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花王「家族と愛とメリット」広告が話題に 制作者に聞く企画の背景

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花王のヘアケアブランド「メリット」が4月1日に公開した新広告シリーズ「家族と愛とメリット」が話題だ。

花王/メリット「はじめて自転車に乗れた日」篇(30秒)。

自転車に乗る練習をする娘と、それを後ろから走りながら押して手伝う父の姿を描く。娘は転びながらも精一杯練習を続け、いつの間にか一人でも乗れるように。後ろを振り返らずに自由に漕ぎ出す娘を、父は後ろから、笑顔で手を振りながら見送る。

全体がアニメーションで構成されており、イラストレーターのニシワキタダシ氏がイラストを手がけた。楽曲はエレファントカシマシの『今宵の月のように』を子どものような声でカバーした曲が起用されている。

CMのクリエイティブディレクション、企画、コピーを担当したのは、電通 zeroの栗田雅俊氏。企画の背景について次のように説明する。

「メリットは“家族のためのシャンプー”として50年以上、家族を想い続け、家族みんなで使えるやさしさを提供し続けてきました。けれど近年はそのことをあまりお伝えしていませんでした。今回、改めて原点に立ち返り、家族を大切にする想いを真ん中に据えた企画を進めました」(栗田氏)。

描くべき家族の想いを考え、花王と打ち合わせを重ねていく中で、「子どもの成長はうれしいけれど、ちょっと切ない」という今回のテーマが決まった。具体的なストーリーは、アートディレクターの関戸貴美子氏が提案したビジュアルを見ながら、チーム一同で個人的な思い出を話し合い、それらを織り込みながらつくっていった。

これまで「メリット」のCMといえば、実写で親子像を描くものが印象的であったが、今回はなぜ、アニメーションやイラストという手法を用いたのか。

「家族のCMというとクオリティの高いドラマ映像、情緒的なBGMなどでつくられた名作が多いので、それらと似ないように、逆を行く意識で生まれました。シンプルなアニメ、子どもの歌、といった具合に。メリットのCMとしてもちょっと新しい印象になったらいいなと。また、大事なシャンプーシーンを真正面から描くことができるのもシンプルなイラストの利点かなと思いました」(栗田氏)。

またテレビCMではナレーションはないが、4月21日までJR東日本の主要路線などで掲出された車内ポスターでは、親の想いがより詳しく描かれている。

遠くまで行ってほしいし、
ずっと近くにいてほしい。

汗だくで走る。

「補助輪なしがいい」と
言いだした娘を支えて走る。

転びまくり、泣きまくり。
これもう無理じゃない?

のあとにふわりと
なんの前触れもなく走りだした。

「やったー!」が遠くなっていく。
もう追いつけない。

手が届かないところまで、彼女は行く。
これからもきっと。

ぼくはいつか
お風呂なんかでほほえみながら
汗だくの今日を大事に思い出すだろう。

家族と愛とメリット

 

また電車内広告では、もうひとつのパターンのポスターも掲出されている。

最終回は
気づかないうちに
終わっていく。

「今日からシャンプー自分でやる」
と子どもが言う。
わたしは「いいよ」と言った。

(そっか)
昨日のが最後のお手伝いだったんだ。

二度と戻れない瞬間が
そうとは言わずに過ぎていく。

と思うと、
このたいへんな日々に
丁寧な気持ちを感じる。

流れていく泡。
初めてにしてはいい仕上がり。

「髪ふくね」
できることがまだ少しある。

家族と愛とメリット

 

ポスター広告について、栗田氏は「できるだけ個人的な文章に見えるようにすること。想像がふくらむように余白を残すこと。Xの投稿文くらいの文字数に近づけること。メリットらしいこと」などに気を配ったという。

広告のローンチ後、SNSを中心に、「全パパママが泣く」といった感動の声や、自身の子どもの成長と照らして切なく感じるといった声も。

「メリット」ブランドでは、「今回の新CMシリーズを皮切りに、これまで家族のしあわせを考えつづけてきたブランド価値をベースに、より一層“家族シャンプー”としての提案を強めていきます」としている。

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