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尾崎世界観「“エロ”を本気でやろうと思った」クリープハイプの分岐点となった楽曲とは?

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※本記事は株式会社マスメディアンの『advanced by massmedian』に掲載された記事を表示しています。

ファッションデザイナー、起業家、インフルエンサーなどマルチに活躍するハヤカワ五味さんがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「マスメディアン 妄想の泉」。この番組では、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていきます。11月28日(土)の放送は、11月24日(火)に開催したオンラインイベント「『妄想の泉』YouTube LIVE配信 第2弾」でのトークの模様をお届けしました。

尾崎世界観とカツセマサヒコの接点

今回ゲストに迎えたのは、4人組バンド・クリープハイプの尾崎世界観さんとライターで小説家のカツセマサヒコさん。この日が初対面という2人ですが、今年6月に発刊したカツセさんのデビュー小説「明け方の若者たち」(幻冬舎)の帯の推薦文を尾崎さんが担当した、という接点があります。

かねてからクリープハイプの楽曲を聴いたり、尾崎さんの著書を読んだりするほどのファンだというカツセさんは「ようやくお会いできた!」と恐縮しきり。一方、尾崎さんは「まだ帯だけの関係です」と笑いを誘いつつ、「カツセさんの作品にクリープハイプ(の名)が出てこないんですよ(笑)」との思いがけない指摘に、「本当に好きなものって書けない」と照れ笑いを浮かるカツセさん。

とはいえカツセさんによると、露骨にクリープハイプの名は記していないものの、「作中に主人公と彼女がラブホテルに行くシーンがあるんです。その部屋番号は、クリープハイプの『ラブホテル』という曲で、最初に出てくる部屋番号にしていて、そこに僕は“気づいて、尾崎さん!”って思いを込めていたんですよ(笑)」と告白。これに尾崎さんは「それを嗅ぎ取れなかったこっちのミスでしたね。実名を欲しがっちゃいました(苦笑)」と釈明する一幕もありながら、和やかなムードでオンラインイベントがスタートします。

「7割くらいはメロディーの力」(尾崎)

カツセさんのことを世間の人たちが知るきっかけの1つとなったのはTwitterの「つぶやき」。140文字の制限があるツイートは、「強い言葉を用いたり、主語を敢えて大きくしたり、数字を伸ばすための方法はいろいろとある」と言います。かたや小説は、まったくの別物で「何倍もの文字数の世界なので、“書き切るためにはどうしよう”ということから考えなくてはならなかった」と振り返ります。

カツセさんの話を聞いて、尾崎さんは楽曲制作を例に上げ「Twitterが140文字と制限があるのと同じで、メロディー(の尺を歌詞が)超えちゃうといけないから“それだけでいい”という安心感はある。だから、メロディーを書いてから言葉(歌詞)を書いていく。いつも絶対に曲からつくっています。クリープハイプって、けっこう歌詞で注目されることが多いですけど、7割くらいはメロディーの力だと思いますね」と話します。

そんな尾崎さんが歌詞を書く上で意識をしていることは、誰も使っていない“売れ残ったテーマ”を選ぶこと。ライブハウスで活動していた頃、“このままでは多分売れない”と切羽詰まっていた状況のとき、

「(誰もやっていなかった)“エロ(の世界観)”を本気でやろうと思った。“この切り口で真面目にやっている人はいないぞ”と思ってつくったのが、『イノチミジカシコイセヨオトメ』という曲。あれで変わりましたね。自分でもかなり気持ちが入ったというか、失礼のないように登場人物にちゃんと本気で向き合って、切実な気持ちで曲をつくろうと思った」と語ります。

「自分の予想しない方向へいくほうがいい」(カツセ)

中高生時代からクリープハイプの曲を聴いていたというハヤカワさん。自身が大好きな映画「百円の恋」の主題歌「百八円の恋」をはじめ、「尾崎さんの歌詞のワードセンスにいつも感銘を受けている」と話します。

自身の視点について、尾崎さんは「小さい頃から、物事の真ん中にいなかった。輪のなかにいるというよりは、外から眺めているような子どもだったから、物事をずっと俯瞰で見ていますね。自分のことも俯瞰で見ているし、その視点をすごく信頼している」。楽曲「百八円の恋」についても、「100円を俯瞰で見た場合、消費税ってすごく邪魔なものというか、出鼻をくじかれるというか。(八円に)目がいくのは、そういう性格があるのかもしれないですね」と語ります。

また、歌詞については「普段から言葉をストックするタイプではない」という尾崎さん。読んだ小説の登場人物や設定などで気になったことは、たまにメモをするそうですが、「メモをしても絶対に使わないので(笑)、結局メモをしなくなりました」と明かします。一方、カツセさんは真逆のタイプだそうで、「普段、生活をするなかで“これとこれって、言葉の違いで使えるかも”と、(思ったことを)どんどんメモをしています。実際に(作品で)使うこともある」と話します。

現在、取りかかっている作品についても「大体頭のなかで浮かんでいるものとメモしていたものが突然使えるようになって違う世界になる。その足し算を楽しんでいるというか。自分の予想しない方向へいくほうがうれしいので、予定調和にならないよう、それを崩すためにもそうしています」と自身の創作スタイルを語ります。

異なる2人の着眼点にハヤカワさんは、「いろいろなやり方や手段がある。自分も普段は会社の経営をしているので、言葉の伝え方1つにも(人によって)解釈に幅や余白がある。だから、人に伝えるときの感覚なども含めて“言葉”ってすごく重要だなと思う」と感じ入った様子。

また、「普段から、いいものに出会ったときにメモをしておく(習慣がある)と、後で“こんなことがあったな”って感動することができるし、逆にメモらないからこそ、ふとしたときに言葉を思い出したりすることがあるかもしれない。そんなふうに、新しい言葉との出会いを楽しむきっかけになればいいのかなと思いました」と感想を述べていました。

【この記事の放送回をpodcastで聴く】


<番組概要>
番組名:マスメディアン 妄想の泉
放送日時:毎週土曜 24:30~25:00
パーソナリティ:ハヤカワ五味
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/mousou/
番組Twitter:@mousou_tfm


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