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同社初の専任広報担当者として、葛藤を乗り越え、受講期間からテレビ取材を複数獲得

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人が資産と言われる広告界。人材育成は、広告界に属する企業に共通する重要課題だ。社員のスキルを伸ばし、成長を続ける企業に人材育成の方針を聞く。

クレ・ドゥ・レーブは、2003年に設立された、兵庫県神戸市を中心として、レストラン・ウェディング事業などの企画・運営・管理を行う企業だ。「どうすれば心から喜んでもらえるだろうか」という思いのもと「We are the Heart factory」をコンセプトにしている。また、社員一人ひとりが前面に出ていくことで、上記の企業姿勢を発信することを重要としているという。

クレ・ドゥ・レーブ マーケティング企画部/広報
高西佳佑氏

高西氏は、前職の大手食品スーパーを経て、同社に入社。入社当時はアルバイトであった。そこからウエディングプランナーを2年経験し、ブライダルマーケティングを兼務。

3年目には、2018年に開業を控えた「ホテル北野クラブ(現:北野クラブアネックス)」のブランディングマネージャーを担当。

そんな中、2019年に「手を上げれば任せてもらえる会社だが、本当に自分がやりたいことはなんだろうか、と考えることが増えた」と葛藤があったという。その後の上司との面談で「2020年に広報部門を新設するからやってみないか」と言われ、広報に新しい可能性を感じ、2020年4月から同社初の広報担当者を担っている。また、今も並立して、コロナ禍で延期になってしまった結婚式のプランナー業務や専門媒体向けの広告写真の撮影企画なども担当しているという。

高西氏が、同社の広報を担う以前は、マーケティング部に在籍していた室長が担当していた。その室長は2018年に独立し、以降も同社の広報業務をパートナーとして担っていたという。

2020年から、社内で広報の専任担当者を設け、より本格的に広報活動をスタートさせようという機運があった。それは、年に1度発行される社内報の社長メッセージにも表れ、『2020年はマーケティングと広報の強化の年』が明言されたと話す。それを受け「身が引き締まる思いで、広報活動を頑張らなくてはいけない」と思ったそうだ。

ただ、広報活動を本格化しようという草案が上がった2019年当時は、「今だからこそ言えますが、『広報とはどんなことをするんですか?』と、任命いただいた上司に質問し、一緒に考えたが、私自身どのようにすればよいか分かりませんでした」という。

そのうえで「どんなことも、なるべくポジティブに捉えようと心がけていたので、社内に広報に特化した人がいないということは、そこに個人としても自社としても伸びしろがあると思いました。プレスリリース、メディア対応などの実務は自分で行うことで、社内で一番広報に精通している存在になることが、自社の成長につながる“チャンスだ”と感じました」と話す。

2020年1月から、前任者から1年の期間でレクチャーをスタートしたが、何かしっくりこなかったという。「前任者のスキルを引き継いで、前任と同じように専任担当者としてふさわしい広報成果を出すことができるのだろうか、という不安を覚えました。今後さらに学ぶとすれば、広報は誰から学ぶべきなのだろうか?という疑問が生まれました」と話す。

そうしたなかで、「2019年は、宣伝会議のメディアをずっと見ていました。始めはウエディング実務のマーケティングに役立ちそうと思い、講座を自費で受けようと思っていました。そうした中で、上記の理由で会社から受講の支援が得られることになり、20年6月開講の『第29期 広報担当者養成講座』を受講することに決めました」と話す。

受講期間の3ヶ月を思い返すと「プレスリリースの作成と配信、メディアとの調整、新商品のメディア発信、youtubeチャンネルの企画・撮影、イベントの写真撮影など…初めて経験する業務もありながら、なんとか時間を捻出しての受講でした。そのなかで受講した内容を活かしながら、実践していきました。何より、伝え方や、広報担当としての在り方において、ロールモデルを見つけることができました」と話す。

