「コムアイも制作陣の一員だった」 — 第54回宣伝会議賞ポスター制作裏話

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「前回までのポスターとは、まったく異なる雰囲気を」—その方針の下、第54回宣伝会議賞のポスターの企画・制作は進められました。クリエイティブディレクター・コピーライターの谷山雅計さんと、アートディレクターの秋山具義さんに、今回のポスターに込めた思いや意図を聞きました。

  • クリエイティブディレクター、コピーライター:谷山雅計
  • アートディレクター:秋山具義

—撮影の感想を聞かせてください。

アートディレクターの秋山具義さん

秋山:宣伝会議賞のメインビジュアルは、ここ何年か継続して担当していますが、これまでは自然光の下で、柔らかな雰囲気の写真を撮影することが多かったです。しかし、今回はスタジオ環境下で、ライティングも決めて、スモークも焚いて、まったく違う雰囲気を演出しました。出演者であるコムアイさんにもクリエイティブチームに入ってもらい、彼女のアイデアをかなり生かしたことで、これまでにない、カッコよくて新しい、いい写真が撮れたと思います。

谷山:コムアイさんの、パフォーマーとしての力が素晴らしかった。普段、言葉とビジュアルの両方を使って表現している方ならではのアイデアだなと、伝わってくるものがありました。ポスターとしても、見る人にしっかり伝わるものをつくらなければいけないですね。頑張ります。

—ポスターのコンセプトは?

秋山:宣伝会議賞は、広告コピーのアイデアを競う場であり、言葉の表現者が集まる場でもある。ポスターや雑誌広告、雑誌の表紙(『宣伝会議』10月号・11月号)でも、ビジュアル自体が表現として伝わるようにと考えました。「言葉」が垣間見えるようなビジュアルをめざしています。

コピーライター /クリエイティブディレクターの谷山 雅計さん

谷山:宣伝会議賞は、広告界という限られた世界のアワードではあるけれど、膨大な量の応募が集まってくる賞ですよね。でも、長い歴史の中で、イメージが固定化してしまった部分もあるかもしれない。そこで今回は、これまでの宣伝会議賞のイメージを“踏み外す”ことにチャレンジしました。また、中高生部門が新設されるということで、中学生・高校生が気になったり、カッコいいなと思えるものをという意識もありました。

—このメインビジュアルを使った広告を見た人たちに、どのような影響を与えたいですか?

秋山:駅を行き交う人たちにポスターを見てもらい、「コピー」とか「コピーの賞」とか「コピーライターという仕事」があるのだと知ってもらいたいですね。ビジュアルに強いインパクトがあれば、それだけ多くの人に見てもらえる、気にしてもらえると思います。

谷山:一人で何百本もコピーを書くような常連さんというより、今回は、これまで宣伝会議賞を知らなかった人たちに届けたい。これまで、この賞が視野に入っていなかった人たちが「こういう面白いコンテストがあるんだ」と気づいて、ちょっとやってみるかと思ってくれたらいいなと思います。

—宣伝会議賞のポスターは、その時代時代の空気を取り込みながら制作されてきましたように思います。今年はどのような要素を取り入れましたか。

秋山:音楽ですかね。ポスターは静止画だけれど、カメラを前にしたコムアイさんのパフォーマンスを通して、見る人に音楽を感じてもらえるのではないかと思います。

谷山:僕は、広告に「時代」の空気を反映しようとは、それほど思っていないんです。映し出したいのは「商品」の空気。でも商品の空気を出そうとすると、商品にはもともと時代性が織りこまれているから、必然的に時代の空気も醸し出されるかもしれない。広告にも、コピーにも言えることですが、無理やり時代の空気をまとわせようとすると、間違えてしまうこともあるんですよね。一つ言えるとしたら、広告というものは「変わらない人間の気持ち」を捉えるものと、「変わっていく時代の流れ」を捉えるものの両方があって、その二つをマッチさせることが大切です。今年のポスターは、コムアイさんという、いま最も旬なアーティストを起用することで、「変わりゆくもの」を全面に打ち出した広告になっているかと思います。

—応募者に向けてメッセージを。

秋山:アートディレクターとしては、言葉自体もそうですけど、「戦略」をよく考えてほしい。数多く応募すればいいというものではないはず。戦略をもって、審査員に引っかかりを与えるようなものを提案すると、受賞に結びつくんじゃないかと思います。初めて応募する人たちは、まずはチャレンジ。コピーの書き方からして、わからないこともあると思うので、とにかくいろいろな切り口で考えたり、過去の名作コピーを読んでみたりしながら、応募するといいのではないかと思います。

谷山:若い人や、初めて応募する人たちに、「これまでにない新しい発想で」とか「常識にとらわれず」とか言ってしまいがちなんだけど、正直なところ、そんな大変なことは、若い人や初めて応募する人がそうそうできることじゃない。これまでの常識を超えるものをつくれるのは、ある意味本当のプロフェッショナルだけ。ですから、僕はそんな高いハードルを飛び越えろと、いきなりは言いません。とにかく、トライしてみてほしい。挑戦する中で、「ものを考えるって楽しいな」ということを体験し、実感してもらえたらと思います。


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