続けることで自身のスタイルを追求してきた。しかし1986年に生き物たちを登場させ、これまで積み重ねてきたスタイルを捨て去ったのだ。それから40年にわたり続いているのが、「LIFE」シリーズだ。

「幼少期から体が弱かった父は自分自身を鼓舞するために、命の不思議さに魅せられて、『LIFE』に想いを持ち続けてきました。いまのスタイル以前、父が日宣美に出品している頃(1960年代)に、雑誌『LIFE』をモチーフに当時の抽象に生命性や情緒を持ち込んだ表現を発表しています。動物として描き始めたのは80年代ですが、それよりずっと前から父の中には『LIFE』というテーマがあったんです。」


 

一正氏の長年にわたる想いがつまった「LIFE」を受け継ぐ気持ちで、一史氏は自分の「LIFE」を表現してみようと考えた。大文字「LIFE」の作品を一史氏が咀嚼した上で、リデザインしたのが、小文字で「life」と題された作品だ。動物の形の一部を取り出し、「LIFE」と同じ構図で構成。会場には、元となる「LIFE」と新たなかたちで生まれた「life」が並ぶ。

「自分にとっての新たなチャレンジです。父の『LIFE』とは違い、無機物の構成によって生命性を表しています。今の時代はAIやロボティクスなど、人とテクノロジーが融合して、生きることにつながっている。今回の作品から、そういう時代性も読み取っていただけるといいなと思っています」


 

デザインという同じフィールドにいながらも少し違う道を歩いてきた一史氏に、父である一正氏はずっと言い続けてきたことがあるという。

「僕は普段の仕事で手がけるブランディングなどのデザインに、とてもやりがいを感じています。そんな僕の仕事や表現に対する考え方の違いに理解は示しながらも、父が常に言っていたのが、少ない人にでも深くささるような、自分の表現をつくることが大事である、ということ。今回の展示では、普段の仕事と違い、そういう部分を自分なりに表現できたのではと思っています」

会場にはポスター展示の他、映像作品も展示。さらに本展のために制作されたZINEも販売される。4月22日には、現在、一正氏と同じ日本デザインセンターで社長を務める原研哉氏を招き、一史氏とのトークイベントも開催される。


 


 

「LIFE とlife 」永井一正と永井一史の二人展

会 期 : 4 月18日 (木) ~ 5 月 12日 (日)
会 場 : OFS GALLERY ( OFS .TOKYO内 )
時間: 12時 ~ 20 時(最終日は18時まで)
休廊 : 火曜日・水曜日
入 場 料 : 無料

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