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突破口になるか機能性表示 アサヒ スタイルバランス

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トクホよりコスト安な機能性表示食品

機能性表示食品でノンアルコール飲料の「アサヒスタイルバランス サワーテイスト」。甘すぎず食事に合うことを伝えるために、すっきりとしたパッケージに。

「健康」は、もはやトレンドではなく、商品やサービスに不可欠な要素となりつつある。「健康」が商品を知るきっかけになったり、選ぶ際に「どうせならカラダにいいほうを」という後押しになったりもする。調査会社インテージの推計では、2015年、健康食品・サプリメントだけでも、1兆5800億円規模の金が動いた。

メーカー各社は健康需要を背景に、さまざまな商品の発売を続けている。カラダへの効果(機能性)を示せる「機能性表示食品制度」が2015年4月にスタートすると、その動きは加速した。制度を利用した商品は、食品や飲料、生鮮品など数十種類に広がる。

その中でも、アサヒビールの「アサヒ スタイルバランス サワーテイスト」が堅調だ。同社初の機能性表示食品で、ノンアルコールながら「チューハイ」風の味わいが楽しめる。昨年6月の発売から半年で35万ケース(1ケースは、250ミリリットル缶24本換算)を販売した。14年時点での「ノンアルコールサワーテイスト(RTDテイスト)」市場は570万ケース(サントリー推計)。

機能性表示食品はトクホに比べ、コストを低く抑えられる利点がある。

たとえばトクホでは、認定を得るまでに一般に2~4億円、期間も1、2年かかる。臨床試験(ヒト介入試験)の実施なども必要だ。機能性表示では、学術誌に掲載され、専門家が内容を精査した論文による実証(システマティック・レビュー)でもよい。システマティック・レビューにかかうコストは、「1成分あたり数百万円ほど」(消費者庁食品表示企画課・塩澤信良氏)という。

固まった市場の打開につながるか

「スタイルバランス サワーテイスト」は、食物繊維「難消化性デキストリン」を350ミリリットルあたり5グラム配合する。「食事の脂肪の吸収を抑える」「食事の糖分の吸収を抑える」といった2つの機能がある。

ノンアルコール飲料市場は、2011年~12年に一定の規模となって以降、横ばいが続く。前述のサントリーの推計では、11年の2830万ケースから翌12年は4045万ケースと伸長したものの、15年は4050万ケースとほぼ同じ見込み。ノンアルコール飲料の価格は、市場実勢で1缶あたり110~120円前後。

「当社もこれまで、ノンアルコール商品では『アサヒ ゼロカク』などを投入してきたが、市場が成熟してしまい、なかなか前年を超えづらくなってきた。加えてシェアが固まっているというのも課題だった」と、アサヒビール マーケティング第一部プロデューサーの松橋裕介氏は語る。

「『機能性表示食品』を発売して、『ノンアルコール』に『健康』という軸を加え、独自のポジションを築こうと考えたのが、『スタイルバランス サワーテイスト』開発の背景。ノンアルコール飲料を飲む動機には、休肝日などの健康需要がある。明確に『健康価値』を打ち出せば、ノンアルコール飲料自体のとらえられ方も、変わると考えた」。

「スタイルバランス サワーテイスト」の購買者で多くを占めるのは、女性30歳代後半~50歳代。男女比では女性が65%だ。アサヒビールが女性40~50代を対象にした定性調査では、「お酒を飲むときに、おつまみを食べてすぎてしまうので、普段から食事の脂肪や糖分を気にしている」という声があった。また、食事に合うすっきりとした味を好む傾向にあることもわかった。

「従来のノンアルコール飲料は、クルマの運転や妊娠・授乳期といった、『お酒をガマンしなくてはならない状況で飲む商品』という側面があった。そうしたカテゴリーで、健康のために積極的に選ばれる、ポジティブな動機の商品という位置づけにしたい」。

店頭POPの例。「食事の脂肪や糖分を抑える」という機能を前面に出してアピール。背景に掲載した脂っこい賞品の写真も機能を伝えるのに効く。

次ページ 「ドラッグストアでも積極的に販売」へ続く