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コラム

WEB MARKETER’S view

富永勇亮のWEBマーケティング注目事例(第1回)

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「確信犯!? ギャンブル的プロジェクトの行方」

富永勇亮(AID-DCC)

短期的な拡散と集客を求められることが多いWebプロモーション。特に、ツイッターを用いたキャンペーンが隆盛を極める昨今、爆発力と瞬発力を期待され、山の作り方も数日単位になることが多々ある。そのような中で、異彩を放つプロジェクトが存在する。お笑い芸人千原ジュニアが2014年に開催する誕生日ライブだ。

『2014年3月30日、千原ジュニアが40歳の誕生日にライブを開催! しかし、5年後なだけに会場未定、詳細未定……。決まっているのは、千原ジュニアが40歳の誕生日に何かをするということだけ。なのに、なんとそのチケットを09年3月31日から発売開始!5年もの月日をかけた、壮大かつ無謀ともいえる企画。いまだかつて、誰もやったことのない前代未聞のライブ。はたして、千原ジュニアは40歳の誕生日に何をするのか? その答えは、あなたの目で確かめてください。』

このようなコンセプトのもと、09年3月31日の発表から、イベント当日の14年3月30日までの5年間という長期間プロジェクトは珍しい事例である。

もちろん、5年の間に様々な施策が追加される。とはいえ、チケットの販売も徐々に行っていくというのは、キャンペーンの常識から考えると非常に危険なギャンブルにも思える。しかしブランディングだと考えれば理にかなっている。

決められたゴールに向かうのではなく、テーマを掲げ、集まってきたユーザーと共にプロセスを共有し、ゴールそのものを可変的に作り上げていく。

初期に参加したユーザーはイベントの規模を大きくするために、自ら情報を発信し、新たなファンを呼び込もうとするだろう。つまり、ファン自らが育て上げていくプロジェクトなのである。

あと4年あればテクノロジーもメディアもファンも進化する。14年、このキャンペーンはどのような結末を迎えるのか? 一緒に楽しみましょう。(「宣伝会議」2011年2月1日号から)

※毎月1回掲載(全4回)、次回は2011年2月1日掲載予定

(とみなが・ゆうすけ)
2000年エイド・ディーシーシー設立に参画。2010年、東京オフィスを開業、制作チームと共に企画・演出・プロデュースを行う。主なクライアントはAdidas、KDDI、JR東海、RICOHなど。