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コトバで解決できる人。

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偏差値の高い大学を出て、新卒で大手広告会社に入社、最初からクリエイティブ部署へ配属され、キャリアを歩むコピーライター。こういったキャリアを歩める方はほんの一握りで、実際にはさまざまなコピーライターになるための道があります。そこで宣伝会議では、大手広告会社のクリエイティブに属さず、経験を積んできたコピーライターによる「コピーライター養成講座 叩き上げコース」を開講します。講座の講師を務める安田健一氏にコピーライターになった道のりを語ってもらいました。

「今は他部署だけどコピーライターなりたい。広告・制作会社の社員じゃないけれど、コピーライターになりたい」

「肩書きだけじゃなく、コピーライターとして胸を張って飯を食っていきたい」

「今の仕事の課題をコピー・言葉で解決する力をつけたい」

という人に、このコラムを書いています。

新卒で広告会社に入社。営業に配属された僕には「叩き上げ」てくれるコピーライターの師匠はいませんでした。広告営業のなかでもIR広告(Investor Relations)という投資家向けの広告を担当していたので「広告」じゃなくて「公告」です。普通に仕事しているだけじゃ、キャッチコピーは発生しない。これじゃTCC新人賞は獲れない。

そこで、担当の仕事をやりながらコピーを求められる仕事を獲るために新規営業を始めました。ある先輩に「100本電話しなきゃ、仕事なんてとれないぞ」と言われましたが、それを素直には聞けませんでした。100本なんてキレイな数字のわけがない。実際に会社四季報の大代表やら、お客様センターの電話番号からマーケティング部などに営業。38本目の電話でアポがとれました。

だから、仕事が無い状態でも38本電話すればチャンスのきっかけは作れる。と、その時から思うようになりました。ちなみにその時に出会ったクライアントさんには、その後、「宣伝会議賞」のコピーを募集する課題広告という仕事をいただきました。僕は宣伝会議賞では無冠ですが、初めてコピーがメインの仕事をゲットしたので、忘れられない仕事になりました。このように、小さな一歩でも、ゼロからのスタートでチャンスを作る方法を「叩き上げコース」の講座生には(実話で)伝えようと思っています。

師匠も参考書も、自分で作ろう。

「習うより、慣れろ」という言葉がありますが、慣れるためには、実際に仕事としてコピーを書かなくちゃいけない。制作の部署に入らなきゃいけない。でも当時、僕がいた会社にはクリエイティブの部署はなかった。自分で仕事を獲ってきて、自分でチームを作って、自分でコピーを書こう。師匠も探しに行こう。それしかない。

コピーの師匠と技術と、チームを得るたまに、コピーライター養成講座の受講へ。その後、宣伝会議では9講座に通い、他社の講座にも行きました。さらにコピー年鑑の写経を始めるわけですが、実際に仕事を獲れた時のことを考えて、キャッチコピー、ボディコピーだけでなく、キャンペーンの応募の方法も書き写しました。すると、応募方法の細かな部分も、チャーミングな言い方をしていたりするわけです。良い広告は隅々までプロの仕事になっているんですよね。

その後、公募でコピーの賞を獲ったりしたけれど、中途採用は全て書類選考で不採用。公募賞のコピーをレイアウトしたレベルじゃ、書類で落ちる。運良く面接に進んでも「コピーを勉強しているんだろうけど、プロデューサーになる気はない?」と言われるのが関の山。東京でムリならば、と新聞の求人広告をみて北海道の広告会社に面接に行っては落ち、福島に行っては落ち…。やっぱり仕事として、クライアントの事業に成果を残した実績が必要だよね、そりゃそうだ。

(当時の僕の脳内会議)
「コピーの仕事をとるには・・・クライアントのマーケティング戦略として機能するロジックと、コピーの実力、実績が必要だ…。ということは、企業のヒト・モノ・カネの課題を解決する方法を学ばないといけない。業界はちょっとズレるけれど、クライアントの課題を解決する立場として、コンサルティング会社に行くという選択肢もあるな。ここなら営業の経験を実績に含めて考えてくれそう…。課題解決策のアウトプットとして、プロモーションや採用をテーマにすれば、コピーが求められるはず。あとは…クリエイティブのチームが必要だ。やっぱりクオリティ高い広告を作るには、賞を欲しがっている奴がいいな。気が合うし、きっと。」

ということで、ほぼ同時期にコンサルティング会社に転職し、アートディレクターをリクルーティングするために、宣伝会議のアートディレクター養成講座にも通い始めました。

次ページ 「ライバルから学ぶ」へ続く