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さまざまなるライオン−−博報堂 スダラボ 須田和博レポート

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【人間くさいライオン】

5コマ大差なく感じられたものを聞き続けた果てに、そのダルな印象をすべてくつがえす強烈なプレゼンテーションとして、ソフバンさん電通さんからの「ペッパーくん」の紹介が行われました。

これには、正直、打ちのめされました。何に打ちのめされたか?というと、「最先端技術」に打ちのめされたのではなく、「最先端技術に宴会芸をやらせる」ということに、打ちのめされました。

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ペッパーくんのステージ・パフォーマンスは、前半と後半の2部構成に別れており、前半はトーク前の「登場」として、まっとうな自己紹介。後半は、クネクネ・ダンスにはじまり、お手玉芸、ラップとつづく、ズバリ!「宴会芸」のオンパレードでした。そこに心底、圧倒されたのです。

最先端の技術の結晶である、対象者の感情を検知する「ロボット」に、思わず吹き出してしまう「宴会芸」をやらせるとは。。これは、去年このアドタイの「スダラボ視点のカンヌ日記」でさんざん書いた「最古×最新=新しい普遍」という自分の理想形のアイデアに100%合致するもので、かつ自分にはまったくなかった発想なので、諸手をあげてスタンディング・オベージョンしたくなりました。

ペッパーは「コミュニケーション・ロボット」と定義されています。これを、通り一遍のマジメなコンセプトとして掲げたり、説明したりすることは容易です。

しかし、ヒトとロボットがコミュニケーションするとは、実際どういうことなのか?それを突き詰めて実現して見せたのが、ペッパーくんによる「宴会芸」なのだと思いました。

最新の技術を使って、最古の感情に訴える。宴会芸というものは、アマノウズメの時代からあるもので、まさかそれを、先端技術の粋を集めたロボットにさせるとは、、、すごすぎる。

自分の師匠である大貫卓也さんのペプシマンのCM第1作のラスト、ハイテク・フルCGキャラのペプシマンが「窓のヘリに頭をぶつける」というドリフ・オチをやったのを思い出しました。

コミュニケーションにおける「フレンドリーさ」とは、そういうことなんだな。技術がすごければすごいほど、そういう「ボケ」や「ヌケ」を見せないと、人間は恐れてドン引きしてしまう。

「つっこみどころ」がないと、人間の方からコミュニケーションしてもらえない。振り返ると、ヒトとヒトでない人型のモノとの関係史では、常にそういう「ほっこり」が機能して来たに違いない、と気づきます。

【R/GAライオン】

会期2日目くらいから、今年のカンヌは「R/GA祭り」だな、という声が、あちこちから聞こえて来ました。イノベーション部門のみならず、あちこちの部門で多数の入賞が見受けられます。R/GA躍進のヒミツが当の本人たちから水曜日のセミナーで明快に開示されました。

R/GAは、テクノロジーのスタートアップ企業を仕入れて、デザインをリファインし、文脈を整えて、社会に対して魅力的に見えるようにリプレゼントする。良さを理解されないソリューションのタネを、広告屋の慣れた手つきで魅力的に見えるようにする、評価してもらえるように文脈づくりする。わかりやすくそれを、社会に提示する。

このヤリクチはR/GAでは完全に形式知化しているようで、セミナーでは「10 STARTUPS, 3MONTH, $120K INVESTMENT, 5% EQUITY STAKE」というスライドで、明確に提示していました。事例が連発され、群れをなして圧勝するワケです。広告会社の新しい使い道、社会での新しい役割を見つけたかも、、と思います。

また、「同じ技術がマス広告を減らしもするし、新しい産業を興しもする。ならば、、」というようなことも、語っていたように聞こえました。広告産業が生き残って進化する先の「ひとつの例」をクリアーに提示してもらえて、とてもアグリーでしたし、すでにスダラボも始めていることに関して、説明の手間が省けたというか、お手本とお墨付きがもらえたような思いで、嬉しい限りです。

【くやし泣きライオン】

おしゃべりが、すっかり長くなりましたので、そろそろお開きに。最後に1つだけ、こんなのどう?というアイデア提案をば。

カンヌ・ライオンズ会場のスーベニア・ショップには、缶に入ったかわいいライオンのヌイグルミが売られています。前に来た時に、受賞したけど現地に来れなかった若手や知り合いにトロフィー代わりに、このライオンのヌイグルミをお土産に買って帰りました。それは、それでいいのですが、これを「くやし泣きしてるライオン」のヌイグルミにアレンジしたモノも売る、というアイデアは、どうでしょう?

金が獲れなかったくやしさ、賞が獲れなかったくやしさ、ショートリストにさえ残らなかったくやしさ、、そういった「くやしさ」を来年まで忘れないための「自分へのスーベニア」として置いたら、とぶように売れると思うんですが、、はい、何を隠そう、スダラボは今年のカンヌでは1個もライオンが獲れませんでした。とっても、「くやしい」です!この「くやしさ」を忘れないために、あえてこの寄稿の締めに明記しておく次第です。

くやしぃー!こんちくしょー!来年こそ絶対獲るぞー!

では、また来年!!

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