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すべては「らしさ」を語ることから ブランドのあるべき姿を探求

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競争環境の変化やグローバル展開を踏まえた、これからの日本発ブランドのあるべき姿について語る「Branding Journey Seminar」が2月25日に都内で開かれた。伊藤園、福光屋、BAKE(ベイク)のほか土屋鞄製造所の取り組みが紹介された。

(左から)伊藤園の角野賢一氏、福光屋の福光太一郎氏、BAKEの黄珊珊氏、土屋鞄製造所の土屋成範氏、フラクタの河野貴伸氏。

革新の積み重ねが伝統をつくる

セミナーは4部構成で、冒頭はフラクタ代表取締役の河野貴伸氏が、今回の主旨とブランディングに取り組む際のポイントを解説した。続いて、伊藤園、福光屋、BAKE(ベイク)がそれぞれの考え方や取り組みについて説明。河野氏と土屋鞄製造所のエピソードを土屋成範社長がコメントしつつ、議論が繰り広げられた。

伊藤園の角野賢一氏は、広告宣伝部の仕事の傍ら、お茶を飲みながらアイデアを出し議論を深める「茶ッカソン」という取り組みを続けている。そのきっかけとなったのが、米国赴任中のある「気づき」だったという。

「『おーいお茶』の拡販にあたって、シリコンバレーのIT企業に狙いを定めました。お茶の機能的価値にはおいしさや健康性がありますが、現地で奮闘する中で、コミュニケーションの活性化や心を落ち着ける効果も重要だと思うようになりました。また、そこに伊藤園の強みがあることにも気づいたのです」。お茶の持つ価値を実感してもらう取り組みが、少しずつファンを広げていくことにつながっている。

福光屋は金沢で400年の歴史を誇る酒造会社。米と水のみで酒を造る「純米蔵」を掲げ、伝統の技術を継承する一方で、米の醗酵技術を生かした基礎化粧品や飲料を相次いで発売するなど、新規事業にも積極的だ。

同社の14代目で専務取締役の福光太一郎氏は、「伝統は革新の連続なり」という家訓を披露した。「400年の伝統を守っているという感覚はありません。酒の造り方も時代によって変わる。革新を繰り返す中で、それらがいずれ伝統と呼ばれるようになると考えています」。

福光屋には社員と企業理念を共有するような機会はほとんどないという。「商品に福光屋らしさが盛り込まれていることが大切。そこに理念が込められていると思います」(福光氏)。

あえて「非効率」に投資

BAKEは2013年に設立したお菓子のスタートアップ企業。「BAKE CHEESE TART(ベイクチーズタルト)」など8つのブランドごとに専門店を展開している。同社が重視するのが、原材料や製法など「おいしさへ」のこだわりとともに、洗練されたパッケージデザインや店舗内装によるブランド体験の提供にある。

それを実現しているのが、制作機能の内製化だ。「商品開発の段階からクリエイティブチームも参加します。私たちは『非効率への投資』という言い方をしますが、BAKEの事業展開には欠かせないと考えています」(BAKE事業部 部長の黄珊珊氏)。

フラクタの河野氏は、「ブランディングは、地道に続けていくことがポイントです。今回は企業の規模も業種も、また立場も異なるお三方ですが、それぞれ自社の『らしさ』を追求する姿勢が印象的でした」と述べた。