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神戸市が取り組む「旅行者の気持ちと行動をつなぐ」観光ビッグデータ活用法

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2007年にスタートし、今年で10回目を迎えた「インターネット・マーケティングフォーラム2016」。今年は「データドリブンからヒューマンドリブンへ─マーケティングの本質を実現するためのデジタル活用を考える─」をテーマに、6月8日・9日の2日間にわたって開催した。データの先にある「お客さま」の気持ちや生活を見据えるために、データをどう活用するか――。本コラムでは、講演の一部をレポートとして紹介する。


講演者

  • 神戸市 経済観光局 観光コンベンション部 観光コンベンション課 インバウンド・観光プロモーション担当 係長 藤田 修司 氏

神戸市は2年連続で観光客数3500万人超えを記録している。2014年から博報堂と実施している観光に関わるビッグデータの活用でサイトの閲覧ページ数を約2倍にした取り組みとは。

神戸市は博報堂と共同で2014年から、観光にまつわるビッグデータをもとに生活者の気持ちを捉え、旅行者に最適化された情報を提供するための分析を行っている。市の観光コンベンション課でプロジェクトを手がける藤田修司氏が具体的な取り組み内容を紹介した。

「旅行前」と「旅行中」の行動

神戸市の観光客は2013年に3573万人、2014年に3543万人と、2年連続で3500万人を超えている。しかし内訳を見てみると、京都・大阪からの集客が全体の30%以上であるのに対し、関東圏からは13.1%。近隣からの集客に偏っていることが課題だった。

神戸市 経済観光局 観光コンベンション部 観光コンベンション課 インバウンド・観光プロモーション担当 係長 藤田 修司 氏

さらに、ツーリズムを取り巻く社会の変化も見過ごせない。これにより観光客が求める価値は「モノ」から「コト」へと移り変わってきている。「観光地」という有形の価値よりも「生活文化」という無形の価値が重視されるようになってきているのだ。

そこで市が取り組んだのは、観光客の気持ちと行動を結びつけること。神戸に集まる観光客のデータをDMP*1を活用して収集し、「どのような人が」「神戸に何を求め」「結果、どのような行動をしたか」の解析を始めた。まず、生活者の行動を「旅行前行動」と「旅行中行動」に分類。2014年度は「旅行前行動」に着目し、神戸への誘引施策を展開した。

具体的には、神戸市の観光公式サイト「FeelKOBE」に訪れる生活者を6つのクラスタに分け、それぞれの旅の嗜好性を反映した3種類のバナー広告を展開。観光に訪れる可能性の高い3クラスタを割り出し、2種類の動画広告を配信した。その結果、2014年の宿泊観光客は前年比で27万人増加。その大きな推進力になったと藤田氏は分析している。

サイト閲覧ページ数は約2倍に

点在している生活者のニーズを的確に把握し、旅行者の気持ちに適した次の訪問地を提案するために、2015年度に取り組んだのはリアルタイムで観光情報を提供するナビゲーションだ。「FeelKOBE」のスマートフォン版にアクセスした観光客の位置や天候の情報、思考ルールを独自のデータベースで解析したうえで、次の観光訪問先へのナビゲーションバナーを1712パターンも制作した。

サイトに実装した結果、全体的に女性の反応率が高く、50代以上の女性ならば兵庫県民、20~40代ならば関東圏からの観光客の利用が多いことが分かった。時間帯で見ると、観光開始直後である午前中の利用率が最も高いが、大阪・灘エリアでは夕方以降の利用割合も高いことなども分かった。

これらの施策の評価指標は、サイトの「来訪頻度」「滞在時間」「閲覧ページ数」を同時に向上させること。同期間内での施策への接触者・非接触者を比較すると、各指標はそれぞれ前年比117%、155%、212%と伸長した。「これは神戸の観光地としての情報に好意と興味を持って触れていただいた結果。観光周遊と旅の高い満足度につながっているものだと判断している」と藤田氏は締めくくった。

*1:Data Management Platformの略。自社が保有する顧客データや購買データ、また外部のデータなど様々なデータを一元的に管理し、ユーザー分析や広告の出し分けなどに活用できるプラットフォームのこと。

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