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部員全員で策定した広報戦略をもとに、ファンが増え、グループの活性化につながる広報に邁進

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成田国際空港は、2004年に民営化し「国際拠点空港としての役割を果たし、グローバルな航空ネットワークの発展に貢献する、世界トップレベルの空港を目指す」ことを経営理念に、国際空港の総合サービスを提供している。2021年の東京オリンピック公式スポンサーとしても名を連ねている。

飯笹氏は、2000年に入社。運用本部で、航空会社との連絡調整や、地上の航空機を無線交信で誘導するランプコントロール業務などを担当。その後、07年にニューヨーク・ニュージャージー州港湾公社にインターン。08年の帰国以降、CS推進室、秘書室(社長ブログの原稿作成・発信も担当)、法務コンプライアンス部、経営計画部 戦略企画室、空港拡張に向けた地域との合意形成を担う地域共生部を経験。こうした多数の部門を横断したキャリアを経て、19年4月に広報部のマネージャーとなった。

成田国際空港株式会社
広報部 マネージャー
飯笹 龍一氏

そんな飯笹氏が『第27期 広報担当者養成講座』を受講したきっかけは、19年6月に「部下が宣伝会議のダイレクトメールを受信しているものを偶然目にしたこと」と話す。

「広報についての知識がなかったので、実績のある宣伝会議が提供する網羅的な講座を受講することで、効率的に力をつけて自社の広報業務に還元したかった。それまで、部内には他社の広報活動について学ぶという慣習がなかったものの、先進事例を入手することの必要性を上申し、受講させてもらいました」という。

「広報担当者として習得すべき充実した内容だったので、その後も他の部員が継続して受講することについて了承をもらいました」といい、以降、部員を『第28期 広報担当者養成講座』や『企業のための定期勉強会 広報コース』にも派遣している。

飯笹氏は、講義を通じて多くの刺激を受けたという。「初回の広報概論の講義では、『広報は会社と社会とを繋ぐ役割だ』という説明を伺い、あらためて広報担当者としての立ち位置の重要性を認識しました。これまで、PR対応は新聞や出版物など媒体ごとに担当者をアサインしていました。

しかし、多様なステークホルダーとより良い関係を構築するには、媒体ごとではなく、ステークホルダーごとに一貫したPR対応を行ったほうが良いと考え、担当者のアサインを見直しました。現在では、『お客様の旅行需要を伸ばしたい、空港周辺地域との共生共栄を実現したい、次世代に向けて空港で働くことの魅力を伝えたい、有識者に会社の戦略を伝えたい』など、PRしたいターゲットが同じであれば、同じ担当者がPRを行うことで、媒体を超えて伝えたいメッセージを統一しやすくなりました」と話す。

また、テレビ局の講師が担当するメディアリレーションの講義では、「『こういう企業や広報担当者がいる会社を取材したい』という本音を学べました。以降、テレビ取材のお話を頂いた時には、即レスはもちろん、通常は立ち入れないところが多い空港の魅力が伝わるようにご案内をすることを心がけることで、感謝されていると感じます」という。

さらに、企業事例の講義を通して、広報戦略を策定する重要性を学んだことで、部員全員で広報戦略「KOUHOU 2020」を策定し、実践し始めたという。「これまでも中期経営計画に基づいて、業務管理の観点でやることは明文化されていました。そのうえで、今回は業務の明文化だけではなく、部員全員が、自分たちで外部環境と内部環境を分析して、理想の広報像の実現にチャレンジをすることを決めました」と話す。

このきっかけは「ある時、広報部長から広報戦略を策定したいと提案を受けたのですが、講座の内容を毎週メモで広報部長や部員と共有していたことも影響していたのではないかと思っています。PR対応にはクリエイティブな発想が求められるので、部員たちには、自分でなくてはできない仕事、自分だからこそできる仕事を成し遂げてほしいという思いを伝えました。部員たち自身も、担当実務をより納得感を持って進めたいという思いがあり、全員がいっそう主体的に広報活動を行うようになれたと実感しています」という。

