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企業も顧客も個人として向き合い、理解し合う シングル&シンプルマーケティングのすすめ

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ブランドに“自己紹介文”をつけてお客様と絆を結ぶ

通常売上を伸ばそうとする時には、商品単価を上げるのは難しいため、購入者数を増やして売上を上げようとします。しかし、「シングル&シンプルマーケティング」では、顧客数を絞り、ひとりのお客様の購入回数を増やすことで個数を稼ごうという考え方をします。ひとりのお客様の購入回数を増やすためには、三河屋さんのように先回りをしてツボを押さえた売り込みを行わねばなりません。

お客様をよく観察して、この人はどんな時に買いたいと思うのか、どういうサービスや商品を求めているのかを考え、ツボを当てる精度は上げていく必要があります。

なにも難しく考えることはありません。お客様と対話をすればいいのです。

キャンプ用品メーカーのスノーピークは、新潟県三条市に広大なキャンプ場をつくり、その中心にガラス張りの本社を建てました。スノーピークの社員は、自分たちの目の前に製品を使ってキャンプをしているキャンパーがいるので、いつでも感想を聞きに行けます。ユーザーに直接「使ってみてどうですか?」と聞けば、そこからいろいろな感想や要望が出てきます。スノーピークはそれを参考に新製品の開発を行い大きく業績を伸ばしています。

スノーピーク代表取締役社長の山井太氏はお客様と物語を話せる場所を作りたいと思ってキャンプ場に本社を建てました。モノには誕生した場所や生まれた背景があります。人が一番聞きたがる物語はそういう原点の話です。山井氏は、三条市は不便な場所だけれどスノーピークの原点なので、そこにわざわざ来てもらい、キャンプをしてもらえば、お客様は喜んでくれるのではないかと考えました。読みは当たり、今スノーピークのキャンプ場はキャンパーの聖地になっています。

このように原点やオリジナルを重視するといろんなヒントが見えてきます。

たとえば、今はたくさん売れている人気のバッグにも、デザイナーの生みの苦しみの末に誕生したというストーリーがあるかもしれません。それを知れば、お客様にとってそのバックは特別なものに変わり、大切に長く使おう、次もこのブランドを買おうという気持ちが生まれるでしょう。

ブランドストーリーとは、そのブランドに“自己紹介文”をつけてあげることです。紹介文があれば、お客様もブランドを理解しやすくなりますし、ブランドに対する絆も生まれます。また、お客様が友だちに話す時も説明しやすくなります。逆に、価格がどうとか、どこで売っているとか、そういう話しかしなければ、お客様とブランドとの関係性は一気に薄くなってしまいます。

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