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ホンダ、異色のプロマネが語る。プロジェクト進行に必要な計画3段階、野心のサイズ、プリンシプルとは?【前編】

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新規事業開発、新しいマーケティング手法や技術の導入など、日々、色々な企業が様々なプロジェクトに取り組んでいます。ところが、そうしたプロジェクトを「どのように進めていけばよいのか?」という答えはあまりありません。本連載では、既存の手法やフレームワークには当てはまらない数々のプロジェクトを、「プ譜」というフレームワークを用いて紹介してきました。今回はこれまでと趣を変え、プロジェクトマネージャーという人物そのものに焦点をあてて、参考になるプロジェクトの進め方を紹介・解説します。
予定通り進まないプロジェクトの進め方』、『見通し不安なプロジェクトの切り拓き方』(宣伝会議)の著者前田考歩氏が、本田技研工業株式会社の原 寛和氏にお話をうかがいました。今回はその前編です。

幅広いプロジェクトの中での「戦略屋」としての活動

前田:まずは、原さんがこれまで取り組まれてきたお仕事についてうかがわせてください。

原:キャリアの前半は商品企画やブランディング、デジタルマーケティング、店舗開発などのマーケティング領域が中心でしたが、現在は事業改革やサプライチェーン、間接材調達改革など、領域を横断するようなプロジェクトを担当しています。また最近の面白いところでは、画像認識AIを使った物流情報の改善プロジェクトも進めています。

私自身はいわゆる戦略屋だと思っていますので、テーマや肩書が変わっても、課題設定と実行のディレクション、それらにまつわる様々な意思決定が共通の仕事だと認識しています。

前田:AIを使った物流プロジェクトというと、どういった目的・内容になるのでしょうか?

原:お客様にクルマをご購入いただくと、工場からクルマを出荷して販売店にお届けしますが、この物流プロセスでは多くの方々に関わっていただいています。ですから「いつクルマが工場を出たのか?」「いつ船に乗ったのか?」「いつ届く予定なのか?」といった情報を関係者にスムーズに伝えることが重要です。

というのも、物流においては渋滞や天候不順などで計画通りに運べないことがどうしても発生するからです。この場合、計画が変わったという情報が関係者に早く正しく伝えられれば、例えば納車前の整備をする作業計画が事前に変更できますよね。逆にそれが出来ないと、後工程での“手待ち”や急な作業変更などのムダが発生してしまいます。今回のプロジェクトは、変更した情報の更新や共有に先進技術をうまいこと使えないかという実証研究であり、実用化を見据えた有効性評価を目的にしています。

前田:現代においても輸送は難しいということですね。

原:こうした業務はどうしても人手に頼りがちですし、少しでも良い情報を掴もうと現場の皆さんも日々苦労しています。しかし、物流業界では将来的なトラックドライバーの減少という問題が顕在化しつつありますし、働き方改革の流れも踏まえて、人手に頼ったオペレーションを見なおしていかなくてはなりません。そこで画像認識AIというテクノロジーを使って、管理業務の省人化や情報の入力レス化による効率化の可能性を検証しています。

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