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WGSN 消費者が“見えにくくなった”時代の、トレンド予測とデータ分析

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データ×テクノロジーでクリエイティブビジネスを支える

デジタル時代と言われる現代にあっても、企業におけるさまざまな意思決定は、いまだ経営者のセンスや現場担当者の経験といった属人的かつ定性的な要素に依存する部分が少なくないと言える。

とりわけ、エモーショナルな部分で人々の共感を得る必要のあるファッションの領域では、データやテクノロジーに頼らない文化が根強い。しかし、消費者の嗜好や消費行動が多様化し、見えにくくなる中、データ活用によるビジネス成長への期待が高まっていることも事実だ。

「トレンド予測が、WGSNにとって重要なサービスであることは言うまでもない。しかし、いまこの瞬間、リテール(販売の現場)で何が起こっているのかを、正確かつリアルタイムに知ることも、クライアントにとっては同様に重要なことです。バイヤーやマーチャンダイザーは、日々複雑なプランニングを行い、重要な決定を下していますが、一つ判断を誤れば、大きな損失につながります。プロダクトライフサイクルが短縮化することで、プランニングサイクルも短縮化し、企業側が検討・判断に使える時間が大幅に削られる中、リスクの低減と、業務の効果・効率向上のために、データを有効活用する必要があると思いました」(Wong氏)。

こうした中、WGSNが新たにスタートしたサービスが、ビジネスインテリジェンスプラットフォームの「WGSN INstock」とテストツールの「WGSN StyleTrial」だ。

前者では、世界1万2000のファッションECから抽出したデータ(1日に800SKUの情報をアップデート)を閲覧でき、どのリテールで、どんなブランドの、どんな素材・デザインの商品が売れているのかを知ることができる。

ニューヨークタイムズ社の旧オフィスがあったビルに入居するWGSN。

また、今年5月に米国・英国でローンチした「WGSN StyleTrial」は、新商品の製造前にテストマーケティングができるクラウド型サービスだ。

クライアントは、商品の写真と、価格や素材などの詳細情報を入力するだけで、100万人もの一般消費者で構成されるパネルからのレビューを受けることができる。

単に反応の良し悪しだけでなく、商品に対してパネラーが持った印象を約50のキーワードで表示したり、価格設定に問題があれば「いくらまでなら払えるか」というフィードバックも表示される。

製造前にテストを行うことで、コストを大幅に下げることができるほか、商品の売上をある程度担保することもできる。システムは、クラウド型の音楽テストサービス「SoundOut」をベースとしており、クライアントにとってもパネラーにとっても利用しやすいUIが実現されている。

「テクノロジーによって、あらゆる産業が大きな変化を迎えています。ファッションやライフスタイル領域も、積極的にテクノロジーを取り入れていく必要があると思います」とWong氏。

人の力によって収集・編集された価値ある情報・コンテンツを、テクノロジーを駆使してさまざまな形でグローバルに展開していく。WGSNの、そんなテクノロジー企業としての一面も垣間見えた。