販促担当者の重要テーマである「集客」がコロナ禍で大幅に制限され、店舗販売、イベント・展示会をはじめあらゆる領域に影響を及ぼしている。活路のひとつはECだ。あらゆる規模や業種、地域のメーカーや小売がECを強化するようになり、あらゆるものがネットで買えるようになるだろう。京都銘菓の老舗が観光客の激減を受け、ECに本腰を入れ始めたのはその一例。店舗とEC、双方のチャネルを太くしておくことは、生産者にとってリスクを減らす意味でも重要だ。
店舗の競合は主に近隣の店舗だが、ECでは日本中、または世界中の事業者の中から選ばれる。店舗とは違った戦略と戦術が求められ、競争はより激しくなる。
リアル店舗が立地や内装で販促効果を高めるように、EC運営にも多様な選択肢がある。大きくは、ASPサービスやパッケージを活用する「自社サイト型」とアマゾンや楽天市場のような「モール型」に分けられる。自社の商品特性やブランド力、投資余力に合った手法の選択や組織・人材戦略が必要だ。
方、ECを拡充することにより、店舗のあり方を再構築する動きも見られる。家具販売のIKEAは近年ECを強化する一方、原宿や渋谷など都心型店舗を増やしている。ファミリーから単身者などに顧客層を広げ、店舗で興味を持った商品をスマホで買えるようにしていくという。
店舗がメインの業態で、従来の出店ペースを緩め、その分の投資をECに振り向けるとの話も聞かれるようになった。店舗をブランド体験提供の場と位置づけ、販売数値を重視しない、さらには「売らない店舗」も増えてきそうだ。
店舗DXの領域も新しい取り組みが期待される。トヨタ自動車が東京の4つの直営販社を統合して発足した「トヨタモビリティ東京」では、来店時に顧客の車両ナンバーを読み取って来店目的や担当者などを店舗スタッフに周知する仕組みや、来客の着座位置や接遇状況などが共有されるシステムを新設の店舗に導入した。接客のDXやニューノーマルに対応した店舗オペレーションも今後のテーマだ。
これまでの店頭販促は、ディスプレイやPOPで季節感を演出し、購買意欲を喚起してきた。販売チャネルのデジタル化で、こうしたエモーショナルな面をどう補っていくのかもテーマになりそうだ。
月刊『販促会議』編集長
上条 慎
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