無類の本好きクリエイターたちが「本屋の未来」を勝手に考える会議

『編集会議』2016年春号では、「出版産業の未来を考える」を特集。中小の本屋の閉店・廃業が進む一方、大手の本屋は複合商業施設と併設するなどの活路を探っている。“本離れ”という本質的な課題も明らかになるなか、どうすれば本屋は生き残れるのか。「本が大好きでしかたがない」3人のクリエイターたちが、思い思いに語る。

「学歴」なんかよりも「本歴」

—この座談会は、主に本屋の未来について、無類の本好きクリエイターたちである皆さんに、率直な意見をうかがおうと企画したものです。ざっくばらんにお話いただければと思います。

東京ピストル/ガノリ代表取締役/編集者 草彅洋平 氏

草彅:とにかく僕らは、本屋好きですからね。単純に本屋に行くとテンション上がるし、本があるところが好きですから。

牛久保:そうそう。僕はコンビニエンスストアですら、行っちゃいますね。それは、やっぱり本や雑誌が売っているから。

本山:新しい街に行くと、とりあえず本屋に行くよね。

草彅:今回は本屋をどうするかについて考えるということですが、本山さんは本屋をやったりしないんですか。

SIX クリエイティブディレクター 本山敬一 氏

本山:本屋はやりたいね。『ハイ・フィデリティ』という映画で、ジャック・ブラックがレコード屋の店員役なんだけど、ダサいCDを買った客に対して「お前、ダサいな」って言うシーンがあって。そうしたら店長が、「何を聞いても人の自由だろ!」と怒り出す。でもその後にジャック・ブラックが言うセリフが格好良い。「違う、何を聞いているかが、そいつなんだ」って。本も同じだと思うんだよね。何を読んでいるかが、そいつなんだと。

牛久保:あぁ、なるほど。

本山:だから、僕はその人が何を読んできたかといった履歴がわかるようにしてほしいんだよね。欲を言えば、ちゃんと最後まで読んだか読んでないかも知りたい。やっぱり読んでいる本でその人のことがなんとなくわかるし、「学歴」なんかより「本歴」だよね。

—もともとお三方は友人なんですよね。

草彅:この3人は、本がきっかけで仲良くなったんですよ。本山さんとは、ガッサーン・カナファーニーというアラブの作家が書いた『ハイファに戻って/太陽の男たち』という小説がお互い好きで、その話ですごく盛り上がった。日本人なら誰も知らないような小説なのに、こんなに詳しい人がいるのかと驚きましたよ。でもそのことで一気に信用感が高まった。

電通 プランナー 牛久保暖 氏

牛久保:そう考えると、本は人とつながるきっかけになるよね。草彅くんは文学カフェ「BUNDAN COFFEE & BEER」のオーナーでもあるけど、あれは本屋という感覚でやっているの?

草彅:「BUNDAN」はブックカフェなので本屋ではないですけど、本来ああいった新しい文学の道標となるべき場所をつくることは、出版社がやるべき領域だと思うんですよ。それをなぜ僕がやっているのかって思いますよ。それ以外にも、読者が集う場をつくることもそうだし、出版社や本屋がやるべきことって、たくさんあったはずなんですよね。それをしてこなかったから、いま本が売れない状況になっているのもあると思うんです。

次ページ 「本を読むことの「意味」を考える」へ続く

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