“広告マンも絶対行くべき!”なのかどうかを、 確かめに来ました。 SXSWインタラクティブ2013の生レポート。(2/3)

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今回はまず、SXSW(サウスバイ・サウスウエスト)の概要をご紹介することから、始めましょう。SXSWは3つの大きなパートから成り立っています。ミュージックとフィルム(映画)とインタラクティブ。もともとは、ミュージックが発端。オースティン在住の3人のインディーズ・アーチストのマネージャーが、自分たちのアーティストをどうやって売り出すかについて意見交換しようという趣旨で始めました。それに共鳴したアメリカ中のマネージャーが参加を申し込み、1986年の初回は700人が集まった、ということです。以降発展を続け、今ではSXSWミュージックだけでも20,000人もが参加する一大イベントとなり、ノラ・ジョーンズがブレークした場所としても知られています。
ミュージックに加え、1994年にはフィルム、1998年にはインタラクティブがスタートし、少しずつ日程をずらしながらも同じ時期に3つが開催されています(2013年はインタラクティブが3月8日~12日、フィルム8日~16日、ミュージックが12日~17日)。特にインタラクティブは参加者の数を急速に増やし、いまではミュージックの参加者を超えるほどの参加者を集めています。   
この生レポートは、注目のSXSWインタラクティブに、“広告マン”も本当に行く価値があるのか、いや、そうでも無いのか。他の国際広告賞やカンファレンスに比べて、極端に情報の少ないSXSWに乗り込んで、この目で確かめるということで、3回にわたってお送りしています。

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セッションの様子


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セッション後半の質問コーナーのために並ぶ参加者たち。通常、最後の15分~20分くらいが質問に充てられる。

前回「絶対に行くべきだ!」とお伝えしておいて、なんなんですが、「行くべきだが、いろいろ心して行け!」とも言っておきたいです。何百というセッションがあるのですが、ちょっと人気のものだと、30分並んでも入れないことがあります。30分間足を棒のようにして立ったままで、あげくの果てに“This session is sold out!”(このセッションは満席で入れません!)と係員に大声で知らされるのは、かなり心くじける体験です。ちょっと話をしたアメリカ人も、You can enjoy this event, if you have patience(忍耐さえあれば、楽しめるイベントだよね)と言っていました。「SXSWには、心して行け!」それが、4日目を迎えた本日3月11日夕方での感想です。

注目のセッション(ここではセミナーではなく、セッションと呼びます)を、幾つかご紹介して行きましょう。

なんと言っても注目されていたのは、イーロン・マスクです。彼は、民間宇宙輸送会社SpaceXの創立者にしてチーフ・デザイナー。また、PayPalの共同創業者としても知られています。このイーロン・マスクに対して、『ロングテール』『フリー』『メイカーズ』の著者クリス・アンダーソンによるインタビュー形式のキーノート・スピーチ。この豪華な顔ぶれは、話の内容もさることながらそこに「居合わせる」ことに意味があり、“生イーロンを見た”ということ自体が貴重な体験となり得るものです。

“生で誰々を見た”ということだけでも価値がありそうなセッションは、他にも幾つも行われています。WEBの発明者ティム・バーナーズ・リー、フェースブックに最初に投資したピーター・ティエル、元アメリカ合衆国副大統領アル・ゴアなどなど。長蛇の列をかいくぐってでも、話を、声を聞く価値のある顔ぶれでしょう。

他にもセッションの内容は、本当に多岐にわたります。今年の注目テクノロジーであった3Dプリンティング関連のセッションから、“スタートアップ(起業)する時に気をつけるべきこと”といった内容まで。さらに、著名なインタラクティブ・エージェンシーR/GAによる“新しいタイプのブレスト法”から、Googleなどによる“アート×コピー×コードで広告を再想像するには?”やBBDOなどによる“広告会社とクライアントは、テクノロジーを使いこなせるか?”といったものまで。

ざっと数えてもセッションの数は、数百は超えています。インタラクティブ、フィルム、ミュージック3部門のオフィシャル・パーティ等まで含めたすべてのイベントは、5,000を超えるそうです。

だからこそ、自分の興味をしっかり持っていかないと、ウロウロしているうちに、人気のセッションには入れずじまい、ということにも、なりかねません。基本的には、ウエブサイト等でよく調べてから「心して」行きましょう。

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人気セッションに並ぶ参加者たち

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人気セッションに並ぶ参加者たちを、上から。

一方、セッションでも取り上げられていたワードですが、“セレンディピティ(偶然と出会う力)”も大事にするべきかもしれません。目的をガチガチに固めずに、現地に行って気になったキーワードに従って、どんどん調べて見て行く、といった姿勢も大切だと思います。

いずれにしろ、とにかく「心して」出かけましょう。SXSWは一種のモンスターです。一筋縄では、行きません。全容把握も、ほぼ無理。気合を入れて、でも、フレキシブルに!

【広告マンがSXSWに行くべき理由:その2】
 学びに。出会いに。インスパイアされに。

(続きはこちら)

佐藤達郎
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論 / メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数に参加。著書に、『NOをYESにする力!』(実業之日本社)、『アイデアの選び方』(阪急コミュニケーションズ)、『自分を広告する技術』(講談社+α新書)、『教えて!カンヌ国際広告祭』(アスキー新書)がある。


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