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ニンジャ市長、ミラノへ行く――三重県伊賀市のインバウンド拡大PR

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「クールジャパン」を象徴するコンテンツでもある日本の「忍者」。 三重県伊賀市ではミラノ万博にも出展するなど、 インバウンドを呼び込む取り組みに注力している。10月31日発売の『広報会議』の特集「PRで加速する地方創生」では、三重県伊賀市のほか、地方創生に様々な角度から取り組む自治体、企業をご紹介します。
広報会議12月号より、本文を抜粋、再編集しています。

予算約1500万円、ミラノ万博に市が単独出展

10月9日、忍者にゆかりのある地方自治体や民間団体などが連携して情報発信し、地域振興や観光客誘致につなげようと「日本忍者協議会」が発足した。2020年の東京五輪開催に向け、「クールジャパン」コンテンツのひとつである忍者を切り口に、一体となりPRするのが狙いだ。

協議会には、神奈川、長野、三重、滋賀、佐賀の5県など10自治体が参加。同日、発足を記念して都内で開かれた記者発表会には、各地の忍者衣装を身にまとった知事や副知事、市長らが登場。全国紙のほか、各地のローカルメディアの記者ら報道関係者約100人も参加し、会場は立ち見が出るほどの盛況ぶりとなった。

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個性豊かな忍者姿の知事、市長らが並ぶ中、ひときわ鮮やかな衣装で注目を集めたのが、伊賀市の岡本栄市長だ。伊賀市は、言わずと知れた「忍者の里」として、約10年前から忍者を活用した海外プロモーションを展開。この日の衣装は、ミラノ万博に出展した際も着用した市長の“正装”だという。

「昨年はスペインにもトップセールスで行きましたが、この格好で欧州を訪れると、皆『ニンジャ、ニンジャ』と集まってきて、写真を撮ろうとしてくれる。忍者が世界にも広く知られた、人気コンテンツであると実感することができました」。

ミラノ万博には、予算約1500万円を使い、市単独で出展。特産品の伊賀牛などを紹介したほか、忍者ショーを開催したところ、1日6回公演で毎回立ち見が出るほどの人気ぶり。3日間の出展で1万人以上の集客を記録したが、すべて内製で対応した。「外注するほどの予算はなかったので、プランニングから交渉まで、すべて職員で行いました」。

関西テレビの元人気アナウンサー

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元関西テレビのアナウンサーという経歴を持つ岡本市長。メディアで情報を伝えるプロだけに、市の発信力の強化は重要な課題と認識している。

「今までメディアの立場から、市の情報発信を見ていて、『これはあかんやろ』と歯がゆく思っていました。しっかりトップセールスでPRしていきたいと思っています」。

今後は官民が連携し、地元に利益をもたらすような形で情報発信をしていきたいと意気込む。

「とにかく攻めが重要だと思っています。行政は企業経営と同じ。財政縮減や人口減少が進む中、しっかりと経済基盤を築いていかなければなりません。だからこそ、今、一番気がかりなのは、こうした行政の取り組みを、いかに民間が成果として結実させてくれるか。行政は民間の後押しが仕事なので、民間はこれを活かし、効果を出してほしいと感じています」。

他地域にある忍者の里や民間とも連携し、忍者というコンテンツの魅力を最大限に発信していきたいと意気込む岡本市長。ただ、伊賀流忍者といえば、その昔、甲賀流忍者と死闘を繰り広げるなど敵対関係というイメージがある。現代において、かつての敵同士の連携は可能なのだろうか。

「実は伊賀と甲賀の対立は、後世の人が話を盛り上げるためにつくったフィクションの部分が大きいんです。実際には、甲賀から伊賀に養子に行ったり、お嫁に行ったり……といった交流もあったようです。今も、職員間で交流するなど、良好な関係を築いていますよ(笑)」。

2014年の訪日観光客数は1300万人を上回り過去最高を更新、東京五輪に向けさらなる経済効果も期待される。NINJAというコンテンツを最大限活かし、勢いを加速させることができるか。協議会の活動にも期待が高まりそうだ。