広告会社に特化したDSPで急成長するThe Trade Desk、日本市場はどう攻める?

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広告会社向けにDSP(Demand-Side Platform)を提供するThe Trade Deskは9月、米国のナスダック市場に上場した。2009年に米国で設立され、特に大手広告会社グループにサービスを提供することで成長してきた。日本にも2014年に参入し、2016年以降もさらに営業活動を強化していく。米国で広告会社からの支持を得ることができた理由から、日本市場をどう攻略していくのかについてまで、日本支社のカントリーマネージャーを務める新谷哲也氏に聞いた。

The Trade Desk Japan カントリーマネージャー 新谷哲也 氏

—The Trade Deskについて教えてください。

広告会社および広告会社のトレーディングデスクに対してDSPを提供している会社です。2009年に米国で設立され、WPPグループのXaxis(ザクシス)、IPGグループのCadreon(キャドレオン)、電通イージスグループのAmnet(アムネット)など大手広告会社グループのトレーディングデスクに技術パートナーとして採用されてきました。現在は米国、イギリス、ドイツ、シンガポール、オーストラリア、日本、韓国、中国の8カ国でオフィスを展開しています。

—米国の広告会社から支持を得ることができた理由は?

技術開発に注力してきたことに尽きます。特徴的なのが入札方法で、時間帯、SSP、場所などの要素一つひとつに入札金額の重み付けをすることが可能で、一つの広告グループに理論上、何百万にも及ぶ入札金額を持つことができます。したがって、その中で効果が高かったものに入札を強化したり、低いものをストップしたりすることで最適化ができるのです。釣堀に例えると、他のDSPは運用者の仮説のものに、さまざまなポイントに糸を垂らし、釣れなかったら違うポイントに移動するといった具合に次々と場所を変えていくイメージ。一方で、我々は、釣堀全体にいっせいに餌を撒いて、反応の良かったところに餌を寄せていくイメージです。こういった入札方法に加えて、広告会社のニーズをすばやく汲み取り、ワークフローを徹底的に改善してきたことも支持を得てきた理由でしょう。

—広告主との直取引は行わずに、広告会社に特化している理由は?

我々のビジネスの最終目的は、インターネット広告のRTB(Real-Time Bidding)ではありません。テレビやラジオ、OOHといったあらゆるメディアの広告枠をRTBで売買できるようにすることです。この戦略を考えると、広告主ではなく、広告会社に対するビジネスを展開する必要があると考えます。テレビも含めたメディアの入札による取引が実現した場合、広告主がインハウス化で対応するのは難しいと考えています。

—その具体的な理由は?

広告主のインハウス化が難しい理由の一つは、タレント(人材)が集まらないことです。広告取引にはインベントリー(在庫)とデータ、タレントが必要です。インベントリーとデータについては広告主でも入手できますが、タレントの確保は厳しく、すべてをインハウスで行う難易度はとても高い。やはり今後も広告会社がエグゼキューションの役割を担うことになると考えています。

—The Trade Deskは日本市場で後発になるが、勝つための戦略は?

「ワークフロー」「入札能力」「機能の豊富さ」の3点で、競合のDSPに勝てると考えています。我々は広告会社からの要望を受けて、常に機能改善を重ねており、昨年は1年間(52週)のうち48週で改修や新機能をリリースしました。このグローバルでの開発体制は、他社にない強みです。最近はようやく少しずつ認知されてきており、広告主がThe Trade Deskに興味を持っていただき始め、広告会社経由で引き合いが増えています。

—クライアントがThe Trade Deskに興味を持つ理由は?

大手広告主では、すでにDMP(データマネジメントプラットフォーム)を導入し、大量のファーストパーティーデータを保有しています。ただ使い切れておらず、豊富な機能を持つThe Trade Deskであればもっと活用できるのではと思ってくださるようです。また、我々がログに近い形態でレポートが提出できる点にも興味を持っていただいており、昨今の課題となっているレポーティングに対する透明性も評価されています。

—最後に今後の展望をお願いします。

我々は日本では後発です。The Trade Deskの豊富な機能を紹介しながら、他の競合企業に負けないくらいのクライアントサービスを提供し、広告会社のニーズに一つひとつ丁寧に応えていきたいと考えています。

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