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商品を変えず、コストをかけずに、消費者からの評価を上げることは可能か?

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第6号(2016年2月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

過去の経験や直感、その時々の気分によって、人が下す判断というものは、いとも簡単に変わってしまうもの。人間とはとても非合理的な生き物なのです。そんな非合理さを理解できれば、あなたの会社のマーケティングは、もっと効果的なものになるかもしれません。

前回(第3回)は、「フレーミング」という「モノの言いようによって、同じものでも人の評価や印象、選択までも変わってしまう」傾向について紹介しました。今回は「属性フレーミング」と呼ばれるものを紹介します。

多くの物事は、同じものでも裏から見たときと表から見たときとでは、その印象や評価が変わることがあります。例えば、「この薬は70%の人に効果がありました」という宣伝文句があったとします。その裏を返せば「この薬は30%の人には効果がありませんでした」ということです。同じ薬の同じ効果を表した言葉でも、両者から受ける印象(人の情報の処理の仕方)はだいぶ変わるのではないでしょうか。当然ポジティブな表現のほうが、(同じ対象にも関わらず)好意的に受け止められるのです。

よく挙げられる他の事例に、「赤身75%の肉」と「脂身25%の肉」などがあります。どのように表現されたかによってその肉の味の評価すらも変わってしまったというレポートがあります。これを、消費者の自社製品への評価を上げるために積極的に使わない手はありません。むしろ、あえてネガティブな側面(裏の面)を前面に見せる人などいないはずです。だからこそ、実は注意が必要な場面があるのです。

注意すべきは自分が受け手となったとき

そうして身の回りの商品やサービスの宣伝を改めて見渡すと、意図的か否かはわからないものの、その多くが「ポジティブな面だけに光を当てて」いることに気づかされます。良い面をアピールしたいのですから、当然のこととも言えます。

そこで、バイアスを最小限に抑え、情報を客観的に評価する上で大事になるのが、受け手側の認識です。メッセージを受け取る側の立場としては、冷静にそのメッセージの“裏側”を考えてみることに価値があるでしょう。なぜなら、伝えられたメッセージをそのまま受け取れば、伝え手にとって都合の良い面だけを見せられ、心理的なバイアスが生じたまま、合理的な評価・判断が鈍ってしまうリスクがあるからです。

例えば、あるプロジェクトの実行や投資の是非を判断する場合、「このプロジェクトの成功率は85%だ」と言われると、「成功率の高い、良い案件」という印象を持たれるでしょう。その分、「15%の失敗」について過小評価もしくは、無視されてしまうリスクが起こり得ます。プロジェクトの規模などによっても、その影響は大きく変わりますが、受け手としては常に“裏”に気を回し、裏の表現も確認した上で、再度その案件を客観的に評価できるようになりたいものです。

伝え手としての注意点もあります。商品やサービスについて語るとき、何気なく使っている言葉が、相手に与える印象に影響し、お客さまの評価が変わってしまうことがあり得ます。

例えば、「この電気自動車の航続距離は280キロ“も”あります」と言うのと「この電気自動車の航続距離は280キロ“しか”ありません」と言うのでは、当然評価は変わります。では、「この電気自動車の航続距離は280キロあります」といった場合はどうでしょう。受け手によっては、これを自分の言葉でポジティブにもネガティブにも変換できます。つまり、評価を上げるか下げるかの選択をお客さまに与えてしまっていることになります。せっかく、より高い評価をしてもらえるチャンスであったにも関わらず、その選択権を自ら放棄するような不注意は避けたいものです。でもこの差は、文章で書けばたった“一文字” だけの違いなのです。

柏木吉基
データ&ストーリーLLC 代表
多摩大学大学院 ビジネススクール客員教授
横浜国立大学・亜細亜大学 非常勤講師

日立製作所入社。MBAを取得後、2004年日産自動車へ。海外マーケティング&セールス部門などを経て2014年独立。グローバル組織の中で社内変革のパイロットを務め、経営課題を解決。これらの実績に基づいた「デジタル時代にこそ求められる、課題解決型思考」を研修や実務サポートの強みにしている。新著に『それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術』。


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