—企業とマーケティングを取り巻く環境の変化とは。
デジタルの浸透は私たちの生活、経済、そして社会に様々な形の「disruption(ディスラプション)」を引き起こしている。日本だけでなく世界中の企業が、ディスラプションの影響を受けて変わりゆく消費者の期待に応えるべく、自らの事業モデルを変革せざるを得ない状況である。
マーケターの仕事も従来のようにキャンペーンを企画・実施するだけで留まらず、顧客の視点に立ち、顧客にとって魅力的な体験を提供することが求められている。顧客視点に立ち、顧客をより深く知ることを追求してきたマーケターだからこそ、果たせる役割は大きいと言えるだろう。
—顧客体験の重要性を強く主張しているが。
消費者が体験を重視する傾向は強まっている。特に若年層は、物質的な価値よりも、瞬間的な体験を重視する。企業の競争軸はどれだけよいマーケティングができるか、ではなく、どれだけよい体験を提供できるか、に移り変わっていると言えるだろう。
デジタルの浸透は、顧客に関わる大量なデータをマーケターが取得できることを可能にした。この新しい環境で成功を収めるために必要なことは、データを活用し、顧客体験を中心としたビジネス(エクスペリエンス・ビジネス)を実現させることだ。
ただ、その実現は決してマーケティング部門だけでできるものではなく、企業を挙げた取り組みが必要となる。製品チーム、営業、サポートチーム、と個客と接点を持つすべての部門が同じ方向を向いていなければ実現できないだろう。このビジョンを完全に実現するには、5年も10年もかかるかもしれないが、まずは身近な顧客接点の体験を改善するところから始めていくべきだと思う。
—多くの企業がテクノロジー活用に力を入れている。テクノロジーで実現する顧客体験の改善だけでは、ブランドの差別化が難しくならないか。
エクスペリエンス・ビジネスを実現するとは、そのブランドが消費者に対して約束したことをより強く実行することと言える。例えば、私は来日する際にデルタ航空を利用した。私がデルタに求めることは、毎日何百、何千という乗客を乗せたとしても、その中のたった一人の私をきちんと理解して対応してくれることであり、それがデルタというブランドの私への約束だと考えている。
エクスペリエンス・ビジネスとは、自分たちのブランドの消費者に対する約束が基点になるので、それぞれのブランドによって、異なる顧客体験として提供されることになる。
日本で企業の経営層と話をする機会を得たが、「デジタル・ディスラプション」への対応が経営課題の上位に来ていると感じた。日本でも、エクスペリエンス・ビジネスに対する理解と対応は、今後進んでいくと考えている。
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