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コラム

私家版・「通販コピー塾」

コピーに関係する、「レイアウト」の話を少々。(後編)〜編集デザインは、読み手の目線を「誘導」するもの〜

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一方、広告の場合は「ページ物」でない限り、必ずしも導入部でなくても構いませんが、「ヘソ無し」はダメです。広告のどこか一ヶ所に「目に留まる」部分を意識的に作らなくてはなりません。ヘソが無いということは、読み手が立ち止まらないのですから、そのままスルーされてしまいます。要素がメリハリなく並んでいるだけのレイアウトになっていないか?必ずチェックしてください。ヘソは、「メイン写真」と、それを受ける「キャッチコピー」のコンビネーションであることが多い(ここは前回記した通りですね!)ので、そのコピー&写真が「固まり」としてくっきりと浮き出して見えるようになっていればOKです。「吹き出し」や「囲み記事」を置いたり、短いキャッチフレーズをあちこちにペタペタ貼り付けると、どんどん「ヘソ」が埋没して目立たなくなっていくので要注意です。

広告中で「ここを目立たせたい!」という時、罫線で囲んだり、色を重ねたり…と、つい何かをプラスする発想をしてしまいがちですが、逆にホワイトスペース(白場)を使って目立たせる手法もあります。たとえば新聞記事のレイアウトには、「大見出し」の左に置く「袖見出し」の頭を下げて配置する「チドリ」という技法があります。左側の見出しの上に「空間」があることで、タイトルの優先順位が感覚的にわかる上、2つの見出しがそれぞれ独立して目に入ってくる効果があるのです。

新聞の伝統的なレイアウトには色々なヒントが隠されています。一面の下に3段8列に並んでいる「三八(さんやつ)」の書籍広告は、活字(明朝とゴシックの2種類)と罫線しか使えず、斜体や平体もダメ。曲線もダメ。スミベタも白抜きもダメ…ダメダメ尽くしのルールの中で作られています。むやみに飾り立てず、白場に文字を際立たせる「引き算」のレイアウト手法が学べるし、大見出しに対する小見出しや本文の大きさのバランス(ジャンプ率)の参考にもなります。

他にも、「腹切り」「飛び降り」「飛び越し」…これらは、いずれも新聞割り付けの用語です。ちょっと物騒な感じですが、段組みレイアウトで「やってはいけない」とされるタブーを表すものなので、理にかなったネーミングではあるのです。まぁ、この辺りはデザイナーさんの領域かもしれませんけど、興味のある方は調べてみてください。知った上で改めて新聞紙面を確かめると、きっと「なるほど!」と思えます。

最後に、誌面の「文字率」についてです。これは誌面全体の面積に対して文字が何割を占めるか?を表す値で、たとえば雑誌の場合などは、見開き単位で7(文字):3(写真、白場など)、あるいは6:4くらいの割合が安定するとされています(ビジュアル誌の場合は逆)。先ほど、読み手はその記事を読むか読まないかを1秒で決めると書きましたが、その判断の中には、この文字率も含まれているのだそうです。

「広告」の場合も第一印象は大切です。厳密な割合(7:3)にこだわる必要はありませんが、あまりに文字がびっしり!では、その時点でウンザリされます。それを防ぐために、途中に「小見出し」をつけたりしますが、それより影響が大きいのは「字詰め」です。

基本的に本文の字詰めは長くならないようにします。タテ組みなら、新聞や雑誌のフォーマットに合わせて13~15文字で段組みするケースが多いですね。これは記事風に読ませる意味もありますが、実際には読みやすさのためと言っていいと思います。

気をつけたいのはヨコ組みの場合です。日本語ではヨコ組みの段組みの習慣が少ないので、一段のまま組んであるのをよく見かけますが、字詰めが30文字を超えるとだんだん読みづらくなってきます。とくにWEB上で、左右一杯の字詰めで文字組みされたデザインを見かけますが、とても読みづらくウンザリ感も増します。両側に余白をとったり、デザインフォーマットを2〜3カラムに分けるなどして、本文の字詰めを制御することをおすすめします。

「編集レイアウト」の効果手法は突き詰めるとキリがありませんし、一つの正解があるわけではありません。でも、施すのとしないのとでは効果がまるで違いますし、ある程度「セオリー」があるものなので身につけやすいと思います。あなたの本業がコピーライターなら、知識を持つだけでもスタッフへの指示やチェックの精度が高まるし、自ら線を引いて(デザインをして)、「言葉」と「ビジュアル」を操れるようになれば、個人のスキルアップと同時に、コストなどの面でも企業への貢献度が増します。DTP全盛の時代ですから、ぜひともチャレンジする価値、あると思います。


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