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商品開発は「ロジック」「センス」「ラブ」で決まる――MTDO田子學氏インタビュー

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「ロジック」「センス」「ラブ」を開発に関わるすべての人が共有する

作れば物が売れた時代が終わり、先の見えない時代だからこそ、売れるかどうかはわからなくても、その計画に賭けてみようという気持ちが重要です。私は「ロジック」「センス」「ラブ」という言葉で表現していますが、ロジックだけだと陥りがちな売り上げ目標や市場規模の問題を、センスを伴うことで、従来とは違うマーケティングを生み出すことができるかもしれません。さらに、その計画を、本心から「やろう」と言える情熱がラブです。この3つの要素を経営者も含めた開発に関わるすべての人が共有できるかが大事です。

私が企業と一緒に商品開発を進める上で心がけているのは、お互いに同じ目線の意識を持つことです。そのために、自分達がやろうとしていることや、その結果生まれる社会貢献性も含め、最終的にどのような世界を作りたいのか、どういうビジョンを持っているのかというのは最初にお話するようにしています。

今の中小企業の2代目、3代目の経営者は、世の中の変化に対して緊張感を持っています。デザインの必要性も感覚的にわかっていて、経営に取り入れようとする意識がはっきりしていると感じます。このような経営者が増えることが日本の商品開発や産業構造の変化につながるのではないでしょうか。

ファンドとクリエイティブによる新しい取り組み

例えばセンシングデバイスのような先進的技術は、その活用法が多く提案されますが、それをアウトプットしていくための市場は定まっているわけではありません。新しい領域なので、市場を創造しにくいのです。そのため従来の商品開発のプロセスにのっとると、「どのターゲットに向けた商品なのか」「数字は取れるのか」という事ばかりが論点となり、たとえ優れた技術や発想を持っていても企画が頓挫して具現化できないのが実状です。特に、大企業においては大きな所帯であることが足かせとなり、新しい価値を生み出すようなチャレンジを歓迎しにくくなっているのではないかと思います。

だからこそ注目しているのが、大企業とBtoBの関係で技術や製品を提供している日本の中小企業です。

彼らは、名前こそ表立つことはありませんが、実は世界中からオーダーを受けていたりする実力の持ち主であり、ノウハウや新技術に関する情報をたくさん持っています。また、中小企業の高い技術力はベンチャー企業に投資をするファンドも注目しています。そして、こうしたファンドは今、私たちのようなクリエイティブの役割への理解を示しはじめています。

これまで対極にあるかのように思われていたファンドとクリエイティブが相互乗り入れをして、技術を持った企業のものづくりを加速する。日本でも新しい取り組みが始まっています。

02 16Lab

指輪型パーソナルデバイス16Labがアルプス電気と共同開発を進める指輪型コンピューティングデバイス。指先にまとうことで、スマートフォンやタブレット、カメラ、テレビといった各種製品をジェスチャーでコントロールできる。10月末のANYTOKYO2014で正式発表した。さまざまな用途で活用が期待されるこのデバイスは、世の中の不便をかなり解消できるものになる。

次ページ 「なぜ作るのか、どのように実現したいかを忘れてしまいがち」へ続く