メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

21万いいね!を獲得した巨大ソーシャルプラットフォーム「いいね!JAPANプロジェクト」

share

本記事は、「ブレーン」11月号」から開始した新連載「今月のソーシャルプロジェクト」の連動記事です。本誌では伝えきれなかった「いいね!JAPANプロジェクト」の詳細をお伝えします。

ソーシャルメディアからソーシャルアクトへ

「いいね!JAPAN ソーシャルアワード」Facebookページ

「いいね!JAPAN ソーシャルアワード」Facebookページ

「いいね!JAPAN プロジェクト」

「いいね!JAPAN プロジェクト」

今年4月にオープン、10月現在21万いいね!を獲得し、急激な勢いで登録者を伸ばすFacebookページがある。それが「いいね!JAPANソーシャルアワード」だ。電通を中心としたチームが運営する、日本全国の社会貢献プロジェクトを表彰するアワードで、一つの記事に数万の「いいね!」や数百ものコメントがつくことも珍しくない。その盛り上がりの理由は、一体どこにあるのだろうか。

「いいね!JAPANソーシャルアワード」を運営する「いいね!JAPANプロジェクト」は、電通 デジタル・ビジネス局が発足したプロジェクト。同局のミッションは、日本でFacebookの活用を推進していくことだ。いいね!JAPANプロジェクトも、「Facebookと電通で何ができるか?」を探る中から生まれた。

「ソーシャルメディアで多くの人が反応してくれることは何か? そこで語られるべき何なのか?から考えていきました」と、同局のチーフ・プロデューサー 馬郡健氏は話す。その中で浮上してきたテーマが「ソーシャルアクト」(社会の問題解決や地域活性のための活動)だった。中東の「アラブの春」は極端な例だが、ソーシャルメディアには、市民が地域の社会や未来を語るためのベーシックなツールになるポテンシャルがある。「SNSの『S』とSocialの『S』が同じになるようなプロジェクトをやってみよう」と話は進んだ。

ソーシャルアクトは、いま人々の関心が高いテーマだ。にもかかわらず、こうした活動に関する情報は、各団体や個人による個別の情報発信や、新聞や雑誌などの取材記事で一部得られる程度で、情報が断片的にしか存在していないのがそれまでの現状だった。全国的に活動を網羅する情報の共通プラットフォームがあれば、点と点をつなぎ、全国の人々も巻き込んだひとつの大きな盛り上がりを創出できるのではと考えた。

こうして、全国から「地域を元気にするプロジェクト」を募集し、Facebookページでシェア、さらに集まったプロジェクトの中から優れた活動を表彰する「いいね!JAPANプロジェクト」が生まれた。運営にあたっては、地域活性プランニングを手がけるumariの古田秘馬氏らにも協力を仰いだ。公募で網羅しきれない分は、各地域の地域プロデューサーと連携することで、地域のニュースを自ら発掘・収集していった。

ソーシャルを「エモーショナルに」伝える

だが、このスキームだけでは半年で21万ものいいね!は獲得できなかっただろう。見る人の心を動かし、盛り上がりを加速したのは、各プロジェクトを丁寧に、エモーショナルに描き出したコンテンツ群だった。テーマは「ソーシャルを、エモーショナルに伝える」。サイトに動画と記事がアップされているプロジェクト群は、いずれもスタッフが現地に赴き、話を聞いたものだ。どの地域の人にも関心を持ってもらえるよう、日本全国、くまなく足を運んだ。その手間と取材対象者への思い入れが、コンテンツに熱量を与え、共感を呼ぶコンテンツを生みだしたのだ。


三陸ボランティアダイバーズ 紹介動画「明日へのダイブ。三陸の海を愛する者たちの物語」

「こうしたソーシャルプロジェクトは、これまで社会に対する意義という切り口で語られることが多かったのですが、取材をする中で、実際に活動している方々の熱さやエモーショナルな部分こそがプロジェクトを動かしているのだと実感したんです」と電通テック ディレクターの加藤友之さんは話す。応募されてきたプロジェクトは、最低限の審査ののち、共通のフォーマットで、地図にマッピングされ、それぞれの団体のFacebookページへのリンクつきで「いいね!JAPANプロジェクト」のサイトから発信される。「みんなで盛り上がろう」というのが根本にある精神だ。

「いいね!」の登録者は21万人だが、そこからの「いいね!」や「シェア」による拡散で、実際には何百万人にもリーチすることもある。これまで、目立ったプロモーション活動は行っていないが、「いいね!」数が2万人を超えたあたりで、一気に伸びが加速した印象があり、ソーシャルメディア上での情報の広がりの勢いを実感したという。

「皆、本当にいいもの、自身が関われることに興味があると、このプロジェクトを通じてわかりました。街づくりのプロジェクトでも、それは全く同じなんです」と古田氏。このプロジェクトでは、Facebook上で「いいね!」を押せば気軽に共感を示すことができ、さらに興味を持てば、その団体に直接コンタクトを取ったり、実際に活動に参加するアクションを起こすこともできる。「いいね!」から参加できる手軽さがハードルを下げ、その先のアクションを誘発しやすくした。

上がっている中でも特に反応のいい記事には、「その地域ならではのビジュアルのインパクトがある(見たことのない映像がある)」「地域の抱える課題をきちんと掘り下げている(楽しいだけのプロジェクトよりも、課題設定がしっかりしているプロジェクトに共感が集まる)」「課題解決のアイデアにキレがある」といった共通の特徴が見られるという。現在は特定の企業と組むことはしていないが、今後、企業のCSR活動と組み合わせたり、ドネーション機能を持たせる、地域のECのプラットフォームにするなど、さまざまな可能性が開けているプロジェクトだ。

企画
電通+umari+オールアバウト+ダブルクレイン+電通テック
プロジェクトプロデューサー
馬郡健、黒飛功二朗、鹿間天平(電通)
プロジェクトプランナー
志村和広(電通)
プロジェクトデザイナー
古田秘馬(umari)
地域コーディネーター
門松久美子 岩崎雅美 笠木恵介
Webプロデューサー
田村雄一(オールアバウト)
Webディレクター
田久保博樹(オールアバウト)
エディター+ライター
小田実(ダブルクレイン)
制作統括
大宮翔(電通テック)
映像ディレクター
加藤友之(電通テック)
映像プロデューサー
長谷川千佐子(電通テック)