第54回宣伝会議賞、11月11日応募締切迫る!最終審査員に聞く、締切前にできること

宣伝会議賞の応募締切まで残りわずか。ラストスパートをかけている方も、「もう間に合わないだろう…」とこのタイミングからの応募に躊躇している方もいるのではないでしょうか。勝負はまだこれからです!
最終審査員の横澤宏一郎さんに、締切前にアイデアを出し切る方法を伺いました。

最初のひらめき、最後のあがき

私だけのことかもしれませんが、クリエイティブで大事なのは、“最初”と“最後”だと思っています。もちろんプレゼンまでの間ずっと悩み続けるのだけど、要所となるポイントは、大きくこの2点ではないかと思うのです。

横澤宏一郎さん

“最初”というのはまずオリエンの場です。クライアントを訪問して直接、話を聞くこともあれば、社内のクライアントの担当営業から聞くこともありますが、いずれの場合も話を聞きながら、すでに“一人企画会議”が始まっています。企画会議というのは言い過ぎかもしれませんが、オリエンシートを読んだ瞬間のファーストインプレッションで「こんな企画はどうかな?」とアイデが浮かぶことが多い。そしてそこに「タレントは誰?」「商品はどう出す?」と自分の頭の中でやりとりが進んでいきます。

それを“ひらめき”と言うのでしょう。実はひらめきなんて天才的なことではなくて、日頃気になっていることや、いろいろなことを考えている混沌としたストックから、課題に適していると思われることを反射的に引っ張ってくる、というほうが正しい気がします。要するに日常生活のすべての事象がひらめきの素であるいうことになってしまうのですが、でもそうやってオリエンの場でひらめいた企画では、不安になることが多い。そんな思いつきで提案していいのだろうか、もっと深く考えたものをプレゼンしないといけないのではないだろうか、と。

でも、この考えは間違っていて、ひらめくのはオリエンの場だろうが、話を聞いて3日後だろうが、2週間後だろうが関係ないのです。大切なのは、そのアイデアに可能性があるかどうか。そして、可能性が低いのならどうやって伸ばしていけばいいのかを掘り下げて考えていくことです。

プレゼンする企画は、子どものようなもので、早く生まれたほうが大きく育てられる。粘ることも大切だけど、早めにこのアイデアで行こうと決めて、そこから肉付けしていくことも大事です。

例えば自分の例で言うと、日野自動車さんの仕事はまさにひらめきでした。「日野の2トン車が…」と担当営業が私にオリエンしているときの「ひののにとんしゃ」というちょっと言いづらそうな言葉が妙に気になって、「はっぱふみふみ」じゃないですが、語感のいい言葉って流行るよなという実感から「“ヒノノニトン”で1案つくります」と、その場で言いました。まだそのときはCM企画まではできていませんでしたが、この言葉をアイデアの核にしようということは決めたのです。

そして2つ目の山場が、プレゼンの直前。“最後”です。あがきと言ってもいいかもしれません。ここでまた企画を思いつくこともあれば、大きく修正したほうがもっと良くなる、と思ってしまうことがよくあります。だいたい出来上がってきたプレゼン物を眺めていると、ああしたい、こうしたいという思いがふつふつと芽生えてくるのです。

そこで、「でも、もう今さらなぁ」と諦めてはダメで、やはり最後まであがく。営業から「明日プレゼンですよ!」と言われても、「今日じゃないから間に合うよ!」と返す。このあがきって、精神的なことが大きい。最後まで頑張った、最後まで諦めずに考え抜いた。そんな企画だからこそ自信をもってプレゼンできる。いろいろな質問をされても、即座に答えられる。すべて考えて検証済みだからです。そんな自信のある態度がクライアントにも良く映るはずですから。と、ずっと現業の話をしてきましたが、「最初のひらめき」は宣伝会議賞にも、もちろん当てはまることだと思います。

課題をパッと見たときに思いつくことも大切だし、ひらめく感じのしない課題は諦めて次に取り組んだほうがいいかもしれない。これだけ課題数があると、ファーストインプレッションを信じてやるしかない。これはいけそうだと思った課題で、そこで思いついた種(切り口)をどう育てていくかも大切ですから。

どういう言い回しでその思いを伝えていくのか、というコピーを深める作業に時間をかける。審査員としての立場から言うと、「てにをは」の違いや微妙な言い回しの違いで何本も出されるとすべて落としたくなります。それを自分で絞り込めないようなコピーはおそらく通過できるコピーではないのだと思うのです。

そして、この賞に関しては、「最後のあがき」のほうがもっと大切かもしれません。一人ひとりがたくさんの数のコピーを応募することになると思いますが、最後の最後まで書くということは物理的・確率論的にも受賞の可能性を高めることになる。そしてやはり、それ以上に精神的なこと。

自己充足感ですよね。最後までやり切った、悔いはない。これでダメなら仕方ない。ちょっと古い日本的な考え方かもしれないですけど、いわゆる根性論というやつです。もう十何年も前になりますが、私も宣伝会議賞に挑戦していた頃があって、やっぱりギリギリまで課題に取り組んで、そのときは郵送形式だったので、締切日の消印の押される真夜中に郵便局に持ち込んでいました。

そうしたら同じく大きな封筒をもった他の応募者の方がいたのを覚えています。この人も同志だなあと。そこまでギリギリまで粘らなくてもよいのでしょうけど、やっぱりここまでやらないと自分を納得させられなかった。自分に自信がないから、頑張ったという証しか頼れるものがなかったのです。

一人で書き切るだけでなく客観的な意見を聞いてみる

最後のあがき方としては、一人でこもって書きまくるというのもあるとは思いますが、それもこの段階ではキツくなっていると思うので、ここであえて客観的な意見を聞いてみるのもいいかもしれません。例えば親兄弟、恋人、友だち、同僚などに「こういう課題でこういうコピーを考えているんだけど、どう思う?」と。自分ではコレだ!と思っていたコピーを散々に言われる可能性があります。でもそれは案外正しいリアクションだったりする。

コピーって、書いてるときは“ひとりよがりの言葉”であって、人目に触れて初めてコピーになる。受け手あっての言葉だからです。現業だとCDやADや営業やクライアントの目に触れますからね。広告賞のときはそのプロセスがない分、「これはコピーになってないなあ」というものが多くなっている気がします。過去の受賞作品なんかを見ていても、発見か共感のないものは宣伝会議賞には通りづらいのだろうなと思います。

 

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宣伝会議賞についてもっと知りたい方、また応募してみたい方は、月刊『宣伝会議』10月号、および宣伝会議賞公式サイトをご覧ください。

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