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2021年に新たな局面を迎えるLINEの広告戦略 — サービスもデータ戦略も新たなフェーズへ

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新型コロナウイルスの感染拡大、データ活用の規制など、オンラインで「つながる」ことの価値が高まったといえる2020年。不測の事態は企業の販促やマーケティング活動にも大きな影響を与えたが、LINEの広告プロダクトは2021年を見据えてどのように動くのか。LINE マーケティングソリューションカンパニー カンパニーエグゼクティブの宮本裕樹氏に、2020年に起きた広告業界のトピックの振り返りと、2021年に向けた展望について話を聞いた。

LINE
マーケティングソリューションカンパニー カンパニーエグゼクティブ
宮本裕樹氏

「新しい生活様式」が浸透し、LINE公式アカウントの役割も変化

——LINEにおける宮本さんのミッションを教えてください。

宮本:2020年5月に入社し、LINE広告の中長期的なディスプレイ広告のあり方やデータ戦略を策定および推進しています。今まで、LINEというプラットフォームはデータを活用できる幅が限定的でした。今後は企業のマーケティング活動を進化させるため、LINE広告をはじめとする法人向けサービスのデータを、どのように活用していくのかを考えています。

 

——2020年は新型コロナウイルスの感染拡大によって、日常生活が一変しました。企業や店舗は「新しい生活様式」への対応が求められましたが、企業のマーケティング活動や消費者とのコミュニケーションにはどのような変化があったと思われますか?

宮本:外出自粛要請があったこともあり、ご存じのとおりこれまで以上にデジタルシフトが加速した一年でした。ECなどオンラインで完結するサービスやデジタル上のマーケティング施策が活発になった反面、店頭などオフラインを軸としたマーケティング活動が中心の企業にとっては、悩み多き一年だったと思います。そうした状況下で、ユーザーとの「つながり」の重要性を実感した方も多かったのではないでしょうか。

そのためか、LINE公式アカウントの役割も変化してきたと感じています。LINE公式アカウントは友だち追加したユーザーと継続的なコミュニケーションをとることができるサービスですが、これまでは企業の一方的な情報発信に留まっている印象がありました。

しかし、オフラインでユーザーと関係を構築することが難しくなったいま、LINE公式アカウントは単なる情報発信ツールとしてではなく、コミュニケーション基盤となり得ることが浸透してきたように思います。事実、新型コロナウイルスの感染拡大前と比較して、デリバリー・テイクアウトの受付や来店予約、ECサイトへの集客をLINE公式アカウントで行う企業が増えています。

 

データ活用の動向から紐解くLINEの価値

——2020年は広告業界にも大きな変化がありました。その一つが、プライバシー保護を目的としたデータ活用の規制です。データ活用をめぐる最近の動向について、どのように捉えていますか?

宮本:あらゆるサービスの設計や企業のマーケティング活動がデジタル中心にシフトしつつあるため、プライバシー保護をめぐるデータ活用の規制が生まれるのは必然的な流れだと思っています。

いま話題になっているデータ活用の規制について端的に説明すると、ユーザーの許諾を得ていない3rd Partyデータの使用が制限される一方で、明確にユーザーが許諾した1st Partyデータは今後も活用することができます。そのため、私たちのようなプラットフォーマーが保有するユーザーデータ、企業が有する1st Partyデータの重要性がより増していくでしょう。

例えば、LINEでは自社サービスの会員情報とLINEアカウントのID連携を推進する企業が増えています。この辺りは3rd Partyデータを今後使えなくなることへの危機感から、1st Partyデータの連携が可能なLINEへの期待が高まっているのかもしれませんし、LINEとしてもデータ活用がスムーズにできるソリューション体系の整備を来年に向けて準備しています。

——デジタル広告の配信にもデータ活用は欠かせません。データ活用の観点から、LINE広告はどのような価値を提供できますか?

