本気で生きてきた先達も認めるプレイフルのOS — 「プレイフル・シンキング 決定版」によせて(日下菜穂子)

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『宣伝会議のこの本、どんな本?』では、弊社が刊行した書籍の、内容と性格を感じていただけるよう、「はじめに」と「あとがき」、そして、本のテーマを掘り下げるような解説を掲載していきます。言うなれば、本の中身の見通しと、その本の位置づけをわかりやすくするための試みです。

上田信行『プレイフル・シンキング 決定版 働く人と場を楽しくする思考法』宣伝会議
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在外研究でボストンのMIT(マサチューセッツ工科大学)におられた上田信行先生に、初めてお会いできることになり、「僕の本を持ってきて」と言われて、「プレイフル・シンキング」の初版本をスーツケースの片側いっぱいに詰め込みました。機内でその1冊を読んで、推敲されたキーワードの数々に、心の奥底のワクワクドキドキの源泉が揺さぶられたのを覚えています。そして、そこが私のささやかな研究生活の転換点となりました。

初版から10年を経たこの決定版では、その間の上田先生による学習環境デザインや建築家の小堀哲夫氏との協同などの蓄積された実践が盛り込まれ、思考法という抽象的な概念がより立体的に語られています。心理学の大きな理論をベースに、楽しく働き学ぶ「How」を導く本書の視点が、私たちに潜在するプレイフルネスに気づかせ、前に進む意欲を高めてくれる、まさに体験を通した学びが本書の中にあります。

高齢者心理学の立場から私は、プレイフルのエンジンが多くの高齢者を若者に変え、学生たちを自由にしたのを見てきました。ともすれば社会の中で受け身の立場におかれがちな人たちが、自ら変化を起こす人になるために、本質に近づく「対話」の重要性が本書にも強調されています。ワークショップに参加した元経営者の高齢者が、「ここには魂がある」と話されました。「空間を自分たちの場所に変えていく」ことを本書では「魂を入れる」と表現されています。本気で生きてきた先達も認めるプレイフルのOS。人生そのものを豊かにする魔法も、プレイフル・シンキングで説明できそうです。

日下菜穂子(くさか・なほこ)
同志社女子大学 現代社会学教授
関西学院大学大学院修了(博士・教育心理学)/公認心理師・臨床心理士

2002年から同志社女子大学に勤務。高齢者心理学を専門に、ポジティブ心理学の立場から生きがい創造を支える心理プログラムの開発や、高齢者が講師になるワンダフル大学院などのコミュニティ形成をワンダフル・エイジングプロジェクトとして行なう。自治体や企業との連携で、高齢者が社会参加する場の拡張に邁進中。

 

目次

序章 プレイフル・エンジンをスパークさせよう
あなたはCan I タイプ?それともHow can I タイプ?
ネガティブに考えてしまう人の心理
誰もがプレイフルになれる思考法
『セサミストリート』の制作現場で感じたプレイフルな空気
「働くこと」を「学び」の視点で見てみると?
これからの時代の求められるプロフェッショナルとは?
ドキドキをワクワクに変える
つらいだけの人生はつまらない
楽しさにこそ仕事の本質がある
状況に応じてプレイフル・エンジンをスパークさせよう
 

第1章 見方を変えれば気持ちも変わる
プレイフルを阻害する心のあり方
フィックストマインドセットvs.グロウスマインドセット
 ①固定的知能観vs.成長的知能観
 ②よく見せたいvs.よくなりたい
 ③失敗は過ちvs.失敗は自己投資
 ④自己防衛vs.課題挑戦
僕らはみんなプレイフルな存在だった
コチコチな心から自由になる—メタ認知
仕事をおもしろくする—課題設定
可能性は「状況」のなかにある—How can we do it?
素材を使いこなす—ブリコラージュ仕事術
プレイフルに働くために大切な4つのP
やる気がないのは本人の問題なのか
認知的ハイヒールを履いて学びを深化させよう
心のゲージを自由に動かそう
 

第2章 目標をデザインしよう
認知心理学的に見た「目標」の役割
成績目標と学習目標をバランスよくもつ
長期目標と短期目標をすりあわせる
メタレベルから省察する
体験を経験に熟成させる
省察を超えて即興の世界へ
目標はダイナミックに変化する
 

第3章 足踏みしないでチャレンジしてみよう
一歩を踏み出す勇気をもとう
足場をかける
ときには他者評価もバネにしよう
仕事のやり方はひとつではない
失敗は恥ではない
制約を超える楽しさがある
 

第4章 形にしないとはじまらない
アウトプットは省察のもうひとつのカタチ
ビジネスで使えるプレイフル・アウトプット
 ①ポストイット
 ②ロッケンロール(大きなロール紙)
 ③レゴブロック
プロトタイプをつくる
プレイフル・プレゼンテーション
 

第5章 もっと他力を頼りなさい
知能や能力は分散して存在する
憧れの最近接領域
クラッシュを恐れない
自分の枠組みを広げてみる
境界線がどこまで広がるか試してみる
プレイフルに対話する
わかりあえない壁に立ち向かうとき
「何をやるか」より「誰とやるか」
もっとも新鮮な素材は現場にある
誰もがデザイナーになって、もの作りに興奮する
わたしたちの時代、プレイフル・カンパニーの時代
 
第6章 人をプレイフルにする環境の力
ハンズオン!の環境が学びを楽しくする
プレイフルな働く場をデザインする
〈空間編(K)〉
 ①空間と活動をリンクさせる
〈道具編(D)〉
 ②キューブで意見交換
 ③パスタでプレゼンテーション
 ④風船で自己紹介
 ⑤ランチョンマットでおもてなし
 ⑥市販の板チョコが特別なプレゼントに変身
 ⑦ドレスコードで参加意識を高める
〈活動編(K)〉
 ⑧TKFモデル(つくって、かたって、ふりかえる)
 ⑨イタリアンミールモデル
 ⑩ドキュメンテーション(記録する)
 ⑪100の線引き
 ⑫レゴの高積み
 ⑬みんなで似顔絵
〈人編(H)〉
⑭多層的なコミュニティ
日常にワークショップを取り込んでみよう
[コラム]ケーススタディ 企業のプロジェクトとにワークショップを取り入れてみた
 

終章 プレイフルに働く場としてのオフィスの可能性
オフィスを変えて、働き方を変える
「自分たちの場所」にする
プレイフルOSを入れよう
 

おわりに
資料・僕の学びとメディアストーリー

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