『宣伝会議のこの本、どんな本?』では、弊社が刊行した書籍の、内容と性格を感じていただけるよう、本のテーマを掘り下げるような解説を掲載していきます。言うなれば、本の中身の見通しと、その本の位置づけをわかりやすくするための試みです。今回、取り上げるのは、松井正徳による『クリエイティブ・サイエンス ココロを動かす11の手法』。かつてコピーライター養成講座上級クラスで、この手法を学んだコピーライター笠井佐淑氏が本書について紹介します。
2022年に宣伝会議のコピーライター養成講座で、本書の著者である松井正徳さんの講義を受講しました。コピーを書き始めて間もない私は、自分の書いたコピーをクリエイティブ・サイエンスを使って解説いただいたことが嬉しかったのを覚えています。
自分では多様な方向性で書いたつもりだったのに、ひとつのカテゴリばかり書いていることに気づかされました(RELATIONのコピーを書きがちでした)。さらに「あんなコピー書いてみたい」と感じさせてくれる他の受講生のコピーは、自分があまり使えていない手法が使われていると気づき、その手法をトライすることで、書けるコピーの幅を広げることができました。
コピーの良さを言葉で説明できるようになることは、再現力を身に付け、より良いコピーを書くことに不可欠だと感じています。本書であらためてクリエイティブ・サイエンスを振り返ることができ、良い機会となりました。
本書は一つ一つ丁寧な松井さんの言葉で書かれており、曖昧な書き方が苦手な私も、腹落ちしながら読むことができました。


笠井佐淑
コクー カルチャー推進室
デジタルマーケティング支援企業にて、企業支援、社内広報に携わる。2022年、コピーライター養成講座基礎・上級コース修了。2023年宣伝会議賞協賛企業賞受賞。2024年宣伝会議賞ファイナリスト。
『クリエイティブ・サイエンス ココロを動かす11の手法』
松井正徳著
定価:2200円(税込み)
本書は、現在クリエイティブディレクターとして活躍する著者が、若手の頃に経験したことに端を発しています。広告制作の現場で、先輩それぞれが語る「正しい広告とはこうである」というメソッド。それぞれが全く違うことを話しているにもかかわらず、そのどれも世の中で話題になったり、面白い広告をつくっている。「これは自分には見えてないだけで、その全ての根源のところで、もととなる統一理論があるのでは」。そう思い立ち、著者が独自に広告を分析し、考察を続ける中で編み出したのが「クリエイティブ・サイエンス」と名づけた「人のココロを動かす」11の手法です。著者は自分が「よいと思う広告」を分析・体系化して、11の模式図に落とし込みました。「感性」や「なんとなく」ではなく、「論理的な説明」と「明確な効果」を目指したい。本書は、そう考える人に贈る表現の実践書です。
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