Epica Awards受賞発表、グランプリは世界初・認知症患者のための簡略化小説

share

世界の広告専門のジャーナリストたちが審査員を務めるフランス発の国際広告賞「Epica Awards」の2016年の審査結果が発表された。

選出されたグランプリは全部で5つ。今年初めてグランプリが設置されたデザイン部門には、早期認知症患者のための簡略化小説「Simplified stories」が選ばれた。デジタル部門は「The Next Rembrandt」、フィルム部門はスパイク・ジョーンズによるKENZOの動画、プレス部門ではノルウェー・エアシャトルによる「Brad is Single(ブラッドが独身に)」、アウトドア部門ではHBOの人気テレビドラマシリーズを活用した観光キャンペーンが受賞した。

各グランプリの詳細は下記の通り。

デザイン部門グランプリ: Alzheimerliga「Simplified stories」(DDB Brussels)

ベルギーのアルツハイマー病協会では、認知症患者のために書かれた世界初の本と小説を発表した。「Simplified stories」というタイトルで、ストロマエ(ベルギー・ブリュッセル出身のヒップホップミュージシャン)の伝記を第1弾とし、内容を簡略化したシリーズ本を出版していくプロジェクトだ。

同協会によれば、早期発症型認知症の人たちは記憶障害だけではなく、言語障害にも悩まされており、読書が記憶を鍛える最良の方法であるにもかかわらず、本を読むことをあきらめてしまう。

そこで同協会では専門家の協力を得て内容を簡略化させたスタイルの本を発売。ページあたりの文字数を減らし(以前の6割に)、ストーリーの構造を時系列に整理し、章ごとにまとめを追加して、内容を理解しやすくした。

デジタル部門グランプリ: ING「The Next Rembrandt」(J. Walter Thompson Amsterdam)

カンヌライオンズなどでも今年多数受賞した「The Next Rembrandt」がグランプリを受賞。レンブランドの作品を機械学習したAIが、レンブラントの「新作」を発表するプロジェクト。

フィルム部門グランプリ: Kenzo Parfums「Kenzo World」

スパイク・ジョーンズがフランスのKenzo Parfumsのために制作したフィルムがグランプリを受賞。緑のエレガンスなドレスを身にまとって式に参加していた女優のマーガレット・クォーリーが、一転して約4分間にわたり「ヘン顔」と「ワイルドな踊り」で自身を解放する、インパクト大の映像作品。

プレス部門グランプリ:ノルウェー・エアシャトル「Brad is Single(ブラッドが独身に)」(TRY Oslo)

ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの離婚劇をネタにした、ロンドン→ロス行き便のキャンペーン。「ブラッドが独身に」と大きく書いた新聞広告で、169ポンド(約2万3000円)のチケットでロスに行けば、ブラピと出会って(もしかしたら)恋に落ちるかもしれない…とアピールした。

アウトドア部門グランプリ:アイルランド観光協会「Doors of Thrones」(Publicis London)

HBOのテレビドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』は、ドラゴンや魔法が活躍する中世ヨーロッパ的な世界観で人気を博してきたファンタジー。6年以上にわたり、北アイルランドはその撮影と制作の本拠地となってきた。

2016年1月、その撮影スポットであり観光名所にもなっているThe Dark Hedgesを台風が直撃し、大きな被害が発生。アイルランド観光協会では、この台風で発生した倒木を使い、『ゲーム・オブ・スローンズ』のエピソードを元に、精緻で美しいデザインが彫り込まれた10枚のドアを制作。これらのドアを、北アイルランドの中心街のパブに設置し、話題化を図った。

日本からの受賞作品

自動車部門 ゴールド:日産自動車「INTELLIGENT PARKING CHAIR」(TBWA\HAKUHODO)

 

ラグジュアリー&プレミアムブランド部門 シルバー:カシオ計算機「G-SHOCK BONSAI」(マッキャンエリクソン)

 

パブリックリレーションズ部門 シルバー:グリーンリボンキャンペーン「Second Life Toys」(電通

 

広告写真部門 シルバー:カシオ計算機 G−SHOCK「千年翠」「蒼枯」「磐座」(マッキャンエリクソン)

 

メディアイノベーション部門 ブロンズ:キングレコーズ 「Native Mobile Music Video」(TBWA\HAKUHODO)

 

パッケージ部門 ブロンズ: JR東日本+横浜ステーションビル「デリ・サプリ」(ビーコン コミュニケーションズ)

 

今年のEpica Awardsは66カ国から3800点の応募があり、昨年から2%の伸びを示した。国別ではアメリカが69点の受賞で最多で、フランスとイギリスが続いた。ヨーロッパ外ではカナダ、アラブ首長国連邦、日本の活躍が目立ったという。エージェンシーオブザイヤーはBBDO NY、インディペンデント エージェンシーオブザイヤーはノルウェーのTRYが受賞した。


「Epica Awards」に関連する記事はこちら

Follow Us