【トップ対談】電通九州×九州博報堂 2021年の広告コミュニケーションはどう変わる?

情報のグローバル化や地元の応援消費など「エリア」という概念を考えさせられた2020年。11月27日に福岡市で開催した「宣伝会議リージョナルサミット2020 福岡」では、電通九州と九州博報堂のトップが、コロナ禍の九州エリアにおけるクリエイティブの重要性を語った。

(左から)電通九州 代表取締役 社長執行役員の鈴木亨氏、九州博報堂 代表取締役社長の江﨑信友氏。

インバウンド重視から国内需要重視への転換

—九州という地域の特性をどのように捉えていますか。

鈴木:どの県の方も故郷に対する深い愛情とプライドを持たれている方が多いですね。また、心が開かれていて、何事もシェアすることに積極的です。博多の辛子明太子が一大産業になったのも、通販メーカーが多いのも、アイデンティティのしっかりしたみなさんが、そのノウハウを閉じることなくシェアしてきたからだと思います。こうした気風が全国へ広がれば日本はもっと元気になるのではないかと感じています。

江﨑信友(えざき・のぶとも)
福岡県みやま市瀬高町に造り酒屋の二男として生まれる。中学・高校を長崎で過ごし、早稲田大学を卒業後、1989年に博報堂に入社。人事畑が長く2014年から人事局長、2020年4月から現職。趣味は登山。56歳。

江﨑:九州はひとつの島として捉えられることが多いですが、県によって歴史も文化も産業も、まったく違います。また、日本国内において九州は「1割市場」だと言われますが、暮らしの豊かさは全国でもトップレベルです。九州には「いっちょうやってやるぞ!」というエネルギーを持った人たちが多く、それを後押しする仲間意識の強さもある。九州発のスタートアップが多いのも、こうした気質がベースにあるからでしょう。

—新型コロナウイルスによって、コミュニケーションのあり方の根本が変わりました。今後コミュニケーションはどのようになっていくべきだとお考えですか。

鈴木:新型コロナで動けなくなったことで、コロナ以前は宝の持ち腐れ状態だったデジタルテクノロジーを駆使して、リモート会議やWebセミナーを開くようになりました。一方で、リアルなコミュニケーションがしにくくなったために、その価値が上がるかもしれないと考えています。

江﨑:九州はこの7年ほどの間でインバウンド市場が急速に伸びて、外国人観光客数は年間約500万人に、市場で言えば約6000億円にまで成長しました。ただ、それがコロナ禍であっという間に消失しました。九州の運輸系企業のトップの方々は、インバウンドに偏り過ぎた軸足を見直し、国内需要で柱を立て直そうと考えています。九州7県それぞれの魅力や宝を生かした勝負がいよいよ始まるわけで、これは九州にとって大きなチャンスになるでしょう。

すべての人がクリエイターとして活躍する時代がきた

—そうなるとクリエイティブの力が必要になりますね。

鈴木:そうですね、もちろん我々の経験値的にも、これから先も最大の武器にしていきたいのはクリエイティブです。ただ、テクノロジーが発達した今の時代、何かを発信した後にその影響でモノがどう動いたかや、人の行動がどう変容したかは、データで「見える化」されます。そのため、データを意識しながら発想しなければならず、ある意味クリエイティブは難しくなりましたね。でもやはり、自分が発信したことがどのように決着したのかを見られるのは大きなやりがいにもなりますよね。

江﨑:私も、クリエイティブの時代が来ていると思います。ただそれは、いわゆる「クリエイター」だけに光が当たるということではありません。お得意先の新規事業の構想を練ることや、事業をサポートすることもクリエイティブで、そうしたことに関わるすべての人間がクリエイターとして活躍できる時代がいよいよ来たのかなと感じています。

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