メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

セカンドキャリアの選択肢としての「実務家教員」~広告界から大学教授へ~

share

人生100年時代・生涯現役時代に向けて、キャリア形成における新たな形態として注目されているセカンドキャリア。そのセカンドキャリアの選択肢として、経験豊富な企業人を大学で教授・准教授などの教員として迎え入れる「実務家教員」が注目を集めています。

企画概要

※教育人財開発機構では、高等教育機関で活躍されているさまざまな実務家教員にインタビューを行い、転職のきっかけやお仕事内容、やりがいなどを紹介しています。

今回は、2013年に東北芸術工科大学で実務家教員に就任され、2020年より京都芸術大学で教鞭を執られている、夏目則子(なつめのりこ)教授に、業務についてはもちろん、実務家教員を目指したきっかけややりがいをお話しいただきました。

 

〈実務家教員になるまで ~Before~〉

Q:実務家教員を目指した理由・きっかけは何でしょうか?

ADK時代から部下や後輩が成長していく過程を見ることが好きで、できるだけ役に立ちたいと思っていました。加えてセミナーでの発表やクライアント先での研修など、誰かに何かを伝える仕事も楽しみながら取り組んでいました。そうした中で、「そろそろ自分も何か社会貢献がしたいな」と思うようになったのです。

そんな折、ふと周りに目を向けると、多数の(広告)業界人が大学教員の道へ進んでいました。当時はそうした周りの人たちを見て、漠然とうらやましく感じていましたが、今思えば、その羨望は「大学教員なら次世代人材を育成して社会貢献ができる」という憧れから生まれたのだと思います。自覚はしていませんでしたが、このときからすでに大学教員になりたいという気持ちがあったのかもしれませんね。一方で、その頃は自分自身の仕事にも力を入れたいと思い、独立を考えていた時期でもありました。熟考の末、「2012年6月末で独立しよう」と決断したとき、ボブ田中先生(現:東北芸術工科大学(以下:芸工大)企画構想学科学科長)から「教員にならないか」と声を掛けていただいたのです。実務家教員を目指そうと思った明確なきっかけは、お声掛けいただいたこのときです。「後進の役に立ちたい」「社会に貢献したい」「独立して自身のキャリアも継続したい」など、いろいろな思いが巡っていた時期で、実務家教員ならすべて実現できるのではと強い魅力を感じました。私の思いやお声掛けいただいたタイミングなどが合い、実務家教員の道を歩み始めたのです。

Q:求人への応募から入職までの経緯を教えてください。

先にお伝えしたように、私は実務家教員に憧れを抱いていましたが、「大学教員になるには、最低でも修士号を取得していなければならないから、自分には縁がない職業だな」と思っていました。そのため、ボブ田中先生からお声掛けいただいたときは、学士しか取得していない上、論文発表や書籍出版もしていないので、到底採用されるとは思えず、疑心暗鬼の状態でした。とはいえ、憧れていた職業に就けるチャンスなので、応募を決めました。決断した理由は2つあります。1つ目は、選考を受ける芸工大には、東京で別の仕事をしながら、大学のある山形へ通っている実務家教員が多数いること。2つ目は、週3日の勤務かつ春と夏に学生の休暇に合わせて長期休暇が取れること。その芸工大の環境なら教員と実務を両立できますし、私にも挑戦できるかもと勇気をもらい、応募に至りました。

このような経緯により、私の場合は学科推薦での応募になりましたが、採用については一般のプロセスをきちんと踏みました。書類選考→学長・学部長面談→理事長面談という流れです。その当時の選考の内容に、シラバスの提出や模擬授業はありませんでしたが、学科推薦であっても教育個人調書などの大学教員の定型的な応募書類の提出はありましたね。選考を通して注意した点は「いかに実績をわかりやすく伝えるか」です。採用プロセスにおいての担当窓口は教務部でした。当然、教務部の方は広告業界についてご存知ではありません。加えて、私は教員選考において判断基準の1つとなる「わかりやすい研究成果」がなかったので、それを補える実務経験があることを伝える必要があったのです。教務部の方に実績が伝わるよう、研究論文の代わりに、前職時代に力を入れて取り組んでいたプロジェクト資料を複数提出したり、対外的な実績として、新聞や雑誌でのインタビュー記事やセミナー時に活用した資料などを提出したりしました。そうした準備やアピールによって、最終的に採用していただけたのだと思います。

Q:評価されたご自身のアピールポイントは何だと思いますか?

こちらの記事の続きは、
「教育人財開発機構のWebサイト」
で読むことができます