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コラム

スポーツ経営に学ぶ 常識を超えるマーケティング発想法

横浜DeNAベイスターズ前社長が語る キャリア形成における2つの戦略

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【前回の記事】「経営者こそがブランドマネージャーになるべき(後篇)――横浜DeNAベイスターズ前社長 池田純」はこちら

順を追う戦略と、のべつ幕なしに仕掛ける戦略

ここからはマーケッター視点でのキャリア形成についてお話しします。

私自身は、もちろんスポーツ業界の発展に貢献したいという気持ちがありますが、スポーツ業界は閉鎖的な面もあるため良い機会に出会えるかも不確定すぎることもあり、スポーツ業界に関わらず「経営」をしたいと考えています。

そのため、もしかしたら1カ月後には、また別の企業を経営しているかもしれません。

ただ、キャリアはそう簡単には、自分の思い通りにはつくれません。キャリアに関して、私には2つの戦略があります。

ひとつは順を追ってキャリアを積み上げていく戦略。もうひとつが散弾銃を撃つように、のべつ幕なしに仕掛ける戦略。今までも、この2つを掛け合わせてきました。

キャリア形成では、散弾銃を撃つように、のべつ幕なしに仕掛ける

私のひとつ目の戦略としては、現在のところ、スポーツビジネスのキャリアを積んでいくのが自然な流れとなります。

すでに、横浜DeNAベイスターズで球団経営は経験しました。いまは全クラブ統括組織のリーグビジネスを含め、Jリーグ特任理事を務めています。

また、世界の流れを経験するとともに、今後、伸びていく可能性のあるスポーツとして、2019年にワールドカップの自国開催を控えるラグビーの日本協会特任理事にも就任しました。加えて、明治大学の学長特任補佐としてアマチュアスポーツにも関与しています。

経営者がいないことが日本スポーツ界の今後の発展の最も大きな課題になるため、「Number Sports Business College」でスポーツビジネスに関わる人材育成にも力を入れ、現在は、「野球の第一人者」から「スポーツの第一人者」に発展するため、幾つかの肩書き持っています。

そして、もうひとつの散弾銃を撃つような戦略も同時に進めています。結果、10以上の肩書きを持つにいたっています。その中から次の自分のメインがみえてくる、発見する、出会えるのではないかと考えています。

企業でも成長領域を伸ばしていく中、将来を見据えたタネ探しとして、さまざまな分野に投資するものです。それは個人でも同様で、私もスポーツに関わる一方で、今も経営者として他分野に対して、さまざまな仕掛けを行っています。

野球では3割打てば上位打者になりますが、ビジネスも成功率はバッターと同じくらいか、それ以下だと思っています。

もちろん、自分でコントロールできない世界があり、仕掛けた先に何をつかむかどうかは運命と言えるかもしれませんが、待っていても掴めるものは少ない、可能な限り自分で道筋をつけておくことは必要です。

次回は、2020年の先を見据えたマーケティングについてお話します。

池田 純 氏

1976年1月23日、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業後、住友商事、博報堂を経て、2007年にDeNAに入社。執行役員マーケティングコミュニケーション室長を務める。2010年にNTTドコモとDeNAのジョイントベンチャー、エブリスタの初代社長として事業を立ち上げ、初年度から黒字化。2011年に横浜DeNAベイスターズの社長に史上最年少の35歳で就任。5年間で数々の改革を行ない、売上は倍増、観客動員数は球団史上最多、24億円の赤字から約10億円の黒字化に成功。2016年10月16日、契約満了に伴い、横浜DeNAベイスターズ社長を退任。現在はJリーグ特任理事、明治大学学長特任補佐や複数の企業のアドバイザーを務める一方、Number Sports Business College(NSBC)を開講するなど、10以上の肩書を持つ実業家として活躍している。著書に『空気のつくり方』(幻冬舎)、『スポーツビジネスの教科書 常識の超え方 35歳球団社長の経営メソッド』(文藝春秋)ほか。
HP→http://plus-j.jp/