参考までに、どのような戦略となったのかを聞いたところ「成田空港のプレゼンスを向上させるためには、マイナスの印象をなくし、プラスの印象を高める必要がある。それを達成するため、20年に注力すべき4つのポイントを決定し、設定したゴールに対して、計測可能なKPIを設定して、活動するようになりました」という。

また、20年2月以降は、コロナウイルスをめぐる緊急事態宣言など、グループ一丸となって危機を乗り越えるためのグループ広報にいっそう力を入れているという。19年に行ったグループ報に関するアンケート結果で評判が良くなかった部分があり「発行物は読んでもらえないと全く意味がない、という考えを持った」と話す。

今は「お客様が大幅に減少していることで、モチベーションが低下していたり、将来に不安を抱えているグループスタッフが多くいると聞いています。広告・宣伝費は削減しても、グループの一体感を醸成するための投資は維持していきたいという思いで20年7月からグループ報を全面リニューアルしました」という。

具体的には、「文字中心からビジュアル中心にしたことで読みやすく親しみやすくしました。また、トップとグループ会社のスタッフを露出する機会を増やしました。トップメッセージは、それまでの一方通行のメッセージだけではなく、広報部員との対話形式によるメッセージも取り入れました。また、グループ会社で働く魅力的なスタッフや、他社の先進的な取組みなどを掲載するようにしました。社員の不安な気持ちに寄り添い払拭しながら、自社が他社と比べて弱いこと、遅れていると感じていることも、程よく記事化して、この期間を成長のチャンスとできるよう、関係部署に刺激を得てもらいたいと考えました」と話す。

リニューアル後まもなく、『これまでは文字中心で興味がひかれなかったけど、内容が充実してデザインもポップになって発行が楽しみになった』という声も届いているという。

そして、もう1つ行ったことが、SNS運用の内製化だと話す。「デジタルPRの講義内容を参考に、これまで営業部門で運用していたInstagram、Facebookを広報部で引き継ぎ、Youtubeアカウントも始めました。テナントの紹介に偏りがちだった投稿を、空港に関わる魅力を幅広く紹介する投稿に変えたいと考えました。

フォロワーの方を分析すると、航空ファンの方が多く、普段見ることのできない場所や珍しい航空機を紹介する投稿が好評です。コロナ渦の今、旅行から離れている人も多くいる中で、旅の魅力を発信し、ゆくゆくはまた旅行に行っていただきたい」という。

「SNSの運用にあたって、広報部員が動画も含め、企画・撮影・編集するようになりました。少しずつではありますが、エンゲージメントのスコアが向上しており、コロナというピンチをチャンスに変えられていると感じています」と話す。

未経験から広報を始めて1年8ヶ月の飯笹氏。今後の抱負について「成田空港の魅力を効果的に発信して、成田空港ファンを増やしていきたいです。そして、そのためのPR戦略を考え実践していきます」という。また「20年11月から社内にマーケティング統括室が新設されました。広報部とマーケティング統括室とで棲み分け協力しながら、よりいっそう空港の魅力を発信していきたいです」。そして「社内報のアワードに応募して、受賞することができたらその事実もグループの活性化に生かしていきたいです」と明るく語ってくれた。

広報戦略を全員で考えて策定した部員たち
広報の考え方を体系的に習得するため、飯笹氏が受講した講座は……
「広報担当者養成講座」でした

広報業務の重要性が高まる一方で、業務の基本、また広報がカバーする分野を実務に活かせるレベルまでを学ぶ機会は少ないものです。

本講座は、広報に求められる資質、社内情報が集まる仕組み、報道関係者への対応など広報が身につけておきたい基本を全10回でマスターできるカリキュラムとなっています。

 
<次回の開催日程(オンライン開講)>

■日程
第31期 2021年2月26日(金)開催

■受講定員
60名を予定

 
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お問い合わせ
株式会社宣伝会議 教育事業部
MAIL:info-educ@sendenkaigi.co.jp