企業が「見せたいもの」ではなくオーディエンスが「見たくなるもの」とは何か — 「ブランデッドエンターテイメント」によせて(小助川雅人)

『宣伝会議のこの本、どんな本?』では、弊社が刊行した書籍の、内容と性格を感じていただけるよう、「はじめに」と「あとがき」、そして、本のテーマを掘り下げるような解説を掲載していきます。言うなれば、本の中身の見通しと、その本の位置づけをわかりやすくするための試みです。

「ファンの望みは日常を忘れる体験だ。彼らを未知の領域に連れて行こう」。ツアーのリハーサルを記録したドキュメンタリー映画『This is it』の中で、マイケル・ジャクソンは制作スタッフにそう語りかける。彼のビジョンは明快で、しかも真理に基づいている。人はいままで見たことのないものを見たいのだ。

ブランデッドエンターテイメント お金を払ってでも見たい広告
カンヌライオンズ審査員 著、鈴木智也(監修・翻訳)、PJ・ペレイラ(編集)

しかし広告に携わる私たちは、ついこの真理を忘れてしまいがちである。いまや広告は作れば見てくれるものではない。広告はその他のエンターテイメントと「時間」を奪い合わなければならない。

ではどうしたら、見てもらえる広告を作れるのだろうか。この問いに対する答えはシンプルだ。企業が「見せたいもの」ではなくオーディエンスが「見たくなるもの」を作るしかない。

資生堂のWEBムービー『high school girl?』を作った時、私たちはオーディエンスが「見たくなるもの」ってなんだろう?ということだけを考えていた。

本書のテーマである「ブランデッドエンターテインメント」は、広告を「楽しく」見てもらうための新しいアプローチである。それは広告の「冒険」といってもいい。広告にも「未知の領域」は、まだまだ残されている。

小助川雅人(こすけがわ・まさと)氏

3年間の営業経験ののち転部試験を経て、宣伝部(現クリエイティブ本部)に移動。CMプランナーからクリエイティブディレクターに。ブランド広告からコーポレートコミュニケーション、マスからデジタルまで幅広く活動。2016年カンヌライオンズWゴールドはじめ国際アワード多数獲得。2018年カンヌライオンズフィルムクラフト審査員。『high school girl?』『The Party Bus』『My Crayon Project』など。

 
 

目次

PARTⅠ THE NEED(ブランデッドエンターテイメントの必要性)
1章 デジタルボーンキラー
(デジタル世代は広告を殺すのか)
ブランデッドエンターテイメントがブランドのためにできること
リカルド・ディアス、ガボール・ハラチ
 
2章 時間との戦いと集中力持続時間への誤解
マルセロ・パスコア
 
3章 ブランデッドエンターテイメントが生むニュース
モニカ・チュン
PART II THE ART OF BRANDEDENTERTAINMENT
 
4章 プロダクト・プレイスメントからアイデア・プレイスメントへ
ペレ・シェネール、ジェイソン・ゼノポラス
 
5章 なぜ「ストーリー:物語」は最も重要なのか?
鈴木智也
 
6章 緊張感を高める
ペレ・シェネール
 
7章 みんなドキュメンタリーを求めている
(あるがままに生きることを恐れるな)
ガボール・ハラチ
 
8章 怒りの力で社会を変える
ルチアナ・オリヴァレス
 
PART III OPPORTUNITIES AHEAD
9章 スポーツマーケティングにおける傑作コンテンツ
ミーシャ・シャー
 
10章 エンターテイメントの未来
ハリウッド、スポーツ、そしてゲーム(eSports)!
トアン・グエン
 
11章 アートと科学の出会い
マリッサ・ナンス
 
PART IV  THE BUSINESS
12章 ハリウッドとブランデッドエンターテイメント
(リドリー・スコット、トニー・スコットの挑戦)
ジュールズ・デイリー
 
13章 タレントとブランデッドエンターテイメントのおいしい関係
キャロル・ゴール
 
14章 世界に拡張するアイデア
グローバルなテレビフォーマットを生み出す方法
サマンサ・グリン
 
15章 広告の忍術/影での仕事術
誰にもマネできない戦略で攻める
ジェイソン・ゼノポラス
 
16章 マーケターのように考え、エンターテイナーのように振る舞い、ベンチャーのように行動せよ
~3つのカンヌライオンズグランプリ、制作の舞台裏~
PJ・ペレイラ

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