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パナソニックミュージアム 松下幸之助のコミュニケーションをひも解く企画展

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パナソニックが運営するパナソニックミュージアム(大阪府・門真市)内「松下幸之助歴史館」は、7月13日から11月23日の期間で、創業者松下幸之助の広告宣伝やプロモーション活動について紹介した企画展『松下幸之助 伝える情熱<3部作>』を開催する。

展示は3部構成となっており、入場は無料。幸之助が自分の考えを社会、顧客、そして従業員に伝えた方法やその「ことば」に込められた思いや理念を紹介する。

3部構成で松下幸之助のコミュニケーション戦略に迫る

第1部は「広告宣伝のことば~宣伝観とその実践~」と題し、幸之助が広告宣伝で用いてきた「ことば」に注目し、社会へのアプローチに対する考えに迫る。

第1部では社会へのコミュニケーションがテーマ。7月13日から8月24日まで開催。

松下幸之助の広告・宣伝に関する考えを実際に使用した広告などを用い、タペストリー形式で展示した。

第1部終了後8月26日から10月5日の期間で行われる、第2部のテーマは「幸之助が心を打ち込んだ『より良いくらし』~電化の幸を世に人に~」。家電が一般家庭に普及し始めた1950年代後半に幸之助が実践した「家庭電化の啓発」。既存のプロモーションにとらわれない、幸之助が打ち出した様々な流通の在り方を紹介する。実際にプロモーションで使用した素材なども展示し、家電や松下電器(現パナソニック)の歴史を振り返ることができる展示を目指す。

10月7日から11月23日で行われる第3部では、「給料袋が運んだ思い~従業員一人ひとりに伝えたこと~」がテーマ。幸之助が創業当時から意識していた社内への企業理念の周知を取り上げる。

紹介するのは、幸之助が当時の社員2万人に対し、送った98通の「給与リーフレット」。当時給料が現金手渡しで支給されていたことに目をつけ、給料袋内に今月社員に伝えたいメッセージを封入したものだ。季節のあいさつとともに、仕事の意義や処世の道、また従業員一人ひとりが有意義な日々を過ごすための心の持ちようなどを語っている。今回はそこに書かれた「ことば」「文字」にフォーカスをあてて紹介する。

「松下幸之助ほど社員に自分の考え方を浸透させていこうとした人は、当時いないのではないかと思います。創業時から自分の考え方を社内誌、新聞などあらゆる手段を使って訴えていきました。その流れの中でパナソニックの社内広報は確実に充実してきました」。第3部の企画を立案したブランドコミュニケーション本部 歴史文化コミュニケーション室でパナソニックミュージアムの恵崎政裕氏はこう語る。

ブランドコミュニケーション本部 歴史文化コミュニケーション室でパナソニックミュージアムを担当する恵崎政裕氏。

恵崎氏は本企画発案に至った経緯を、「私自身、コミュニケーションに携わる部署にいる以上、そのコミュニケーションに命を懸けた幸之助のコミュニケーションの真髄に迫り、紹介しなければならないと思いました。コーポレート、流通、社内という風にアプローチの対象が異なる3つのコミュニケーション戦略を1つの企画にまとめることで、より深い理解が得られると思います」と説明した。

来場者数は46万人を突破 地域にも開かれたミュージアム

パナソニックミュージアムは、昨年3月に、創業100周年を記念してつくられたもので、創業者・松下幸之助の経営観や人生観に触れることができる「松下幸之助歴史館」と、歴代の製品や広告を通じて同社のものづくりの歴史がわかる「ものづくりイズム館」、それらに隣接した「さくら広場」からなる複合施設だ。それ以前も、社内研修向け施設として、幸之助の生涯や考えを展示していたが、100周年を機に地域に開かれたものとなっている。

開業から1年半ほどが経過し、来場者数は累計で46万人。恵崎氏は本ミュージアムについて、「今でも新人研修で使われるなど社員が会社の歴史、理念に触れる場になっているのはもちろん、ビジネスパートナーの方々へ理解をうながす場にもなっている。また、地域に開かれたことにより、一般のお客様に「パナソニック」という会社についてや、「松下幸之助」という人物を知ってもらい、より商品や会社のファンになってもらう、きっかけづくりの場にもなりました」と説明した。

次の100年に向けて、幸之助が掲げる理念と社員の理解

「社員の皆さんには、この機会にぜひ見に来てもらいたい」。そう語るのは恵崎氏と同じブランドコミュニケーション本部 歴史文化コミュニケーション室で共に企画を担当した杉野勇起氏だ。

ブランドコミュニケーション本部 歴史文化コミュニケーション室でパナソニックミュージアム主務の杉野勇起氏。

杉野氏は、「幸之助の言葉は、社員なら必ず見聞きしたことがある。しかし、そこから日々の仕事に落とし込んで、自分ごと化していくことは難しい。社外の方にパナソニックや松下幸之助についてもっと興味を持ってもらい、ファンになってもらうことも大切ですが、社員の皆さんにそのきっかけを与えられるような企画にできればと思う」と意気込みを語った。