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2年連続で売上増!資生堂 スノービューティーの動画活用、成功のカギは「鮮度」の維持

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「商品」ではなく「コンテンツ」をコミュニケーションの中心に

マキアージュの限定品として2014年9月に発売したフェースパウダー「スノービューティー」は、「透明美肌」を実現する商品機能や、パッケージデザインが幅広い女性に支持され、同ブランドの限定品としては過去最高の売上を記録した。以来、毎年9月に事前予約限定で販売しており、今年で3年目。初年度の売上を上回った2年目「スノービューティーⅡ」に続き、9月21日に発売した「スノービューティーⅢ」も前年度の売上を更新した。

スノービューティーのコミュニケーションの特徴は、テレビCMや雑誌広告といったマス広告は使わず、オンライン施策を中心としたプロモーションを展開していることだ。「年末のご褒美コスメ」として、資生堂の会員向けの特別なアイテムと位置付けて発売したため、初年度に実施したのは店頭施策のみで、潤沢な宣伝予算はもともと確保していなかった。

しかし購入者を分析したところ、新規層が多かったため、広告プロモーションを行えば、より多くの新規客を獲得することができるのではと予測。そこで2年目・3年目はより顧客接点を広げ、商品認知度を上げる目的で、ターゲットが思わず“キュン”とするような動画コンテンツを軸に話題化を図った。

「大規模な投資をしてテレビCMを打てば、幅広いターゲットにリーチできるのは当たり前。スノービューティーが限られた予算の中で高い販売目標を達成するためには、自然発生的に話題を喚起・拡散する必要がありました。マーケティングとクリエイティブ、両チームで企画を練って辿り着いたひとつの答えが、スノービューティーⅡで実施したWebムービーを軸とするコミュニケーションでした」とマーケティング部の小野有貴氏は話す。

3年目のプロモーションの軸となったWebムービー「逆さに降る雪」。

スノービューティーのターゲットは「かわいいものを持っているだけで、何だかキレイになれる気がする」女性。3年目である今年のWebムービー『逆さに降る雪』は、そんな女性たちの背中をそっと押すような、「恋が叶う」というメッセージ・世界観を強く打ち出している。舞台は、一面真っ白な雪景色の中、ぽつんと佇む小さな駅の待合所。二階堂ふみさん演じる、電車を待つ乗客「ユキ」と、窪田正孝さん演じる駅員「シロー」の二人だけの閉ざされた世界で起こる、ファンタジックなラブストーリーを描いている。

商品そのものに関する言及はほとんどなく、終盤にほんの短い時間、商品が写り込むだけ。スノービューティーの特徴である「朝も夜も使える」などの機能は一切説明されていない。「機能的価値だけではなく、情緒的価値を感じてもらうことを通じてブランドを育てたい」との考えから、コミュニケーションの中心に、商品ではなくコンテンツを据えた。

動画の認知度を高めるための施策としては、キュレーションプラットフォーム「MERY」との記事タイアップを実施。2年目は、「朝も夜も使える」という商品価値を、「24時間使える」「すっぴん寝顔に自信」というMERYの読者の関心ごとと紐付け情緒的に伝えた。記事の末尾にリンクバナーを表示し、資生堂の美容総合サイト「ワタシプラス」への流入を促したところ、MERYの記事を経由した商品予約率は他メディアの5~10倍を記録したという。
これを受け、3年目はMERYとのタイアップをWebから雑誌『MERY magazine』にも拡大。Webムービー「逆さに降る雪」に出演した女優の二階堂ふみさんが登場する、「Come True Love~恋を叶える魔法のパウダーと7つのジンクス」というコンテンツを展開した。事前にMERY読者から募集した「恋が叶うジンクス」を、誌面上で二階堂さんに再現してもらう企画だ。

動画と同様、記事にも商品機能に関する説明はほとんどない。あくまで商品の“恋が叶う”という情緒的価値を訴求することで、まずはターゲットに“自分向けのブランド”だと感じてもらう。その上で、ブランドサイトにアクセスしたり、実際に店頭に足を運び、商品の機能や価値を知って購入してもらうことを目指した。

次ページ 「動画コンテンツの鮮度をいかに保つか」へ続く