サステナビリティ広報など、時代に即した活動で企業価値を高める

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坂上 秀翁氏
ニチバン株式会社 
経営企画室 広報宣伝部

ニチバンは、1918年創業の102年目を迎える粘着テープの総合メーカー。絆創膏ケアリーヴ™、セロテープ®など、同社の強みである粘着技術を活かして家庭やビジネスシーン、医療現場等、人に寄り添う粘着テープ製品を幅広く国内外に提供している。同社の広報部門は、過去 単独部門の時期、その後 各事業部・管理部が広報を行う期間を経て、2013年に再度設立されたという。

坂上氏は、同社で国内営業を4年、アジアとヨーロッパといった海外市場向けの新規事業開発を11年経て、19年4月に社長直轄組織となった広報宣伝室に異動した。「弊社は3-4年周期で異動することが多く、また広報は未経験のため、まさかの辞令で予想はしていませんでした」という。

この異動の背景には「弊社は2018年に100周年を迎え、2030年に向けた新しい中長期ビジョン『NICHIBAN GROUP 2030 VISION』のもと、海外比率を高めていくことを掲げています。そのため海外対応経験と英語での対応力を、コーポレートブランディング、グローバル広報、社内広報、SNSを含めたデジタルPRなどの広報実務に活かすことが期待されていました」と話す。

異動後間もない19年6月に、同社の先輩広報担当者からの勧めで『第27期 広報担当者養成講座』と『SNS運用担当者養成講座』を受講した。坂上氏は、受講にあたって3つのことを心がけたという。

「1つは未経験でも広報PR機能強化の必要性を理解できたため、とにかく新しいことを好奇心と興味を持って仕事を楽しもうと思いました。2つめは自分は海外経験が長いため、どうしても国際ビジネス関連での人脈が多く、違った目線を取り入れるために、同じく講座を受講している他社の広報・経営企画・IR担当者の方と積極的に関わって、自社にプラスになることを貪欲に吸収したいと考えました。3つめは、会社として一貫した広報プロモーション戦略や発信力がまだまだ弱く、俯瞰的に社内を見渡して広報ができる機会を見つけ、どんどん巻き取り実践することで、社内での広報宣伝部のプレゼンスを高め、自社に良い影響を与えることを意識しました」という。

そんな坂上氏は、講義で学んだ企業事例の講義内容を活動のロールモデルにしているという。「講義は、理想論ではなくリアリティのある地に足のついた内容で、受講者の立場に根ざした内容でした。各メディア別のアプローチの仕方、PR会社の良し悪し、年間の広報戦略の立案と注意点、間接的な広報より直接広報が重要など、今も講義資料を読み直して、実務に反映させています」という。
 
また、心がけた他社の広報担当者とのネットワーキングについては、「毎講義の後、他の受講生を誘ってカジュアルな懇親会を開き、その日の講義の感想や、自分の実務に学んだことをどう活かすかを話し合いました」という。そして「講座の修了後も、お互いの会社を見学したり、意見交換会を行っています。その時広報担当者として悩んでいることを共有したり、自社の広報活動を紹介して、お互いの広報活動に対して改善のアイデアを話し合っています」と話す。

坂上氏は、広報を担当して1年7ヶ月の間に、TwitterInstagramでのニチバン公式アカウント設立、デジタルPRの強化、ホームページ(日本国内+グローバル)全面リニューアル、コーポレートブランディング、社内イントラネットとしてSNS Nichiban Times、Nichiban World News(英語)を同社グループ全体に展開、がん治療研究応援プロジェクト#deleteC大作戦参画など多数の攻めの広報活動を行った。

又、工場と連携してコロナ禍でのリモート工場見学会やオンライン製品発表会などニチバングループとしてできることをスピーディに推進。いずれにも共通したのは「弊社の広報活動全体を通して、これまでどちらかと言うと各部署から依頼を受けて広報対応を支援する案件が多かったものを、自社の成長につながることだと思ったら能動的に広報から働きかけ、ポジティブな進化や変革につながる原液を作り出せるように行動したこと」だという。

サステナビリティ広報では「持続可能な社会の実現としてSDGs対応が叫ばれる昨今、関連した自社の事業や活動について、これまでCSRと読んでいたものを再解釈しました。そして、2019年末に『サステナビリティ』に統一社内の共通言語を整理しました。きっかけは、ホームページのリニューアルで、表記統一で悩んだことでした。講座後の質疑応答で講師にトレンドを聞き、『大手企業では以前からサステナビリティに表現を一本化している。他社でも社会環境報告書、CSR報告書から、サステナビリティレポートへ変化しつつある』と教わり、上申して採用されました」という。

