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有園雄一氏×LINE 菅野圭介氏に聞く “データマーケティングパートナー”としてのLINEの可能性

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企業によるユーザーデータの利活用は、世界的に個人の意向を尊重する形で規制される流れにある。国内においても、これまで広告配信に活用されてきたCookieデータの利活用が制限される方向に動いている。マーケティングにおいては、デジタル広告のターゲティングやトラッキングの精度が低下する恐れもあり、すでにユーザーの理解を得た上で新しいコミュニケーション手法の模索が始まっている。これからの時代、企業はどのようにデータを活用していけばよいのか。
 
日本のデジタル広告の黎明期から携わり、また海外の動向にも精通するzonari 社長の有園雄一氏と、LINEが法人向けに展開している運用型広告「LINE広告」や「LINE広告ネットワーク」などを統括しているLINEの菅野圭介氏による対談から、その方向性を導き出す。

左)zonari代表執行役社長/電通総研パートナー・プロデューサー/アタラフェロー/ビービット マーケティング責任者 有園雄一氏
右)LINE マーケティングソリューションカンパニー カンパニーエグゼクティブ 菅野圭介氏

世界で進む、個人データ保護の動き

菅野:近年、世界的にデータ活用に関する議論が注目されています。有園さんは今の状況をどう見ていますか?

有園:欧米の論文では、近年「Data Sovereignty(データ主権)」や「Digital Sovereignty(デジタル主権)」というワードが頻繁に見られるようになりました。巨大プラットフォーマーが、国境を超えて個人データを取得してきたことについて、「データの『主権』をめぐる問題」が起きています。

欧州で2018年に施行された「GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)」という言葉を知らない消費者でも、「どうやら知らないところで、我々は個人データを取得されていたらしい」と気づき始めているのが現状です。

前述の「GDPR」、そして2020年1月に新たに米国カリフォルニア州で制定された「カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)」、そしてGoogle社によるCookie規制などは、データ主権を個人に帰属させる動きの一環と言えるでしょう。この流れにはふたつの背景があり、ひとつが個人の権利を尊重するというもの。もうひとつが、GAFAを始めとする巨大プラットフォーマーによるデータ寡占に対する危機感があると思います。

zonari代表執行役社長/電通総研パートナー・プロデューサー/アタラフェロー/ビービット マーケティング責任者 有園雄一氏

菅野:「個人データやプライバシーは個々のユーザーがコントロールできるようにすべきである」という世界的な潮流のなか、マーケティングの文脈でも広告や企業のコミュニケーションはどう変化するのか、企業や広告プラットフォームはどう向き合っていくのかが問われているタイミングです。

LINEは多くのユーザーを抱えているサービスであるということもあり、昨今のデータ環境の変化におけるデータの活用先候補としてご期待いただくことが非常に増えてきています。企業は、本質的にはデータをどんどん活用してビジネスを効率化したい。今のトレンドワードでいう”DX(デジタルトランスフォーメーション)”を推進したいということですね。

一方、LINEはメッセンジャーアプリとして相当厳格にユーザープライバシーと向き合ってきているため、ユーザー側の考え方や理解度に“グラデーション”が存在することも分かっています。また、国ごとにプライバシー保護の考え方や法令も少しずつ異なります。ユーザー、企業、国、といったさまざまなレイヤーが存在するなかで、データ利活用に対して適切な理解を得てすり合わせていけるか、は今後も重要なテーマです。

LINE マーケティングソリューションカンパニー カンパニーエグゼクティブ 菅野圭介氏

有園:国単位だけでなく、人によってはテーマごとに意識のグラデーションがある方もいますよね。プラットフォーマーは意識のグラデーションがあることを前提に、全体最適のための設計が求められているのだと思います。

