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企業も顧客も個人として向き合い、理解し合う シングル&シンプルマーケティングのすすめ

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SNSは拡散ではなく、顧客を理解するために使う

「シングル&シンプルマーケティング」では、マーケターが個々のお客様に長く寄り添い、デジタルで自動化できることは任せて、お客様との対話を重視し関係性を強めて売上を伸ばしていくという考え方をします。

デジタルの使い方は、これまでのようにSNSでたくさんの人々に拡散させるというよりも、お客様の望むマーケティングを導き出すために活用すべきだと考えます。

フィギュアスケートの羽生結弦選手が2016年11月のNHK杯のショートプログラムで、鮮やかな紫色の衣装でスケーティングをして優勝しました。それを見ていたあるファンが「羽生君、ルマンドカラー」とSNSでつぶやいたのです。

「ルマンド」というのは、ブルボンが1972年から販売している焼き菓子のヒット商品で、羽生選手の衣装と同じ紫色のパッケージがトレードマークになっています。ルマンドは今の若い世代の人たちには馴染みがないため、大勢のファンがいっせいに検索してグーグルの検索数が増加しました。ルマンドがお菓子だとわかると、今度は都内のスーパーで売り切れが続出したのです。

2017年秋にブルボンは「ルマンドアイス」を発売します。この時テレビCMは一切打たず、フィギュアスケートの大会が開催される会場付近などで販売しました。

すると、大会を見に来た人がそれを見つけて、すぐに「ルマンドアイスっていうのが近くのお店にあるよ」と、フィギュアスケートのアイスアリーナ近くで食べている写真をSNSにあげます。それを見たフィギュアスケートファンに情報が広がっていき、自分も食べてみたいと探しに行くわけです。そうやって地方でどんどん売れていき、ネット上でルマンドアイスが販売されている地域のまとめ記事が出るほど話題になりました。

「ルマンドアイス」のマーケティングでブルボンがターゲットにしたのはフィギュアスケートファンだけに口コミで広げることでした。彼らはそれ以上に広げることはあえてしませんでした。

これが普通のマーケターだったらSNSで日本国中に伝えたいと思うでしょう。しかしそれは非常に難しいことです。それよりもルマンドに関心が高い人たちに絞った方が確実に情報は伝わっていきます。SNSは口コミを広げるツールというよりも、自分たちのブランドのファンがどのようなことに関心を持っているのかを知るためのツールなのです。そうすることによってお客様の望むマーケティングが実践できるようになるのです。

本間 充(ほんま みつる)
アウトブレイン ジャパン株式会社 顧問/アビームコンサルティング株式会社 顧問

宣伝会議 デジタルマーケティング実践講座、デジタルソリューション営業基礎講座、データマーケター育成講座、広告効果測定講座、メディアプランニング基礎講座、マーケターのためのKPI設定講座講師。
1992年、花王株式会社に入社。1996年まで、研究員として、スーパー・コンピューターを使って、数値シミュレーションを行う。社内で最初のWeb サーバーを立ち上げ、以後本格的に業務としてWeb に取り組む。2015年に、アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの事業会社のマーケティングの支援、Web コンテンツ管理システム導入を行う。その他、ビジネス・ブレークスルー大学講師や、東京大学大学院数理科学研究科客員教授(数学)、内閣府政府広報アドバイザー、文部科学省数学イノベーション委員などを務めている。

 


シングル&シンプル マーケティング
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