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世界3位のピュブリシスがグローバルで組織を大変革、その狙いを聞く。

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世界第3位のエージェンシーコングロマリットである、ピュブリシス・グループは2015年12月、世界規模の組織変革を発表した。取り組みのひとつが、新たな企業体「Publicis One(ピュブリシス・ワン)」の設立。日本を含む世界50カ国で、グループに属するアドエージェンシー、メディアエージェンシー、デジタルエージェンシー、PRエージェンシー、イベントエージェンシー、リサーチ・コンサルタントを統合した、ピュブリシス・ワンが設立される。

ピュブリシス・グループ傘下のビーコンコミュニケーションズ・代表取締役社長で、2016年よりピュブリシス・ワン アジア(日本、韓国、フィリピン、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムを統括)のCEOも兼任する、ニコラ・メナー氏に、世界の広告マーケットで起きる変化を聞いた。

—グループ全体の組織変革の方針と狙いとは?

2015年より、ピュブリシス・グループは「SPECIALIZATION and INTEGRATION」の旗印を掲げ、細分化していた個々のエージェンシーブランドや機能を統合する方針を掲げ、組織の変革を進めてきた。ピュブリシスではグローバルで高い専門性を持った、企業を数々買収してきたが、それらの魅力的な企業が個々に動いている状況だった。その状況の改善のための組織変革だ。

傘下に抱える各種企業や機能を大きく「コミュニケーションズ」「メディア」「サピエント」「ヘルスケア」の4つのサービスに組みなおし、新たな事業体をつくっている。この4つの事業体の中心に位置するのがクライアントであり、一つのクライアントの世界市場すべてを見る「チーフ・クライアント・オフィサー」を置き、ワンストップサービスを提供できる体制を整えてきた。

ピュブリシス・グループは全世界で約7万8000名の社員がいるので、この変革は広告界に非常に大きな影響を与えると考えている。

—日本市場では、この統合戦略を具体的にどのような形で実現していくのか?

先に述べた統合戦略は、世界のトップ20の市場についての対応だ。それよりも規模の小さい市場では事業体を4つに分けてしまうと、効率が悪い。日本を含む、トップ20から外れる50カ国の市場では「ピュブリシス・ワン」を立ち上げ、グループ傘下の各エージェンシーが、その市場内でひとつの傘のもとに統合化していくことになった。

ピュブリシス・ワンが立ち上がるのは50カ国で、約300社が対象となり、その売り上げ規模は約6億ユーロ。アジアでは7カ国が対象になり、私がアジア全域を担当することになる。

—日本の市場では、総合的にすべてのサービスを提供する総合広告会社が一般的だが。

私は2005年から日本に来て、2007年よりビーコンコミュニケーションズの社長を務めてきたが、つくづく日本は独自性の強いマーケットだと感じている。グローバルでは広告会社は機能別に分化した組織構成になっているが、日本ではあらゆる機能を提供する総合広告会社という事業モデルが一般的である点も特異と感じるポイントの一つだ。

そこで日本においてもピュブリシス・ワンとして、統合したサービスを提供できる体制をつくるが、日本の大手広告会社と異なり、機動力をもってフットワーク軽く動ける点を強みにしていきたいと考えている。

—具体的に日本で、どのように組織や体制が変わるのか。

今後、日本も含めて各地域にCEOを一人置き、企業法人、財務、オフィス、人事を含めたバックオフィス機能ピュブリシス・ワンの傘のもと一つに集約していくことになる。

ただビーコンコミュニケーションズに、例えば同じく日本で事業を展開するグループ傘下のサーチアンドサーチ・ファロン東京が吸収されるわけではない。専門分野を持った企業が、統合的にサービスを提供できる体制が重要なのであって、必要に応じて、各ブランドエージェンシーの名前は残す方向で考えている。

私は日本に10年いる中で、ピュブリシス・ワンを設立することで、最も意味があるのが「財務」の統合だと思っている。日本は広告会社が、あらゆるコンピテンシーを統合して提供しているように見えて、実は各部門が自分たちの売上げを考えて動くあまり、真にクライアントの課題解決になる提案をしづらい環境が生まれているのではないか、と見ているからだ。

クライアントに接している担当者は、広告の企画を求められた場合も、実は課題解決につながるのは、パッケージの改善ではないか、といった気付きがあったりする。

個々の部門で売り上げを見てしまうと、真にクライアントに必要な課題解決の手段に気づいていても、提案しづらい環境になってしまう。財務を統一するというのは、クライアントにとって真に課題解決に生きる提案をできる環境をつくると考えているし、それが日本市場での差別化戦略になると考えている。

ピュブリシス・グループが進める、統合化の概念図

—財務の統一により、メディア・手法ニュートラルな提案を実現できる環境になっても、社員の行動の変革には、報酬体系や人事評価制度などの統合化も必要なのではないか。

バックオフィス機能も一つに統合し、一人のチーフ・タレント・オフィサーを置く。このチーフ・タレント・オフィサーが人事のシステムも構築していくことになる。日本のピュブリシス・ワンは、約400名の体制だ。人事システムも採用活動も、人材教育も統合することで、スケールメリットが生まれると考えている。

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