世界的に起きている「個人データの主権は、個人に」という流れは不可逆です。一方で、国や経済圏によっては、いまだに国や一部の企業によるデータ寡占が続いている状態もあり、「いちいち個人にデータ活用の許諾を取っていては、競争力を失うのではないか」といった懸念の声も上がっています。「データの主権を個人に」「経済成長のためのデータ活用」「国家機関によるデータ管理」……と、実際の現場のオペレーションにおいてはさまざまな論点が混在している状況だと思います。

ユーザーへのリーチ力とデータ活用の両面で「LINE」に期待

菅野:広告主である企業側の視点で見ると、精度の高いターゲティングにより効率的なマーケティングを行い、売上を高めたいという基本的なニーズはこれからも変わりません。一方で、例えばCookie規制が強まると、3rd Partyデータの活用は難しくなってくるでしょう。DMPやCDPでのデータ戦略にも影響が出てきます。

こうした背景もあり、適切な許諾を得られている1st Partyデータの活用先として8,400万(2020年6月末時点)のユーザーを抱えるLINE広告のカバレッジに強く期待していただいていると認識しています。

有園:現在のLINE広告は、クライアント企業から見てどのような点が支持されているのですか?

菅野:大きくは3点あります。第一に日本の人口の66%以上をカバーしたコミュニケーションアプリを起点としているため、他のプラットフォームではリーチできない層にまで届き、新規の顧客が獲得しやすい点。

2点目が、国内最大規模のユーザーカバレッジを強みとして機械学習が急速に進化し、自動化による広告パフォーマンスを実感いただけている点。

そして3点目は、LINE広告以外のLINEが提供する法人向けサービスとも連携が可能な点です。具体的には、LINE公式アカウントを通じて企業・ブランドとユーザーが長期的なつながりを構築し、LTVを深めることができます。たとえば、自社サービスにLINEログインを採用していただくことで企業が持つデータと結合をシームレスに行い、CRM的な活用にも期待できます。

有園:なるほど。確かに外から見ていて、8,400万のユーザーを抱えるLINEさんは、その幅広いユーザー層へのリーチ力の面で最強の存在になりうると感じていました。それは、日本においてこの50年にわたり、テレビが担ってきたポジションと言えます。

圧倒的なリーチ力だけでなく、粒度の細かいターゲティングも可能なLINE広告は、短期的にはコンバージョンの実現、長期的にはLTVを高めるマーケティングツールとしても可能性を秘めています。さらに、LINE公式アカウントを通じてリレーションシップ・マネジメントもできるということは、1st Partyデータを自社で管理できているという点でも、企業の広告戦略にとって今後重要な存在を担っていくと期待しています。

最近、2034年を目標に据えて英国放送協会(BBC)が放送用電波の返上を検討しているというニュース、海外ファンドがテレビ朝日ホールディングスに対して地上波放送の電波返上検討を含む経営改善の提言をしたというニュースが話題になりました。つまり、放送で一方向的に情報を提供していくビジネスモデルは投資家から見ると頭打ちになっていて、新たなビジネスモデルを模索していくべきだと提言されているということです。

テレビ局は地上波でブロードリーチが実現できるものの、視聴者の個人データは取得できていません。たとえば、放送局とLINEさんが協業することで、視聴者のIDデータを把握した上での番組提供が可能になるかもしれません。LINEというプラットフォームが後押しすることによって、適切なターゲティング広告、LTVを高める施策、さらにはLINE Payで決済までと、放送局が新たなビジネスモデルに着手することも可能になるでしょう。ただし、そのためにはユーザーの許諾を取得しなければなりませんが。

菅野:「データの主権を個人の手に」という潮流、その中での個々のユーザーのグラデーションへの配慮を前提に、さまざまな業界の企業とLINEのデータが連携することによって、ユーザーにとっても、企業のビジネスにとっても、メリットを生むソリューションをLINEが担っていけたら、と思います。LINEの広告事業としてもLINEならではのデータアセットを活用した統合レポーティングやパートナーシップをさらに強化していく予定です。

大きくデータ利活用の環境が変わるなかで、マーケティングパートナーとしてのLINEにぜひご期待ください。

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