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コーヒーを通じて、ほんのすこし距離を縮める父と娘を描く UCC 上島珈琲×副島 凜(AOI Pro.)

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1994年に販売を開始し、昨年で発売25年を迎えた、香料無添加・レギュラーコーヒー100%のブラック無糖缶コーヒー「UCC BLACK 無糖」。2月から期間限定で、メッセージを書いて自分の気持ちを贈れるように、商品ボトルに真っ白なシールを貼付。バレンタインや卒業、新生活といった時期だからこそ、UCC BLACK 無糖が、大切な人に「混じりっ気のない=無添加な気持ち」を伝えるコミュニケーションツールになれば、という思いから生まれた「UCC BLACK 無糖 メッセージ缶」。この商品を軸に、AOI Pro. 副島凜さんがコーヒーから生まれるコミュニケーションを描いた。

 

「それでも、」篇

♪~「かたちのないもの」odol

S:最初はただ楽しかった

父:うまいな、これ、お父さん?

S:なのに

予備校講師:これじゃ伝わらないかな。

S:何をかけばいいのか

父:お、やっぱ上手いなあ

S:どんどんわからなくなって

教師:芸大ねえ…

父:僕は、娘を信じてます

S:本当は

父:あのさ…行ってこい

S:たくさんあったのに

父:真っ白なものにかくのって難しいんだな
お父さん何かけばいいか分かんなかったよ…
なのに、こんなにかいたんだな すごいよ

娘:それでもやっぱりかくよ

S:きっと、つたわる。
気持ちを、贈ろう。
UCC BLACK無糖 限定缶

NA:UCC BLACK無糖

CI+S:UCC Good Coffee Smile
#この気持ちは無添加です

制作されたムービーは、UCC 上島珈琲の特設サイトでも公開中です。

絵コンテ

言葉にできない思いの微妙なニュアンスを表現する

芸術大学を目指して、絵を描く娘と応援する父親。娘は、自分の伝えたい何かを表現しようと一生懸命にもがくが、思い通りに描けない。それに対して、娘を応援しながらも伝え方が下手で、どうしても娘をイライラさせてしまう父親。自分の思いを表現するのに不器用で、分かり合えない2人が、缶コーヒーを通じて心を通わせる物語を、AOI Pro. ディレクター 副島凜さんが描いた。

「“無添加な気持ち”をテーマに、缶コーヒーを通して、人と人が時間を共有するストーリーを企画しました。すれ違いがあっても根本で、離れがたく、思い合っているという無垢な愛情は、家族特有のものだと思います。それがUCC BLACK 無糖の掲げる『無添加』のイメージに近いと考え、関係性を“家族”に設定しました」と副島さん。

60 秒間集中して映像が見られる環境は、映画館ならでは。分かり合えないふたりが、同じ時間を共有することでほんのすこし心の距離を縮める。そんな人間関係の機微を描いても、伝わるのではと考えたという。

登場人物が、本気で怒っているのか、それとも、もどかしさを抱えているのか。シネアドだからこそ伝わる、微妙なニュアンスを含んだ、生々しさのある表現を目指した。

「ラストシーンで父が娘に渡す缶コーヒーに、メッセージは書かれていません。商品広告としては、書いたほうが良いのかもしれないけれど、父が悩んだ上でたどりついた何も書かないという答えもひとつの誠実さなのではないかと考えました。これまですれ違っていたふたりがすこしだけ通じ合う瞬間。缶コーヒーを受けとったときに娘の感情のピークがくるようにしています。ひたすら純粋に娘を思う父とは反対に、相反した思いを自分の内に抱えている娘という設定が短い時間で伝わるよう、娘はラストシーンまで言葉を発さず、テキストと表情の演技のみで演出しました」。

大切な人に会いたくなってほしい

物語を彩る穏やかなピアノとバンドサウンドの轟音が印象的な楽曲は、5人組バンドのodolに依頼し、映像に合わせてオリジナルで制作した楽曲「かたちのないもの」。

最初にイメージを伝えた後は、基本的にはodolのメンバーに任せ、プロットとVコンを参考に制作してもらったという。映像と同様に、答えが見つからずにもがく姿が描かれた歌詞は、どこまで言葉で伝えるかチューニングを加え、現在のものが完成した。

クライアントワークにおいて、企画から演出まですべてを担当したのは、今回が初めてだったという副島さん。プレッシャーもあったが、自分のやりたい企画を最後まで貫き通し、伝えたいものを描くために、どう動けばいいか考え、普段とは違った観点からの制作ができたという。

誰しも自分の思いを上手く表現できなかった苦い思い出があるだろう。そして、上手くできなかったことこそ心に残ることも多い。

「お父さんを見て苦い顔をする人もいれば、娘を見てもどかしい気持ちになる人もいると思います。『あのとき告白できなかった』とか、『素直にありがとうって言えなかった』とか、そういう経験や後悔が誰しもあるはず。そんな心のかさぶたをすこしだけ引っ掻くものになればいいなと思います。あの人にもう一度会いたい。映像を見た人の大切な人に会いたい気持ちを揺さぶれたらうれしいです」。

過去作品

「RIVERSIDE HEIGHTS」ADFEST 2019 NEW DIRECTOR LOTUS部門
FABULOUS FIVE

岩手日報デジタル版CM
脚本+監督
副島凜
PR
守谷拓真
アシスタントPR
高木翔史
プロダクション
AOI Pro.
PM
牛島菜摘
PA
長尾淳史、奥村晃史、足立槙之介、有馬里香、小島こころ
撮影
山田弘樹
撮影助手
岩出知也、三輪橋翔
照明
髙田ツグヒラ、尾形直人(チーフ)
編集(オフライン)
対馬天伸
カラリスト
足立悠介
音楽
odol「かたちのないもの」
作詞
ミゾべリョウ
作曲
森山公稀
ミキサー
吉川貴人
録音
大野哲也
ST
三森有紗
HM
Kanako
美術協力
川瀬梨緒
ロケーション協力
みうら映画舎
車両
COM
CAS
前田莉奈
出演
甲本雅裕、岡本ゆい、関屋碧衣

 

副島 凜(そえじま・りん)

1993年生まれ、静岡県出身、愛知県育ち。名古屋市立工芸高校デザイン科卒業、多摩美術大学 美術学部 グラフィックデザイン学科広告コース卒業。2017年、AOI Pro. 入社。