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マーケティングを再構築するケロッグ[Campaign A-P発]

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“理想的な顧客像”からの脱却

ケロッグは、従来の「理想的なマスマーケティング」を手放し、「消費者中心のアプローチ」に切り替えようとしている。ケロッグのデジタル担当チームは、消費者への機敏な対応を重視し、ソーシャルメディアやコンテンツに焦点を絞ることで、この変化の実現をねらう。

他社の日用消費財ブランド同様、ケロッグの商品群、特に朝食向けシリアル製品には、消費者の嗜好の変化が大きく影を落としている。

冷たい食事よりも温かいものを好むようになったり、健康志向を強めたりと表れかたはさまざまだが、食習慣は変わった。特にアジア市場のニーズは多岐にわたる。ケロッグが2年がかりで製品やマーケティング方針を大きく進化させようとしているのも、この変化に対応するためだ。

ケロッグ・アジア・パシフィックで、リージョナル・デジタルマーケティング・マネージャーを務めるナディーム・エーミン氏は、『Campaign Asia Pacific』に対し、次のように語った。「いま、最も重要なのは、リアルタイムで進行するマーケティングだ。多様で広拡大を続ける当社の顧客に機敏に対応しなくてはならない」。

「“理想的な顧客像に基づくマーケティング”から、意識的に距離を置こうとしている」と、リージョナル・デジタルマーケティング ITリーダーのボー・ダン氏は言葉をつなぐ。

「デジタル(施策)、ソーシャルメディアや動画などを通じて、私たちは消費者にある種のメッセージを送りたいと考えている。そのメッセージとは、『どんな人が、どのようにして、生活を向上させているのか』について、消費者に興味を抱かせるものだ」とダン氏は語る。「ケロッグ製品を常に気にかけているような、“完璧な顧客像”を示すためのものではない」

エーミン氏は、同社のデジタルチームの目標は明確だと信じている。その目標は、ビジネスとアジア太平洋全域を対象とした“購入者向けマーケティング”に一貫性を持たせ、効果をあげることだ。「私たちは、マーケティングのためにマーケティングはしない」と彼は付け加えた。

「想定外の楽しみかた」をいち早くつかむ

アジアでは、市場ごとに商品には異なる反応がある。「オーストラリアでは、当社の『スペシャルK』シリーズはとても人気を集めている。一方インドでは、オーツ麦やグラノーラの製品が成功を収めている」とエーミン氏は話す。

朝食向けシリアルカテゴリーの縮小に対し、ケロッグの戦略は、同社の多様な製品群が、従来にない消費のされかたなどに対応できるようにする、というものだ。「私たちが着目しているのは、消費者がどのようにシリアル製品を食べているか、だ。例えば、ヨーグルトのようなほかの食品と一緒に食べるなど、これまでにないレシピが登場している」(エーミン氏)。

こうした兆しに反応するには、「どの製品が」「どのマーケットで」「なぜ、受け入れられているのか」を注視する必要がある。「そこまで大がかりではないが、似たような枠組みはある。そこで、デジタル施策やソーシャルメディア向けの企画を立てたり、管理している。ユーザー動向に耳を傾けたりもする。広告代理店とも緊密な関係にあり、実行にあたっている」。(エーミン氏)

次ページ 「メーカーが思うほど、消費者は商品について知らない」へ続く