さらに「サステナビリティに対する活動が促進されるように、経営企画室と連携しながら、SDGsの17の概念が弊社事業とどうリンクしているのか棚卸し、ストーリーを明文化しました。実は事実を整理すると、例えば弊社商品のセロテープ®が、環境に優しく1948年発売当初からセロハン、粘着剤、巻心など原料の殆どを植物由来の天然素材で製造しており、プラスチック製の粘着テープと比較して焼却時のCO2発生量が7分の1程度である点で社会的課題である『プラスチックごみ問題』の解決に繋がるという強みがあります。

これまでもサステナビリティ広報の活動の一環として、「ニチバン巻心ECOプロジェクト」でのフィリピン・マングローブ植樹、小学校への出前授業を実施していました。しかし、よりいっそうメディアと生活者の方に、自社のサステナビリティ性を知っていただくために、発信するメッセージと発信先をアップデートしました。こうした過程で2020年3月に、一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会が主催する「ソーシャルプロダクツ・アワード2020」で大賞を受賞したことで、社内外で話題となり、メディア掲載や引き合いが増加しました」という。

メディア向けの広報では、「講義で学んだ『社会性を活かす』ということもあって、台風や九州豪雨などの災害の増加により、世の中で防災への関心が高まっていることを感じていました。自社が何か役に立てないかと考え、養生テープ対策などのノウハウを広報し、NHKの『あさイチ』では国内生産している粘着テープメーカーとして取材協力する機会をいただきました」という。又、在宅での工作機会が増えている需要からNHK『まちかど情報室』で片手で使えるテープカッター プッシュカットの露出に成功。民放番組、新聞、雑誌のオファーも大口案件が増え、WEBデジタル掲載件数は前年比130%に増加したという。

デジタルPRでは、「コーポレートサイトの全面リニューアルを行いました。より見やすくし親しみが持てるような情報設計とデザインを心がけました。また、初めてTwitterとInstagramのアカウントを開設し、より生活者の方との接点や共感を広げられるように試みています。これらの推進にあたっては、自分自身がデジタルに長けているわけではなく、弊社がデジタルシフトとは少し遠い企業に位置していることもあり、修了生の仲間にもざっくばらんに相談していました。」という。

社内広報では社内外の話題を発信する社内SNSコミュニティを日本語と英語で開設し、「ニチバングループ横断で各部門の取り組みの共有やコミュニケーションの活性化を図っています。また、社内報をデジタル化し、気軽に読みやすいものにアップデートをしています」という。

この他にも、「次世代広報の考え方と必要を理解してもらう為、社長、役員、取締役員向けの勉強会を実施しました。広報活動に対する費用と投資の考え方、これまで行ってきた宣伝活動と違いと連動のさせ方などを改めて共有しました。この勉強会の実施においては、既に商品としては、コモディティ化し、どこの企業でも大体の品質の製品が作れる今、生活者の方に一番最初にニチバンを想起してもらうための広報活動の重要性への理解を深めていきたいと考えました」という。

既に多くの実践をしている坂上氏。「これから1年の期間は『海外』『サステナビリティ』『次世代』をキーワードに世の中と丁寧に対話をしながら、企業ブランド価値を向上させ、信頼感や期待感を更に醸成し、会社の理念でもある『私たちは絆を大切にニチバングループにかかわるすべての人々の幸せを実現』し、世界中にニチバンファンを増やしていきたい」という。また、『企業経営において、循環型社会への対応がいっそう問われるようになる今、セロテープ®の「天然素材」「脱プラスチック」といったキーワードで、サステナビリティを備えたものづくり企業に発展していくことを、その広報で推進してきたい」と語った。

2020年のソーシャルプロダクトアワード大賞を受賞したセロテープ
広報の考え方を体系的に習得するため、坂上氏が受講した講座は……
「広報担当者養成講座」でした

本講座は、広報に求められる資質、社内情報が集まる仕組み、報道関係者への対応など広報が身につけておきたい基本を全10回でマスターできるカリキュラムとなっています。

 
<次回の開催日程(オンライン開講)>

■日程
第31期 2021年2月26日(金)開催

■受講定員
60名を予定

 
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お問い合わせ
株式会社宣伝会議 教育事業部
MAIL:info-educ@sendenkaigi.co.jp

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