2009年11月12日、東京コピーライターズクラブ主催で『もうコピーライターはいらない?~これからのコピーライターのあり方』と題したトークショーが行われた。登壇したのは、編集者の菅付雅信さんと河尻亨一さん。司会はTCC会員の阿部光史さんが務めた。時流を読み続けてきた2人の編集者の目にいま「コピーライター」はどう映っているのか。BRUTUS編集長の西田善太編集長、プロジェクターの田中耕一郎さんらも来場し質疑応答に参加するなど、刺激的な3時間のトークとなった。
※この記事は「ブレーン」2月号の記事を再掲したものです。
コピーライターはもっと危機感を持った方がいい
菅付 編集畑の人間から言わせてもらえば、いま「広告コピー」や「コピーライター」って、特集のテーマとしても成立しないどころか雑誌の記事にもならない。つまり、読者ニーズがない。だって、広告コピーって全然流行っていないから。そのことを、当のコピーライターたちは真剣に考えた方がいいと思うんです。
河尻 『広告批評』でも、個人的には「2000年代のコピーライター特集」をずっとやりたかったんです。僕は言葉が好きだから、自分の同世代のクリエイターが書く言葉が知りたかった。でも何度も企画しては、やめてしまったんです。どうも世の中に届かない感じがしたんですね。
編集者は、雑誌がどれくらい売れるかはもちろん、読者にどれくらい共感してもらえるかをリアルにイメージしながら企画を決めるわけですよね?コピーライターの特集も、コピーという切り口で広告クリエイターの方々が登場する誌面をシミュレーションしてみたのですが、広告業界内 はともかく、 もう少し広い場所には伝わらないんじゃないかという気がして…。
そこで替わりにやったのが、(「歌のコトバ」 2006 年 3 月)というクリエイターとミュージシャンの 対談企画 でした。「コピー」ではなく「いま届いている POP 音楽の言葉」というアングルから、ニュートラルかつキャッチーな着地点を批評的にあぶりだそうとしたわけです。それはコピーがモチーフでは成立しなかった。
菅付 なるほど。河尻さんが『広告批評』の編集長時代ですらそう思うんだから、一般誌や総合誌なんて、コピーの特集を組むわけがないよね。僕はよく言うんだけど、メディアにおけるクリエイターの露出は、椅子取りゲームみたいなもの。月刊誌の表紙が、年に12回誰が出るのかという椅子取りゲームであるのと同じように、誰かの特集があるということは、逆に他の誰かの特集はできなかったということ。その椅子取りゲームの中で、“話題のクリエイター”という枠に、今、コピーライターは入っていない。もっと言えば、広告のアートディレクターでさえそうなりつつある。
いま若いデザイン志望の子がなりたいのは、片山正通や深澤直人、吉岡徳仁です。個人の作家性が強くて、国際性がある仕事に憧れる。国内でしか通用しないような広告の仕事には興味がないんです。だから、コピーライターだけじゃなく、ドメスティックな広告を作っている広告クリエイター全てが、若い子たちから全然魅力的に見えてないという状況をもっと認識しないと。
(次ページに続く)
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