マーケター必見、米国広告界の最新動向をとらえる8つのキーワード

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9月24日から10月1日の日程で実施した、米ニューヨーク視察研修ツアー「Business Creation Lab. in New York」。6日間の視察を通じ、時代の変化に合わせて新たなビジネスモデルの確立に動く先進企業の動きを捉えるとともに、日本の広告界が目指すべき方向性を探りました。アドタイでは、視察団が訪問した注目企業について、レポートを順次公開していきます。
また「宣伝会議」2018年1月号(12月1日発売)には、レポートの総集編を掲載します。こちらも、ぜひご覧ください。

デジタルインテリジェンス
ニューヨークオフィス代表 榮枝洋文氏

 

世界の広告・マーケティング界の最先端を行き、新しい概念や手法が生み出されるアメリカ。Business Creation Lab. 2017 in New Yorkは、アメリカ広告業界の最新トレンドを概観するレクチャーからスタートした。

講師を務めたのは、デジタルインテリジェンス ニューヨークオフィス代表の榮枝洋文氏。6日間にわたる現地企業の視察から、実務に役立つヒントをより多く得られるよう、前提となる業界全体の動向を次の8つのポイントに分けて解説した。

【1】インセンティブ型収益モデルの登場
米国の広告会社の収益モデルはフィー制が主流だが、最近では、広告の成果に応じて報酬額が増える「インセンティブ型」が広がりつつある。スタートアップのクリエイティブエージェンシーがインセンティブ型で業績を伸ばしており、広告主の満足度も高いようだ。

効果測定の手法はまだ手探りで、キャンペーン効果を第三者機関で測定するケースもあれば、広告主側が商品売上高などの情報を開示するケースもある。ベースとなる報酬額を低く設定し、成果に応じて1.5倍、2倍に増やすという方法が人気のようだ。

【2】vMVPDの台頭
「virtual Multichannel Video Programming Distributor(vMVPD)」とは、スマートフォンを含むインターネット経由でテレビ局コンテンツを生放送するサービスで、Sling TVやYouTube TV、DIRECTV NOWが代表的な例である(多くは月額料金)。サービス利用者は全米で約500万世帯と、8000万世帯に達するケーブルテレビに比べればまだ少ない。

しかし、大手テレビ局がカニバリズムを起こすのを覚悟でvMVPDサービス事業者と連携し始めていること、また広告主が持つ巨額のテレビ広告予算がvMVPDに移行し始めていることは注目に値する。

【3】広告景気とコンサル系エージェンシーの実態
アメリカおよびグローバルの広告景気は明らかに停滞している。消費財メーカーの売上が減り、広告費用も縮小していることが大きな要因だ。これがアメリカ大統領選挙とトランプ政権誕生による一時的な影響か、それとも長期的な問題であるかは、慎重に見極めるべきだろう。
近年、コンサルティング系エージェンシーが広告業界の成長企業と持て囃されているが、実態はM&Aによって売上高を増やしているだけで、オーガニック成長率は高くないはずだ。

【4】取引透明性に対する厳しい目
2016年に全米広告主協会(ANA)がメディア取引の透明性に関するレポートを公表して以来、特にデジタル広告分野で、大手広告主の目は厳しくなっている。世界の大手広告会社では、アドフラウド対策やブランドセーフティのレベルにお墨付きを与えるTAG(Trustworthy Accountability Group)認証を取得する例が増えてきた。

日本は中国などと並んで広告取引の透明性が著しく低い国とされるが、今年9月、KDDI系 Syn.ホールディングスのMomentumがTAG認証を取得するなど、グローバル水準に自主的に足並みを揃えるエージェンシーも出てきた。来年5月にはANAの世界総会が日本で開催されるため、この問題への対処は避けられないだろう。

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