宮本:2019年12月から、LINEの法人向けサービスを横断してデータを活用できるクロスターゲティングを提供しています。LINE公式アカウントの運用で得たデータをLINE広告の配信に活用することで、広告配信の効果を高めることができます。

今後は店頭販促領域を支援する「LINEで応募」も含めて、クロスターゲティングの対象になるなど、データ連携の充実化を進めていきます。

例えば「LINEで応募」のデータを活用すると、キャンペーンの応募者に類似した属性のユーザーに対して広告を配信し、応募訴求を行うことができます。さらに応募者がLINE公式アカウントを友だち追加することで、来店や継続的な購買を促すメッセージを配信することも可能になっていきます。

従来のようなプッシュ型の広告配信に留まらず、その後のユーザーとのコミュニケーションにつなげることができるのが、LINE広告ならではの価値です。現在はコロナ禍の影響で、ナショナルクライアントもROIやROASなどの広告投資効果に対してコスト意識がより高くなっている印象があります。LINE広告を活用することでユーザーとの関係構築につながるという付加価値を伝えていくことで、貴重なマーケティング予算の投資先として選んでいただけると嬉しいですね。

LINE広告の配信面の一部。
(写真左から)Smart Channel、タイムライン、LINE NEWS
※お使いのバージョンによって画面のデザインが異なる場合があります

——広告業界では、テレビメディア広告費をインターネット広告費が初めて上回ったこともトピックの一つとして挙げられます(2019年 日本の広告費)。今後の広告費の推移について、どのように予測されていますか?

宮本:一時的な揺り戻しもあるかもしれませんが、インターネット広告費がテレビメディア広告費との差を広げ、伸長していくことは明白かと思います。

5〜6年ほど前からテレビCMとデジタルを掛け合わせたプランニングについて注目されていますが、これまではテレビCMをコミュニケーション設計の中心に据え、デジタルをどう活用していくかという議論が中心だった印象があります。しかし、デジタルシフトが加速するいま、デジタルを中心とした設計の中でテレビCMをどう組み込んでいくかという議論が主流になっていくでしょう。

当社でも、LINEのトークリスト最上部に表示される動画広告「Talk Head View」とテレビCMを併用した際のリーチの最適化について効果検証を始めています。実際にTalk Head ViewとテレビCMの両方を視聴したユーザーのほうが、どちらか片方を視聴したユーザーに比べて商品の購買率が高まるという結果が出ています。

つまり、「テレビCMが不要」「デジタルかテレビCMか」という考え方ではなく、デジタルとテレビCMとの境目がより薄れていくと考えてマーケティング戦略を立てることが今後は求められると思います。

その中で、デジタルマーケティングのフレームワークをテレビCMやリアル店舗の販促などでも適用していくことで、世の中全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れをマーケティングの領域でも実践していきたいと思っています。

動画広告「Talk Head View」。静止画バナーをタップすると動画が再生される
※お使いのバージョンによって画面のデザインが異なる場合があります

個別最適から全体最適を目指す、2021年のLINEの挑戦

——2021年に向けた、LINE広告の次なる挑戦について教えてください。

宮本:これまでLINEは各広告プロダクトが個別最適の形で発展し、進化を遂げてきました。LINE広告も配信面や配信機能の拡充化が進み、以前よりもご利用いただきやすくなってきています。2021年は各サービスの連携をより強化してLINEを広告プラットフォームとしても洗練させていく、全体最適のフェーズになると考えています。

また、LINEは月間利用者数が8,600万人(2020年9月末時点)と、いまやインフラに近い存在になりつつあります。このユーザー数を生かしてインターネット広告の新しいあり方を提示できないかと考え、「アドフォーマットイノベーションプロジェクト」を社内で立ち上げました。

例えば、ユーザー参加型の投票企画をLINEのトーク画面で実施することで、国民投票に近い結果を得ることができるかもしれません。その結果をテレビCMで発表するなど、広告の枠組みを超えた取り組みを行うことができれば、新しい広告の打ち出し方としてLINE活用の幅はより広がっていきます。これまでの企業目線の一方的な広告体験を、コミュニケーションを組み合わせることで自然なカタチに変えていく——2021年はその兆しとなるような一年にしたいですね。

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