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WGSN 消費者が“見えにくくなった”時代の、トレンド予測とデータ分析

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「宣伝会議」12月号(11月1日発売)に、ニューヨーク視察研修ツアーのレポートを掲載します。視察から見えてきた米国広告ビジネスの今、そして日本の広告界がめざすべき方向性を5つのキーワードで捉えます。こちらも、ぜひご覧ください。

WGSNは1998年の創業以来、17年にわたってファッション領域の動向を追い、トレンド予測情報を提供してきた。

カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルなどの国際広告賞を運営するライオンズフェスティバルと同じTop Right Group傘下で、有料会員制のトレンド予測サービスを提供するWGSN。1998年の創業以来、17年にわたってファッション領域の動向を追い続け、クライアントのより良い商品・サービスづくりを支える情報を提供してきた。

日本では、今年6月に伊藤忠ファッションシステム(ifs)と業務提携を締結、ifsをエージェントに事業を展開している。

2年先の市場予測や、デザイン・クリエイティブのトレンド予測といったWGSNのサービスを支えるのは、グローバル86カ国・300名以上の編集者だ。彼らによる膨大な量のリサーチ・取材情報を基にしたコンテンツが、日々WGSNのサイトにアップデートされていく。英語に加え中国・スペイン・ポルトガル・韓国・日本語の5カ国語に対応し、英国をベースに米国・アジア・オーストラリアなど14カ国にサービス展開している。

「トレンドというのは、これまでになかった完全に新しいものを示すものではなく、馴染みのあるものが一定のサイクルで繰り返されるもの。かつて親しまれたものを、アップデートすることで生み出されるのがトレンドです。だからこそ、これまで業界を17年間追い続けてきたことは、WGSNにとって重要な資産だと思っています」と、WGSNのEVP Francis Wong氏は話す。

WGSNが発信する情報・コンテンツは、アパレルブランドの経営層から現場(デザイナー、マーチャンダイザー、バイヤー、VMDなど幅広い職種)までが幅広く利用しているほか、SPA企業、素材メーカー、百貨店・セレクトショップ・GMSなどの小売店、商社、各種学校など、ファッション業界のあらゆるプレーヤーから、ファッションの総合情報源として信頼を得ている。

さらに、カバー領域はファッションにとどまらず、アクセサリー、美容、消費財、インテリア、自動車、フード、ペット、エレクトロニクス、ホテルといった、ビジネスを成功させる上でファッションやデザイン、カルチャーの視点が求められる周辺領域へと広がっている。

クライアントには、ナイキやサムスン、コーチ、コカ・コーラといった幅広いカテゴリーの有名ブランドが名を連ね、グローバルで6000もの企業がWGSNのサービスを利用している。

「広い視点で見れば、GoogleやInstagram、Pinterestといった、フリーで使えるプラットフォーマーも競合にあたります。しかし、WGSNは対象領域をフォーカスしているがゆえ、クライアントが真に求めている情報にアクセスしやすい。これが差別化要素となっていると考えています」。

WGSNがトレンドレポート・予測サービスは、ファッション領域が対象の「WGSN Trend」と、ファッション以外の領域をカバーする「WGSN Lifestyle&Interiors」の大きく2つがある。

「WGSN Trend」の「ランウェイギャラリー」では、WGSNの契約フォトグラファーによって撮影された、各種ファッションショーの100万点にもおよぶ高画質写真を掲載。デザイナー別にコレクションの全身写真を閲覧できるほか、素材やデザインのディテールを見ることもできる。

さらに服だけでなく、ネイル、メイクアップといったさまざまな視点からコレクションを分析するレポートも公開される。ファッションショーに紐づかない、消費者動向やビジネス動向の分析レポートにも力を入れる。

さらに、各種レポートを通じてインスピレーションを得たデザイナーが、その場でデザインに着手できるツールも提供する。基本的にはすべてオンラインを介した共通サービスだが、クライアントのニーズに応じて、個別のコンサルティングサービスも行う。

トレンド情報を取集・コンテンツ化する編集チームと、情報をもとに深い分析やコンサルティングを行うシンクタンクチーム、クライアントがそれら情報を閲覧・活用しやすいようなシステム・ツールをつくる技術開発チーム。社員のスキルと知見が、WGSNのサービスを支えている。

「トレンド予測」と「技術開発」はイメージが結びつきにくいが、「20人以上のプログラマーがフルタイムで働き、日々、サービス改善やツール開発を続けています」(Wong氏)というほど、WGSNにおいて重要な役割を果たしているのだ。

次ページ 「データ×テクノロジーでクリエイティブビジネスを支える」へ続く