講義内容を活かして活動したことで、広報成果を実感したことがいくつもあったという。まずは、プレスリリースを精力的に発信したことだ。

「広報担当役員と一緒に、月に2本のリリースを配信することを目標としてみました。ただ、リリースを書いたことがなく、自分で書くことはもちろん、コロナ渦でどれだけ書ける情報があるだろうかと、気後れすることもありました。多くの企業が活動を自粛する中で、弊社は、withコロナ時代に合わせたイベント活動を実施したことで、情報量の少なさは杞憂に終わりました。そして今では、例えば、週末に、翌週発信したいリリースを2本作成することも、行えるようになりました。リリースチェックの後の項目も、以前に比べて少なくなりました。文章を書くのが億劫にならず、少しずつレベルアップしたと感じられるようになりました」という。

また、リリースを作成する際やイベントが始まる際には、「どの活動にも、それを考えた担当者がいます。レストランの新メニューなら、食材、思い、ネーミングなど、企業様とコラボレーションなら相手先の企業名の由来など、背景にある担当者の思いをできるだけ聞いて、体感して、その温度感を表現することを心がけています」と話す。

そして「こうした心を砕いた発信が功を奏して、テレビ取材が多数頂けるようになりました。コンスタントにプレスリリースを出すようになってから、弊社のことを知っていただけるようになり、講座を受講し始めてからだけで、TV取材が6件決まったことがとても嬉しかったです」という。

多くの活動は、レストランやイベント、ウェディングなどの事業活動だというが、企業活動の広報にも挑戦した。「神戸市が実施したグローバルレインボーのイベントでは、コラボレーション企画として発信したPR TIMESで約1万PVがありました。中小企業でも、こうした社会性の高い活動を発信できるようになったことで、会社のステージを高められることに貢献できたのではないかと感じています」と話す。

また、本取材を行った20年12月中旬の時点では、「同じプレスリリースでも、インフルエンサー向けと、新聞、テレビ向けなど、媒体ごとに、少し訴求を変えて伝えれるようになりました。テレビもWebでの露出が増えているだけでなく、これまで課題と感じていた媒体からの取材申し込みも獲得できるようになってきました」という。

これらの活動の下支えになったのは、講座で登壇した現役のベテラン広報責任者の言葉だったという。「『リリースの先にある、メディアのニーズを引き出す。何年後に、どのマーケットが流行るか予測する。短期的・中長期的にどういう未来が起きるか提案して想像してもらう』といった活動の紹介がありました。それをうけて、自分だったら・自社であればこうするな。街そのものをブランディングしたり、その店舗が活性化すると地域貢献ができる。それでは現場の人はどう思うか、どうしたいか、というより高い視座で、広報すべき価値を考えられるようになりました」。

そして「前任者からの厳しいレクチャーがなければ、ここまで発信することはできなかったと感じています。講座の内容と自社の置かれる環境を理解する方からの指導を組み合わせたことにより、発信力が最大化できたと感じます」と話す。

最後に今後の抱負を聞いた。「弊社は、会社の名前『クレ・ドゥ・レーブ』よりも、結婚式場の名前が先行していました。現在、徐々に社名を覚えてもらえるようになってきたと感じていますが、社名の認知をさらに広めたいです。そして、弊社が兵庫県神戸市を中心とした活動だけでなく、関西エリアの活性化を担う事業展開に向けて、広報の発信力を強化することで、ランドマーク的存在にもなりたいと思っています」と目を輝かせた。

毎講義、ノートにびっしりと学びをメモしていた

カルチャー施設『MINORI HILL』
広報の考え方を体系的に習得するため、高西氏が受講した講座は……
「広報担当者養成講座」でした
 

広報業務の重要性が高まる一方で、業務の基本、また広報がカバーする分野を実務に活かせるレベルまでを学ぶ機会は少ないものです。
 
本講座は、広報に求められる資質、社内情報が集まる仕組み、報道関係者への対応など広報が身につけておきたい基本を全10回でマスターできるカリキュラムとなっています。

 
<次回の開催日程〔オンライン開講〕>
■講義日程
第31期 2021年2月26日(金)開催
■受講定員
60名を予定

 
詳細はこちら
 

お問い合わせ
株式会社宣伝会議 教育事業部
MAIL:info-educ@sendenkaigi.co.jp